人生、なにが起こるか分からない。
まさか、まさかである。私は子供の頃から夏はいつも日焼けしていた。だから20代の頃に長期入院して、秋になって一番驚いたのは実は色白であったことだった。
身体がボロボロになった長期入院であったが、一番嫌だったのが、実は日焼けしていない色白の素肌であった。気持ち悪くて仕方なかった。だから翌年、痛い目にあった。
11月の終わりに退院したのだが、治ったわけではなく病状が安定したから自宅療養に切り替えただけだ。もっといえば、病室に空きが欲しかった総婦長の御意向であった。
11月の半ばに突如病室に現れて、本を読んでいた私をジロジロと眺めて「あなた、だいぶ元気になったわよね。ウンウン:・・・」そう言い放つと、翌週明けには若い主治医から退院を伝えられた。
少し釈然としないでもないが、当時長過ぎる入院生活に飽き飽きして、病院を昼間抜け出すことが多かったので、堂々退院できることは朗報であった。そして、自分の体力が激減していることに自宅で気が付く羽目に陥る。
そのまま春まで毎週外来に通いつつ、私は今年は日焼けしてやると堅い決意を持っていた。まさか日焼けすることが、あれほど体力を浪費するとは知らなかった。家でぐったりと寝込みながら、それでも日焼けした浅黒い肌に満足していた。吐き気がするほど、疲労したけど、ここはやせ我慢である。
そんな私であるからして、社会復帰を果たした後は、夏は日焼けするものだと決めつけていた。あの頃は休日になると、自転車にまたがり、日がな一日古本屋巡りをしていた。あっという間に日焼けしていたことに、軽い満足感を覚えていたものだ。
それなのに、この私が遂に日傘デビューである。
この年になると、日差しが辛い。日焼けはしたいが、すれば疲労感が半端ない現実にめげた。朝から肌を刺すほどの痛い日差しに根負けしてしまった。そこで使ってみたのがモンベル社の日傘である。
これが凄い。影の濃さが違う。熱の遮断具合が桁外れた。さすがアウトドアメーカーの風雲児であるモンベル社である。ちなみにこの傘、雨天時にも使えるので大変便利。重さが200gと携帯用としては少し重いのと、値段が5000円を少し超えるのが難点。でも、値段相応の価値はあると思いますよ。
一点、難があるとしたら、傘の色がシルバーで派手派手ってところかな。目立つのですよ。でも、日差しを遮るこの涼しさには替え難いのです。
増えましたね、男性の日傘。
ひと昔前は女性のものだったのですが、この殺人光線のような日差しでは女性のみならず男性もさえぎりたいと思うのは無理からぬこと。どんどん利用してください。