ヌマンタの書斎

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進歩的な新聞

2020-06-01 11:47:00 | 社会・政治・一般

懐かしさよりも、呆れの思いの方が強かった。

週末、人出の増えた渋谷を経由して銀座へ向かった。地下街の広告を見て、驚いて足が止まった。

東京新聞の広告である。吉田戦車の漫画によく出てくる、かわうそ君が出てくる広告であった。まァ、真実、公平はともかくも、進歩的との表示に驚いた。

まだこの言葉、良いイメージを持っていると思い込んでいる。私と同世代以上ならば、この進歩的とやらに騙された、失望したと否定的なイメージのほうが強いと思う。

もっとも若い世代には通じないだろう。だからこそ使ったのだろうか。

私が政治に関心を持ち始めた十代の頃は、まだ進歩的文化人が言論の世界で幅を利かせていた。朝日新聞や岩波出版の雑誌「世界」などに論陣を張り、暗い情熱をもって自民党政権を叩き、反米の論戦を張っていた。

大学で経済学といえば通称マル経(マルクス経済学)が筆頭であり、小学校から高校に至るまで日教組の支配があまねく及び、社会では国労を始めとした労働組合が跋扈して、生産性の低下に大きく貢献していた時代である。

だが、ベルリンの壁の崩壊が進歩的文化人の牙城を崩した。進歩的文化人が賛美してきたソ連の悲惨な実情が世に露わになった時、彼らの反論に力はなかった。あれほどまでに賛美してきた社会主義の惨めな実態が、進歩的文化人の地位を崩壊させてしまった。

もはや恥ずかしくて「進歩的」だと名乗ることは出来なくなった。

だが時代は変わっても、人の愚かさに変りはない。

かつて社会主義を賛美することで資本主義社会を誹謗してきた彼らは、反自民、反米に取りすがるしかなかったのだろう。皮肉なことに、ようやく訪れた非自民政権であった細川連立内閣は、もろくも崩れた。

その反省を活かしてマスコミは一致して民主党政権を支えた。が、民主党政権は国民の声を聞かない政権であったため、民意を失った。代わりに登場したのは、彼らが最も嫌悪すべき安倍政権であった。

マスコミの敵意とは裏腹に、安倍政権は国民から信を得て長期政権と化した。だからこそ、かつての進歩的文化人の残滓たちは必死に反安倍、反自民に固執していた。

その先鋒として活躍していたのが東京新聞であった。だが「森友・加計問題」はいくら騒いでも安倍政権を揺るがすことが出来ず、「桜の会」は引っ張り過ぎて新型肺炎への対応を遅らせただけであった。

ようやく「検察官定年延長問題」で一矢報いたのがよほど嬉しかったのだろう。若者に人気(ホント?)のかわうそ君を持ち出して広告を打った。そこで、浮かれて本音が出たのかな。

まさか、この期に及んで「進歩的」に文字を見るとは思いませんでしたよ。

コメント
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