誰がなんと言おうと、京極夏彦の本は重い、重すぎる。
その点、表題の作品は軽くて読みやすい。以前から京極堂の作品の漫画化を手掛けていた志水アキだけに上手くやっていると思う。
でも、なんなのだろう。この物足りなさは。一連の百鬼夜行シリーズに相共通する重厚さの欠片もない。だからこそ読みやすいし、漫画化とはそういうものだと言われればそう思う。
実際、さほど重厚で難題な事件が登場するわけではない。第一、主人公は女子高生だ。この位の軽さでいいのではないか。そう思わないでもない。
この作品、中禅寺秋彦がまだ古本屋を営む前の物語であり、陰陽師ものではない。むしろ偏屈な国語講師が、お転婆な女子高生に引っ張られて、止む無く事件解決をしてしまう軽妙な作品である。
もちろん榎木津や関口、木場といったお馴染みの面々も登場する。気軽に楽しめる京極堂ものと割り切れば悪くない。
でも、ほぼ確信している。きっと近いうちに重厚な京極堂本編を再び読みたくなると・・・こりゃ参ったね。