ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プロレスってさ ビル・ロビンソン

2013-02-06 08:45:00 | スポーツ

人間風車といえばビル・ロビンソン。

ちなみにこの綽名は、ロビンソンの得意技であるダブルアーム・スープレックスに由来する。イギリス出身であり、蛇の穴と恐れられたビリー・ライリージムの出身である。投げ技から関節技、寝技までイギリスの伝統的なレスリングを叩きこまれた正統派のレスラーとして知られる。

また私の記憶では、日本で活躍した外国人レスラーで初めての善玉(ベビーフェイス)であった。猪木とのフルタイム戦っての引き分け試合や、ドリー・ファンクJrとのタイトルマッチなど名勝負も少なくない。

まさに正統派のプロレスラーといっていい存在なのだが、私の印象は良くない。

こいつ、日本をなめてないか。

子供の頃からそう思っていた。私が観た試合が地方のローカル試合ばかりだったせいもあるが、手抜きというか全力さを感じさせない戦い方が好きでなかった。もっといえば、カッコつけ屋であった。

とにかく自分が主役、自分が格好良く見えることに拘るレスラーであった。また抜群のテクニックを持っているのは確かなのだが、それを「この程度でいいだろう」と出し惜しむ感じがして、そこが嫌だった。

生粋のレスラーであるロビンソンが日本をなめたのも相応の理由があるのは分かる。力道山以来、どうしても角界出身のレスラーが多く、しっかりとしたレスリングの基礎を習得していた日本人レスラーは少なかった。

ロビンソンもそのあたりプロだから、相手に合わせてプロレスをしていたが、その不満が増長に見えてしまうのは頂けない。また外国人初の善玉レスラーということで、けっこう美味しい思いをしていたらしい。彼には日本人女性の熱烈なファンがいて、彼女らに自分の格好いい姿を見せることに執着していたと聞く。

プロレスって奴は、ジャズのアドリブ演奏にも似て相手との息が合った時は抜群のパフォーマンスをみせる。だが、一方の演奏が独りよがりだと、せっかくの名曲も台無しとなる。

ロビンソンは素晴らしい演奏のテクニックを持ちながら、その独りよがりな演奏で全体を台無しにしかねないだらしなさがあった。とはいえ、時たまみせる抜群のテクニックは見応えがあり、それゆえに多くのファンを持っていたのも事実だ。

だが時には我慢できないこともある。プロレスとは興行であり、興行主(プロモーター)は大金はたいて外国から人気レスラーを呼ぶ。そのレスラーが手抜きをしているのは、時として我慢しがたい。

あの温厚なジャイアント馬場が、一度だけロビンソンの怠惰にキレたことがある。どうもロビンソンは胸に打ち身かなにかの怪我をしていたらしく、試合中にジャイアント馬場の得意技16文キックを受けることから逃げた。

どんなに怪我をしても仕事を休まなかった馬場には、その怠惰は許せなかった。なんと試合中にロビンソンを制裁してしまった。ちなみに怒った時の馬場は、チョップもキックも使わない。ただ、ただ踏みつける。

馬場はその体重145キロの巨体をもって、プロ野球で鍛えた強靭な脚力で踏みつける。マットでのたうつロビンソンを逃がさず、ひたすら踏みつぶした。

これは断じてプロレスの試合ではない。本来なら助けに入るはずのロビンソンの相方の外人レスラーも、また場外で見学していた他のレスラーたちも、誰一人ロビンソンを助けようとしなかった。当然であろう、これはプロレスの試合ではなく、興行主が怠惰な請負業者を制裁しているのだから。

皆、仏頂面で制裁を黙認していた。一人では立つことも出来なくなったロビンソンを仲間の外人レスラーたちが粛々と控室に運び込むさまは、妙に寒々しかったのが恐ろしく印象的であった。

これはプロレスではない。公開リンチを見せつけられた気分であった。私が観たプロレスの試合で、もっともツマラナイ試合でもあった。

ロビンソンは数日休んだようだが、以降もう少しましなプロレスをするようになったと聞く。

歴代でも屈指の人気レスラーであるロビンソンをえらく否定的に書いてしまったが、単なるショーマンシップのプロレスを嫌ったロビンソンは、やはり正統派のレスリングに誇りと拘りをもっていた。だから晩年、それが出来ないアメリカのプロレスを嫌がり、日本で後進の指導にあたっていた功労者でもある。

また気障なポーズをとったりする軽薄なところもあったが、プロレス界の用心棒の役割を務めるほどの実力者であったのも事実。シュートレスリングと言われた真剣勝負が出来る数少ないプロレスラーであり、その実力ゆえに増長してしまった男でもあった。

好きではなかったが、忘れがたき名レスラーであったのは間違いないと思います。

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フランケンウィニー

2013-02-05 10:59:00 | 映画

子供向け映画は難しい。

決して悪くはない映画だと思う。だが、最後だけしくじった。子供向け映画の最後はハッピーエンドであるべきだとの考え方は分かる。

分かるけど、どうしようもない現実(愛するものの死)に対処できるようなるには、やはり訓練が必要だ。

だからこそ古来より子供向けの童話、寓話には悲劇を堂々と描いてあった。もちろんハッピーエンドだってあるが、アンハッピーエンドがあることも大切だと思う。

童話や寓話には、子供の心を強くさせるワクチンの役割があると信じているからだ。

だからこの映画の最後は、どうしようもない現実を受け入れる結末であるべきだ。私は映画の終わる直前まで、その方向に進むのだろうと予測していた。映画自体がそのような方向性を示していたからだ。

