先日のことだが、漫画化のジョージ秋山氏が亡くなったとの報道があった。
このブログでも何度か取り上げたことがある漫画家であり、いろいろと問題作が多いことで知られている。
その問題作の中でも、ヤングマガジン誌に連載され、中途半端な形で終わったのが表題の作品だ。
主人公は純真無垢で明るいブタの少女である。ちょっと不良っぽいボーイフレンドのチンピラーノと危うい青春を送っていたが、戦火に巻き込まれ、家も家族も失い、挙句に娼館に拾われる。
そこから変態な客や、横暴な客に悩まされつつも明るく生きようとするラブリンは、ナチスを想起するような軍隊のウルフ大佐に見込まれて愛人にさせられる。そして、この残虐なウルフ大佐の傍らで聖女と呼ばれるようになる。そんな物語であったと記憶している。
正直、記憶は曖昧だ。なぜかというと、この作品は現在書店では流通していない。古本屋でも稀覯本扱いされる漫画であり、プレミア価格で偶に市場に出るほどの珍品なのだ。
連載が中断のような形で終わったのは、人気云々よりも作品の内容がひどく残酷で、過激な描写が多かったからだと噂された。なにせ擬人化したブタで描写される市民たちが殺されるだけでなく喰われたりしているのだ。暴力的な場面が数多くちりばめられていた。
私はそれほど熱心な読者ではなかったが、あまりに突出した作品であったので、見過ごすことが出来なかった。ただ単行本を買うほどには関心はなかったと思う。まさか、ほとんど再販されない作品になるとは思わなかったからでもある。
何故に連載が終わったのか、また何故再販されないのか。今もその理由は明らかではない。今にして思うと、残酷な描写よりも、動物を擬人化したが故に、性描写に関してもかなり露骨であったことが原因かもしれない。
馬鹿らしい。あの描写で欲情する読者がいるとしたら、それは異常だと思う。もっと作品の内容で判断して欲しいものである。再販されなかったのは、一徹な性格で知られる秋山氏が、修正などを拒否したからではないかと想像している。
再販されてない作品としては他にも「ザ・ムーン」などもある。戦後の漫画史のなかでも異色といってよい作風で知られたジョージ秋山氏である。これを機に、作品集を発刊してこの作品も収録して欲しいものだ。