居酒屋でのんびりと飲んでいた時のことだ。
隣の席の若いサラリーマンと思しき人たちの会話が耳に入った。
「信じられないよぅ、うちの嫁、クックパッドを見ながら料理しているんだぜ。どうりで不味いはずだよ」その後も、嫁さんの飯の不味さを肴に吼える、吼える。よほど不満が貯まっているらしい。別に口出しするきはないし、鬱陶しいので係る気もない。
嫁さんの料理が不味いと思うならば、まず話し合って、自分で手本を見せろと思う。もっとも、この手の不満を言う人って、だいたい料理が出来ない輩が多い。あるいはマザコンで実家の母の料理と比べているか、さもなくば日頃の外食で高いが美味しい料理と比較でもしているのだろうと思う。
もっと言えば、褒めて伸ばすことが出来ない人なのだとも思う。多分、上司としてもあまり出来の良いタイプではないと想像してしまう。まだ二十代後半程度なので、未熟といえば未熟なだけかもしれない。まァ、いずれにせよ、私の知っちゃこったない。
ちなみに彼が不味いと決めつけたクックパッドだけど、私もたまに使う便利なサイトだと思う。あれを不味いと決めつけるのは、あそこに掲載される料理には、一癖工夫を凝らしたものが多いからではないか。
これは男女を問わず、料理を作るのが下手な人に言えるのだけど、レシピはよく読んでも、肝心の食材をみてない人は多いと思う。私は最近、カロリーを減らしたいから、鶏肉を使った料理をする。
ところが、この鶏肉という奴は案外と厄介なところがある。まず鮮度が落ちるのが早いので、なるべく早くに料理する必要がある。冬場はともかく、夏場だと痛むのも早い。料理する前に、水洗いしてふき取ることぐらいはしたほうがイイ。いや、その前に匂いを嗅いでおけと思う。
多少、痛んでも日本酒に付けたりして、臭みを取ることは出来る。また、鶏肉はあんがいと火が通りにくいので、よく見て焼かないといけない。美味しい焼き鳥屋の鶏肉なんて、見事なくらい同じ厚みで並んでいる。だからこそ均質に焼けるのだろう。
また、ちょっと信じがたいけど、調理の最中、まったく味見しないのもどうかと思う。それなのに、皿に並べるレイアウトだけは細心の注意を払っているので、見栄えは見事である。でも口に入れると、生焼け部分があったり、味付けが濃すぎたりする。だから料理下手だと言われてしまうのだけど、本人はそれを認めない。その癖、自分ではほとんど食べないって、なにかと思う。
クックパッドに掲載されているレシピは、なるべくシンプルに書かれているので、調理の際の常識的なことは省かれている。だから料理の経験に乏しいと、美味しくない料理になることがある。
正直言って、料理が上手くなるには、誰かに教わるかして経験を積むしかないと思う。
ただね、冒頭のサラリーマンの奥さんだけど、クックパッドを見て作っているだけでもマシだと思う。世の中には、レシピを読まずに、自分の感性だけで料理しちゃう人って実在するから。
あたしゃ、ウーロン茶の香り漂うカレーなんて食べたくない。カレーを不味く作れるなんて、ある意味才能なのかもしれませんけどね。