ところが最後の最後でハッピーエンド。

正直言って、がっかりした。想像だけど、多分営業サイドの横やりだと思う。奇才ティム・バートンの個人的意向の可能性もあるが、アンハッピーエンドを嫌う営業サイドの意見が通った可能性は高いように思う。

もっともアメリカでは、子供向けはハッピーエンドであるべきだとの固定概念が強い事情があることも分かる。でもねぇ、この映画に限って言えば、アンハッピーエンドでも納得できると思うのだよね。

全体的には、きわめて個性的な良い映画だと思う。ただ、ちょっと残念感が残るのが不満でしたね。

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夢見通りの人々 宮本輝

2013-02-04 10:07:00 | 

外見だけではわからない。

往々にして人は外見で判断する。外見だけで人を判断することは、安全に距離を置くことでもあり、またその判断も世間の常識に照らして相応であることが少なくない。

だけど、実際に接し、話し、笑い、怒り、ぶつかり合い、そして初めてその人の真実が分かることもあった。たしかにあった。

その真実は必ずしも優しくはなく、多くの場合残酷でさえある。それでもだ、時として貴重な果実に出会えることもある。極々稀だとはわかっている。それを知るまでに失ったものは少なくない。

だからこそ、外見だけでは分からないと断言できる。分かった真実は、往々にして冷たい現実であり、自ら望んだ夢とは程遠い。でも、それこそが人生。

宮本輝が冷たく描く夢見通り商店街で暮らす人々の真実。無残で、酷薄で、軽率な真実。それなのに読後感が暖かい。不思議な作家だと思うけど、これからも読み続ける作家の一人だとも思う。機会がありましたら是非どうぞ。

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ナマケグマのため息

2013-02-02 12:48:00 | 日記

私の本性はナマケグマである。

とにかく怠ける時間が大好き。忙しくて猫の手もひったくりたい時でさえ、合間をみつけて怠ける時のスリルと後ろめたい悦楽は癖になる。そして、だからこそ、やるときは徹底的にやる。

このメリハリが大事なのさ、とナマケグマは言い訳している。

ところで年末はなんだかんだと31日まで仕事をしていた。だから正月三が日は、ずっと家にこもっていた。天皇杯サッカー決勝と箱根駅伝をTV観戦したり、CS放送の007特集とロードオブザリング三部作をだらだら観ていた。

人に会う用事もなかったので、久しぶりに無精ひげを伸ばしていた。以前は土日は髭を剃らず、お肌の休養日などと言い訳して無精していた。でも、ここ三年ほど週末は母を見舞いに外出していたので、土日も髭を剃っていた。

だから髭を伸ばすのも久しぶりである。髭は濃いほうなので、数日あればくっきりと髭らしい髭となる。で、ショックを受けた。

なんと髭の中にうっすらと白髪が混じっていた。ア~ア、ふう。(ナマケグマ風に気怠く)

そうか、もうそんな年なんだと自分を納得させるが、やっぱりショックだった。ステロイド剤や免疫抑制剤を多量に服用していた副作用で髪が抜けて薄くなるのは、分かっていたので驚きはない。でも、薄くなった上に髭に白髪が混じるとは、やはり驚きである。

冷静に考えてみると、うちの家系はどちらかといえば禿げ、薄毛は少なくて、白髪が出るタイプである。その意味では相応なのだと思いなおす。

もっとも、だからといって白髪染めを使う気にもなれず、7日朝の仕事始めの前にはそり落とすつもりなので、そのまま放置する。このあたりの無精さがナマケグマである。

ちなみにナマケグマは何でも食べるが、蟻が大好き。写真のナマケグマの長大な爪に驚くと思うが、あれはアリ塚を崩すために進化したらしい。わりと温和な熊だそうだが、インドではベンガルタイガーでさえ距離を置く実力者。でも、熊らしく普段はゴロゴロしているようだ。絶滅が危惧される希少種でもある。大切に保護して欲しいものである。

コメント (4)
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とりあえず

2013-02-01 12:36:00 | 日記

ご心配をおかけしましたが、とりあえず病院から一時外出許可を貰い事務所に出てきました。いやいや、のんびり入院している場合ではなく、仕事が山積しています。でも、命に係わる大病なので、さすがに今回は慎重です。今は検査の順番待ちなのですが、来週には退院する予定です。
ありがたいことに病室にノートPCを持ち込めるようなので、帰宅したら持参するつもりです。ブログの記事自体は、1週間分以上のストックがあるので、それをこつこつアップしていきます。
なにせ病室では本を読むぐらいしかすることがなく、イライラしていたのでPCを持ち込めることは、たいへんありがたいです。
焦っても仕方がないことなので、ペースを抑えるつもりですが、早く元のペースに戻れるよう努力するつもりです。多少レス等が遅れると思いますが、御寛容のほどよろしくお願いします。

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