これだけは言いたい。ディーン・R・クーンツは面白いと。
もっといえば、日本ではスティーブン・キングが突出していて、他のホラー作家への評価が低すぎる。キングの人気、評価が高い大きな原因は、その作品の映画化されたものが大ヒットしているからだ。
「キャリー」「ペットセメタリー」「クージョ」など世界的なヒット映画が数多くあることが、日本でのキングへの高い評価に大きく貢献している。
ところが、他の実力あるホラー作家たちの作品の映画化ときたら、良くてB級で、大概はC級映画のダメっぷりである。特にひどいのが、ディーン・R・クーンツだ。原作と比べると、映画化作品のC級ぶりが際立つ。
そのせいか、原作の小説までもが低く評価されてしまう観が否めない。私はそれが悔しくてならない。
実はクーンツ自身は自らをホラー作家とは呼ばない。あくまで小説家であり、それも読者を楽しませることに重点を置く作家だと自認している。
もしホラー小説に食わず嫌いの方がいるようでしたら、是非ともクーンツだけは読んで欲しい。なぜならば、クーンツは必ずハッピーエンドを用意している。クーンツは読者を浮ェらせることよりも、楽しませることに力を入れているのだ。
ただ長編小説が多く、クーンツ未読者には少し敷居が高いかもしれない。
そんな方にこそ表題の短編集をお薦めしたい。原作は「ストレンジ・ハイウェイ」という分厚い書なのだが、それを分冊して発刊されたのが表題の書だ。
怖すぎないホラー小説といったら言い過ぎかもしれないが、ホラー小説未体験者には最適の一冊だと思いますよ。