どうやら日本はキャッシュレス社会にはならずに済みそうだ。
私は元々現金信仰が強いし、クレジットカードには苦労したのでもう使わない。だから昨年の消費税増税に合わせたかのようなキャッシュレスの流行には、いささか冷ややかに見ていた。
とはいえ、仕事ではキャッシュレス決裁の導入を顧客に勧めることには躊躇わなかった。実際、キャッシュレス決済の導入で売り上げを伸ばした顧客もけっこうある。
だが、一年近くたち、キャッシュレス導入後の経理状況をみていると、やはりいささか疑問が生じる。6月まではポイントというか補助が出るので、キャッシュレス決裁会社への手数料は低額で済む。しかし、補助がなくなってしまえば、残るのは高額な手数料だ。
業種というか利益率にもよるが、3%近い手数料は零細事業者にはかなりの負担だ。特に薄利多売でやっているところは無理だと思う。言いだしっぺのソフトバンクなどはキャンペーンの延長などで顧客をつなぎとめているようだが、キャッシュレス決済会社もそろそろ厳しいと思う。
事実、公表されているだけでも、このキャッシュレス化導入のためのキャンペーンで大幅赤字を計上してる。既に撤退を決めた会社もあるし、それは今後も続くと思う。多分数年後には2~3社しか生き残れないと思う。
私はそれほど海外のキャッシュレス化に詳しい訳ではないが、おそらくオーストラリアのように手数料を法律で上限を決めるなどしないと、完全な普及は難しいと思う。
これは私の偏見だと思うけど、キャッシュレスを薦める国って、通貨とりわけ紙幣の信用度が低い国が多い。つまり贋札が数多く流通している社会では、キャッシュレス化には相応のメリットがある。
しかし、日本は世界的にみても通貨の信用度が高い。定期的に紙幣も通貨も更新しているうえ、その製造技術は高く、贋札造りはわりに合わないとまで言われる完成度の高さを誇る。
さらに付け加えるならば、日本は災害大国だ。電気が止まれば、キャッシュレス決裁は出来ない。やはり現金の手持ちはある程度必要だと思います。
昨年以来、マスコミではさんざんキャッシュレス社会の到来に出遅れるなとの広告記事があふれていました。最近になってようやく、批判的な記事が出回るようになりました。
かくいう私自身、自分のことに関してはキャッシュレス否定派でしたが、仕事関連ではむしろ推奨派であったのは事実です。ここは恥を忍んで、堂々キャッシュレス決済の否定的な面も話してはいけないと自覚している次第。
さて、どの面下げて顧客回りをするかな・・・ちょっと気が重いけど、これはやらねばならぬこと。堂々と頭下げてきます。