又しても出たマスコミ様の報道したくない自由。
先日、北に拉致された横田めぐみさんの父、滋さんが亡くなったとの報道があった。その後、めぐみさんの弟である哲也さんの記者会見での発言をマスコミ様は報じなかった。その内容が以下の文。
哲也さんは「一番悪いのは北朝鮮」としながらも、
「この拉致問題を解決しないことに対して、ある、やはりジャーナリストやメディアの方なんかが、『安倍総理は何をやってるんだ』というようなことをおっしゃる方もいます。『北朝鮮問題が一丁目一番地で掲げていたのに、何も動いていないじゃないか』というような発言をここ2・3日のメディアを私も見て、耳にしておりますけれども、安倍総理・安倍政権が問題なのではなくって、40年以上も何もしてこなかった政治家や『北朝鮮なんて拉致なんかするはずないでしょ』と言ってきたメディアがあったから、ここまで安倍総理・安倍政権が苦しんでいるんです」
と、取り組んでこなかった政治家や、拉致問題を認めてこなかったメディアの存在などの積み重ねが、問題を困難にしていると主張する。なお、めぐみさんをめぐる問題は、失踪から20年後の1997年2月にAERA、産経新聞が「拉致疑惑」を報じ、問題が公になった背景がある。
「安倍総理・安倍政権は動いてやってくださっています。なので、何もやってない方が政権批判をするのは卑怯だと思います。拉致問題に協力して、様々な角度で協力して動いてきた方がおっしゃるならまだ分かりますが、ちょっと的を射ていない発言をするのはこれからやめてほしいと思っております」
私からも少し補足したい。
北の拉致疑惑は、80年代から密かに話題にはなっていた。だが、決してTVも新聞も取り上げようとはしなかった。だが、大韓航空機爆破事件の頃から、海外を通じて漏れてきていた。
それが北の女性工作員である金賢姫(蜂谷真由美)である。彼女は日本にも何度も入国し、流ちょうな日本語で工作活動を行っていた。彼女に日本語を教えたとされたのが、横田めぐみさんであった。
当時、私は長期の療養生活を送っており、暇を持て余していたから、けっこうなメディアに目を通していた。はっきり言うが、日本のマスコミ様のほとんどが無視していた北による拉致疑惑は、この金賢姫なくして表ざたになることはなかった。
でも私は知っていた。暇にまかせて図書館の英字新聞などを流し読みしていたので、海外では既に北の拉致は公然のものとされていたからだ。それが、映像映えする女性スパイの存在により、一気に日本にも広めてしまった。
私は当時、日経、朝日、産経の三紙を併読していたし、図書館で毎日、読売も読むことが多かった。だから覚えている。北の拉致疑惑に対する否定的な記事が溢れていたことを。
共産党や社会党はもちろん、自民党内部にさえ北との友好関係を崩すための偽装報道だと、拉致疑惑を貶める政治家は少なくなかった。だが、時が経ち金賢姫の直接の発言が漏れ伝わる度に、拉致疑惑を本気で捉える日本人が増えてきた。
だからこそ、小泉元総理が曽我さんら拉致日本人をシンガポールに連れ出した時は、天地がひっくり返ったかのような騒ぎになった。意地の悪い私は、今も忘れずに覚えているが、あの日、社民党の党首であった福島は、天使のコスプレをして慈善事業におおはしゃぎであった。
でも翌日のニュースに福島が載ることはなく、北による拉致の事実が堂々と議論されるようになった。そして、今まで北の拉致疑惑を否定しまくっていた人たちの無責任な沈黙が、事態の深刻さをより印象付ける結果となった。
ちなみに当時の小泉内閣の外務大臣が安倍晋三であり、彼の強硬な主張が小泉を動かしたことは、後に明らかになっている。当時から安倍晋三は、北の拉致に対して相当な怒りを鬱積していたことが今なら分かる。
だが、日本の善意溢れる平和愛好市民たちには、この北の拉致事件は疎ましいものに他ならなかった。その後の第一次安倍内閣を崩壊させたのは、この善意に満ち溢れた平和を愛する市民たちの暗躍が大きく貢献している。
だからこそ、再び政権の座に就いた安倍政権は、なにがなんでも辞めさせねばならぬ使命だと盲信しているのだろう。もっとも皮肉なことに、彼らが安倍落としに夢中になればなるほど、安倍政権は長期政権として揺らぐことはなかった。
しかし権力は必ず腐敗する。安倍政権もこの公式からは逃れられない。政権幹部の醜態がようやく見つかるようになり、安倍政権の支持も揺らいでいる。さあ、そんな矢先に起きたのが、横田めぐみさんの父である滋氏の死去である。
いけない、絶対にこれを安倍政権のプラスになるような事態にしてはならない。なにがなんでも安倍政権は崩壊させねばならない。
だからこそ、めぐみさんの弟の発言は、報道するべきではないのだ。マスコミ各社及び識者とやらは、そう考えているのだろう。
マスコミが報道したくないからこそ、そこに真実が現れていると、私は確信しています。