タイムトラベルは鬼門だと思う。
時間旅行がSFに取り上げられるようになってから、幾多の作品が作られてきた。が、正直言って、タイムトラベルものには傑作は少ない。理由は簡単で、まずタイムトラベル自体が、未だよく分かっていないからだ。
過去は変えられるのか。ならば未来も変わるのか。
この命題一つをとっても不確定でありそれゆえに、過去の不可逆性を多次元宇宙論などで回避させたロジックを利用した作品も書かれている。でも、どうしても中途半端感が否めない。
この映画でも、どうしてもタイムトラベルの矛盾が納得できず、それが中途半端感を残してしまう。過去を変えることで、未来は本当に変わるのか。この疑問がどうしても残ってしまう。
ストーリーは確かに面白いが、あのラストの機転により未来が変わったのかさえ曖昧となる。未来は変えられるとの前提を確信しきれない曖昧さが、作品全体をぼんやりとしたものにさせてしまう。
更に不満を感じたのが準主役といっていいブルース・ウィルスの存在。ファンの方には申し訳ないが、ブルースの存在感の強さが邪魔だったと思う。おかげで作品全体のイメージがばらついてしまっている。
人気スターの集客力は分かるが、あれではストーリーのバランスが崩れてしまう。そこが残念に思えてならなかった作品でした。