「作戦の神様」が聞いてあきれる。
だいたい、日本人は安易に神様を使いたがる悪癖がある。社長とか、先生とかはまだ許容できる。しかし神はやりすぎ。カリスマだって意味を分かって使っているとは思えない。
特に私が酷いと思っているのが「作戦の神様」と言われた日本帝国陸軍の参謀であった辻正信である。あるいは軍神扱いさえされている山本五十六も同様だ。
もっと正当な評価を下すべきだと思うが、個人の評価はまた別稿で取り上げたい。むしろ大事なのは、そのような評価を下しがちな日本の精神風土であり、そのような人材を産んできた日本の学歴社会の歪みを、真っ当に再評価することだと思う。
表題の書で、日下氏が取り上げている日本社会の問題点、日本的組織の強みと弱みを放置してきたことこそ、その正当な再評価の道標となるものだと思うのです。
何度も書いていますが、戦争を謝罪したり、戦争を否定することが敗戦の反省ではありません。どのような過程で戦争に至ったのか、どの行程で戦争しか解決策はないと判断したのか。そしてその問題解決の手段としての戦争は適切に行使されたのか。
戦後の日本は、このような正当は反省を避けて、謝ればいいだろうとの安易すぎる態度で敗戦を誤魔化してきたのです。再び同じ過ちを繰り返す可能性は高いと思います。
再び愚かな戦争をしないためにも、正当な戦争の反省をしたい。そうお考えならば、是非表題の書をお薦めします。