ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

サンマからイワシへ

2023-06-15 11:08:47 | 社会・政治・一般

方向性は間違っていないと思う。ただ、やり方があまりに稚拙だ。

サンマの不漁が伝えられてから久しい。一つの原因に、台湾やシナの大型漁船により根こそぎに捕られていたことが伝えられた。しかし、それだけではあるまい。やはり温暖化による海流の流れの変化など環境的な要因もあると思う。

長年、日本人くらいしか食べていなかったサンマであるが、来日して日本食を堪能した台湾やシナの方に、その美味しさが知られてしまったのだから致し方ない。しかし、長年食べていながら、実はその生態がよく分かっていなかったのは、日本側の怠慢であろう。

実際、福島のアクアマリン水族館で初めて養殖に成功したのは、比較的最近のことだ。しかし商業化へ道筋は遠い。あまりに身近な魚ゆえに、本気で研究されていなかったことが悔やまれる。

その一方、空前の好漁が伝えられるのがイワシだ。そこで水産庁としては、日本人に今まで以上にイワシを食べてもらいたいらしい。その意気や良し。しかし、アホだ。

これは水産庁に限らないが、霞が関のお偉いさんは自分たちが声を上げれば、下々は従うはずだと思い込んでいるらしい。さすが勉強は出来るが世情は知らぬエリート様だ。

イワシが不味い訳ではない。やり方が拙いのだ。簡単に塩焼きで食べれるサンマとは違った食べ方が求められるのがイワシだ。包丁を使わずに、手でばらせるイワシには、サンマとは違った調理法が必要だ。イワシの手開きなんて、慣れないと出来ないぞ。

せっかくの豊漁で沢山とれるイワシを食べようとエリート様が声を上げようと、下々の国民は戸惑うばかり。多分、エリート様はイワシを買い物して調理した経験なんてないのだろう。

ちなみに私は梅干しと一緒に煮込み食べるのが好きだが、捌くのはスーパーの鮮魚部の方にやってもらっている。その場で手開きするさまは、けっこうカッコいい。

寒流と暖流のぶつかり合う世界屈指の好漁場を抱える日本は、昔から近海魚を沢山食べてきた。そう思っている方は多いと思う。しかし、それは正しくない。近海で獲れる魚のうち、市場で取引され我々の食卓に並ぶ魚は、せいぜいが30種程度だ。ちなみに獲れる魚は数百種に及ぶ。

漁師の方が捕ってきた魚のうち、売り物になるのはその30種程度なのだ。市場で取引されない魚は海上で廃棄するしかない。しかし、それらの魚が不味い訳ではない。ただ、小骨が多いとか、知名度がないといった理由で、都市部の消費者が見向きしないだけだ。

水産庁が本気でイワシを売り込みたいのならば、まずは知名度を上げ、調理法を伝え、美味しいことを周知させることから始めるべきだ。イワシって丸ごと食べられる美味しい魚であることさえ、知らない人、けっこう多いだぞ。

コメント (2)
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