ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

地球の歩き方

2023-06-08 09:29:52 | 

日本人を騙す詐欺師が一番泣いているかもしれない。

「地球の歩き方」を出版していたダイヤモンド・ビックしゃが倒産したと帝国データバンクが報じていた。海外旅行に行く際、よく買っていたガイドブックである。

この十数年、ほとんど海外には行っていないが、若い頃は時間さえ取れれば海外に一人で飛んでいった。その際、初めの頃の愛読書は「地球の歩き方」であった。

しかし、新宿は歌舞伎町の飲食店の申告をするようになってからは、このガイドブックを持ち歩くのは止めにしている。なぜなら警告を受けたからだ。

バブルが弾けたといっても、当時の歌舞伎町はまだまだネオンが暗く輝く怪しい街であった。日本人だけでなく、シナ、コリア、タイ、フィリピン、ロシアと様々な国と人種が行き交う街、それが新宿歌舞伎町であった。

私が税務申告を担当していたあるお店で、ボーイとして働くY君も某東南アジアからの入国者であった。彼は夜はその店でボーイをする一方、深夜からはあるスナックを任されており、朝方まで働いていた。

若いとはいえ、さすがに無理がたたったのか、彼は明け方にひき逃げに遭い、入院する羽目に陥った。彼の頑張りを評価していたスポンサーの助けもあり、すぐに退院して仕事に復帰した。その痛々しい姿に同情して、当時は彼のスナックに何度も通った。

その際、入院加療にかかった医療費の一部を、確定申告で還付手続きしてあげた。無料でやってあげたせいか、彼からはえらく感謝された。その彼から警告された。

私が30代半ばの頃だが、シンガポールへ事務所の慰安旅行へ行く直前のことだ。私は歌舞伎町の彼のスナックのカウンターで、「地球の歩き方・シンガポール」編を熟読していたのだが、彼が真剣な顔で忠告してきた。

「センセー、その本に載っている小さなお店は行っちゃダメよ」と。私が変に思って、何故だいと聞き返すと彼は説明してくれた。新宿にある日本語学校へ通う外国人の生徒たちの一部に、この地球の歩き方を翻訳して本国に送るバイトが流行っていると。

そのバイト代を払う連中は、旅行に来た日本人をカモにしている悪い奴らだから、そのガイドブックを当てにしていくと、むしろ騙されることがあるそうだ。もっとも大きなホテルの中にある店なら大丈夫とのこと。

でも「地球の歩き方」を頼りに海外旅行に行く連中は裏通りの小さなお店に行くのを楽しみにしている人も多い。だからこそカモにされたのだろう。納得のいく話だったので、私はそのガイドブックを使う時は注意するようになった。

危ないと知りつつ、「地球の歩き方」を使ったのは、この本のガイドは現地を足で回ったものには使い易い情報が多かったからだ。特に簡略化された地図には、ずいぶんとお世話になった。

以前にも書いたが、私は一人で海外旅行に行く際には、可能な限りガイドブックは人前では開かない。地図を暗記して、現地に溶け込めるような服装で歩き回るように努めていた。だから、日本人狙いのペテン師どもに、この本が愛用されていることは腹立たしかった。

ただ、残念なことに仕事が忙しくなり、事務所を引き継いでからは碌に長期休暇がとれなくなり、当然に海外旅行は行けなくなった。だから、「地球の歩き方」の出版元の倒産には驚かされた。

まぁ考えてみれば、今は情報はネットでとる時代。最新の情報を取りやすいネットに、出版物が遅れをとるのは致し方ない。幸い、他の出版社が引き継ぐようなので、今後もある程度は出版される模様。まだしばらくは多忙なので、「地球の歩き方」でも読んで、旅したつもりになりますかね。

コメント (4)
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