役人は間違いを認めない。
間違いをしない訳ではない。ただ人事考課の基準が減点主義であり、また連帯責任の気風が強いので、間違いがあってもなかったものと見做す悪習が根付いている。
私はマイナンバー制度自体は否定しない。情報の一元管理が行政効率を上げる効果があるであろうことは、行政職の経験がほとんどない私でもわかる。日本の行政は徹底して縦割りなので、それだけに非効率なのは確かだ。
しかし、この縦割り行政の壁は、ベルリンの壁よりも厚く固い。同じ建物の中にあってさえ、部門が違うと情報を他部門に出すことを渋る。まして異なる役所に対しては、可能な限り情報を出さない。だからこそマイナンバー制度が設けられたのだが、未だに上手く機能しているとは言い難い。
運転免許証をマイナンバーカードに共有させようとの発案は、一見受け入れられたかに思えたが、未だ音無し。水面下で警察が徹底的に抵抗したのだと予想している。一方、健康保険証のマイナンバーカードへの移行は、厚生労働省も乗り気に思えた。
しかし、これは国民の反発が強い。また医師会、とりわけ地方にあって医療を支える医師たちが大反対だ。霞が関に従順な岸田内閣ではあるが、さすがにそろそろヤバイと気が付いたようだ。おひざ元の選挙区に足しげく通う政治家ほど、国民の反発を肌で感じている。
問題は岸田首相を始め、閣僚クラスが異様に鈍いことだ。自民党の幹部も、揃いもそろって有権者たる国民の気持ちから離れすぎている。正直非常にまずいと思う。野党はそもそも国民の声を聴くことに関心がない。彼らは国民は我らの言うことを聞け、我に従え、我を賛美せよとの気質が強すぎる。
その点、自民党はまだ多少は有権者の声に気を使う。だからこそ選挙の話が立ち消えになったのだろう。マイナンバー制度のゴリ押しは、下手すると自公連立政権を瓦解させる可能性がある。
岸田首相がそのことに気が付かないと、本当にまずいと思いますよ。