ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

人と動物

2020-07-13 12:19:00 | 社会・政治・一般

人間が家畜とするのに成功したのは、わずか15種類の動物だけだ。

地球上には数千種の動物がいるが、そのうち人間に馴れ、農業など役に立つ動物、すなわち家畜となれたのは全体の1%に満たない。おそらく最初に人間に懐いたのは、ほぼ間違いなく犬だと言われている。

その後だが、羊や豚、ヤギなどがメソャ^ミアの地で徐々に家畜化されていたこが、残された遺跡などから推測される。品種改良なども含めると数千年の時間をかけて家畜は作られていった。

つまるところ、本質的に人間と他の動物は相いれない存在であり、家畜は例外であり、むしろ僥倖な存在なのだと思う。人と動物、そして家畜の距離間は、人類が農業と牧畜業を中心に生活していた時は、さして問題にならなかった。

おかしくなったのは、産業革命がさらに進展してサービス業など第三次、第四次産業が発展してからだ。その頃になると、人は家畜と動物の違い、距離感が掴めなくなってきた。

犬や猫、小鳥などの愛玩動物、つまりペットを飼う人が増えるにつれて、本来人に馴れるはずのない動物を無理やりにペットにすることが散見された。その代表がアライグマである。

幼いアライグマはわりと人に馴れやすい。しかし成長するにつれて野生の本能が表に出てきて、もはやペットとは相いれない凶暴な野生動物と化す。そうなると、アライグマを勝手に野に放つ馬鹿が出てきて、今や外来有害生物として駆除される始末である。

はっきりいって人間が悪い。アライグマに罪はないと思うが、彼らが農作物を食い荒らし、土着の動物(タヌキやイタチ)などを食い殺す以上、やはり強制的に駆除せねばならない。

如何に外見が可愛かろうと、野生動物は愛玩対象ではない。これが分からない、分かりたくない愚かな人間は増える一方である。

報道などでご存じの方もいると思うが、静岡県で個人宅で飼育されていたサーバルキャットが逃げ出した。

アフリカに棲息するサーバルキャットはネコ科の肉食獣で、その愛くるしい外見とは裏腹にきわめて有能なハンターである。体長一メートルにも満たないが、その跳躍力は3メートルを超え、野鳥などを捕獲して食べることが出来る。

アフリカでも屈指の名ハンターであり、その狩りの成功率は50%ちかいという。ライオンが5%であり、ハイエナでさえ20%台であることを考えれば、驚異の捕獲率だと思う。

大きな耳と目が印象的であり、優美な外見から欧米でもペットとしての需要がある。しかし、本質的に猛獣であるから、どの国でも規制対象とされている。静岡の飼い主は、一応国の許可を得ていたようだが、これは日本の鳥獣保護法が甘すぎるからだと思う。

本来は禁止すべきであるのだが、愛玩動物足り得ない生き物を販売することで暴利をむさぼる業者に対して、日本は極めて甘い。この原稿を書いている段階では、まだ発見されず、ほか捕獲もされていない。

私は本来、WWFなどの動物保護団体に対して辛口なのだが、彼らが日本を脱法天国だと批難するのも当然だと思う。

飢えたサーバルキャットが無力な人の赤子を襲って食べたとしても、別に驚くには当たらない。野生の肉食獣が弱い獲物を狙うのは本能だからだ。

如何に外見が優美で愛らしいからといって、猛獣までをペットとして認めるのは止めたほうが良いと思います。

余談ですが、子供に人気のアニメ「けものフレンズ」ではサーバルキャットは、サーバルちゃんという可愛らしいキャラとして主役となっています。今回の事件に関係はないと思いますけど、変な勘違いを広めた一因にはなっていると思いますよ。


追記 本日、逃走したサーバルキャットのうつぼ君、見つかったとのこと。良かったけど、飼い主、噛まれているんじゃねえよ。

コメント (2)
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