ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

逃亡犯条例騒動

2019-06-21 13:07:00 | 社会・政治・一般

壁新聞というものをご存じだろうか。

日本でも学生運動が華やかな時代には、大学校舎の壁に様々な団体がその政治的な主張を紙に書いて、学生新聞として貼りだしアピールしていたものだ。

これは世界各地で同じようなことが行われていた。なかでも悪名高いのが共産シナの「北京の春」であろう。カコクホウが実権を握る北京政府のおひざ元で、街の一角に壁新聞が張られて、市民たちの注目を集めたことがある。

大学教授や学生などエリートたちが、自由闊達に自らの意見を張り出した壁新聞は、西側社会でも注目された。なかでも日本のマスコミは、北京の壁新聞こそ、自由と民主の最先端であると絶賛したものである。

たしかに自由な意見が多かった。モウタクトウ批判から文化大革命批判まで従来では考えられぬ主張が日の目を浴びているのだから、これは驚き以外の何物でもなかった。

だが、これは仕組まれたものであった。政権の座を追われたトウショウヘイは、この壁新聞を利用して反政府的な人間を見つけ出し、政権批判を許す政府の落ち度として、カコクホウを政権の座から追いやった。

そして反政府的言論を弄するエリートたちを投獄して権力の座を確保した。なんてことはない。自由な言論とは、政府が反政府的な人間を見つけ出す為のエサに過ぎなかった。もっといえば、トウショウヘイの復権のための手段でしかなかった。

これはさすがに根強い反発を産み、やがて天安門事件へとつながる。そして、その結果は全国規模の弾圧である。

さて、この二週間ほど香港では、「逃亡犯条例」に対しての反対デモが騒がしかった。どうやら、今回は先送りになりそうな感じであり、軽薄な日本のマスコミがこれを自由と民主主義の勝利だと浮かれているようだ。

馬鹿なの?

遅かれ早かれ、香港は共産シナの統治下におかれる。今、北京政府が求めていることは情報である。すなわち反政府的な傾向のある人間の情報である。今回のデモは、間違いなくその情報収集に活用される。それが独裁政権といったものである。

私がもし、今回のデモに参加していたのなら、早晩国外に脱出することを第一に考えますね。今回の騒動は、自由と民主主義の勝利ではなく、終焉の始まりだと理解するべきです。

まァ平和ボケした日本人には、なかなか理解しがたいと思いますけどね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イラン訪問に思うこと

2019-06-20 12:04:00 | 社会・政治・一般

もしかしたら中曽根首相以来の外交上手な首相として名を残すかもしれない。

先週のことだが、安倍首相がイランを訪問している。外交交渉の多くは機密事項なので、そのすべてが明らかになるはずはないが、多くの識者が指摘しているように、アメリカのトランプ首相の意を受けてのイラン訪問であろう。

もちろんイランがアメリカの意向に沿う訳もなく、外交的な成果はまったくなしである。おまけにホルムズ海峡でのタンカー攻撃事件もあり、安倍外交の失敗だと誹謗する意見も散見する。

だが、私の見かたは違う。そもそもアメリカの意を受けてのイラン訪問となると、アメリカが安倍首相を相当に信頼していることの証である。私は日本の安全保障、すなわち平和が維持されるかどうかは、アメリカとの関係次第だと考えている。

だが首相がコロコロと変わる日本は、なかなかアメリカからの信頼を得られずにいた。数少ない例外が、中曽根首相であった。どうやら安倍首相の同列に考えて良さそうだ。

また、トランプの替わりだと知りながらも、イランは安倍首相を受け入れている。しかも首相に対応させただけでなく、最高指導者のハメネイ師との会談まで用意している。これはイラン外交では最高レベルの対応である。ちなみに安倍首相はかなりの歓待を受けているのだが、何故だが日本のマスコミは報じていない。

目に見える成果こそなかったが、日本がイランとアメリカとの橋渡し役を双方から認められた証でもある。今の段階で失敗云々を口にするのは早過ぎると思う。このような仲介役は、普段ならイギリスとかフランス、あるいは北欧の国が担う事が多い。決してどの国でも気軽に出来ることではない。

なおタンカーへの攻撃が、今回の日本とイランの会談に水を差す目的であったか、どうかは分からない。あの地域の不安定さは、そう簡単に紐解けるものではないからだ。

現在、ホルムズ海峡の奥の海では、サウジとカタールが争い、イランとイラクが不穏であり、ソマリアも怪しい。何があってもおかしくない海域である。

安倍首相が日本の憲政史上、指折りの外交上手であることは確かなように思うのです。ただなァ~、外交ばかりに力を入れず、内政とくに経済に力を入れて欲しい。アベノミクスに対する評価は、現時点では55点。落第ではないけれど、合格点は上げたくないのが私の率直なところですから。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猫殺し

2019-06-19 12:44:00 | 社会・政治・一般

イジメは伝染する。

もちろんイジメ菌なる病原体がいる訳ではない。だが、一人が誰かをイジメると、周囲がそれに同調することは珍しくない。その場合、個人差はあるが、イジメられる人にも、その起因となるような原因があることが多い。

服装が汚いとか、臭いがするといったものから、特殊な趣味とか、個性的すぎる性格が原因であることもある。これを書くと反発する方もいるだろうが、苛められやすい人って確かにいる。

つまり、苛められる側にも原因はある。だからといってイジメを正当化する気はない。私は基本、戦うなら対マンと決めつけていたので、集団でのイジメには嫌悪感が強い。

それは卑怯だし、苛められる側に原因があっても、それは単独でやるべきだと思っている。

私は子供の頃、何度か転校を繰り返しているので、いわゆる転校生イジメの対象となったことがある。これは新参者が受けるある種の試練だと思っていたので、仕方なく受け入れた。

これは私自身が、転校生を苛めた側であったこともあり、致し方ないと思っていたからである。

ところで冒頭に書いた「イジメは伝染する」とは、もう一つ意味がある。それは苛められた側が、同じようなイジメを他者にやることを意味している。やられたことを、やった当人ではなく、他の弱いものにやることは決して珍しくないと思う。ちなみに、苛めた奴にやり返すぐらいの気概がある奴は、あまりイジメられることはない。

先週のことだが、富山で飼い猫を盗んで虐待して殺した犯人が捕まった。人に馴れた飼い猫のほうが捕まえやすく、そのための罠まで購入している確信犯である。しかも、判明しているだけで50匹の猫を殺している。

私はこのニュースを病院の待合室で視た。猫保護のNPOの団体の方が、この新村容疑者に対して、何故猫を虐待したのかと尋ねると、その答えに唖然とした。

曰く「寂しかったから」。

寂しいから猫を飼うなら分かる。だが、他人の家族でもある飼い猫をさらって、檻に入れて虐待し、最後は殺してしまう神経が分からない。

外見で判断するのもどうかと思ったが、TV画面に映っている新村容疑者は52歳とは思えないほど老けている。同時に私は直観した。この人、若い頃、相当ないじめに遇っているだろうと。

一人で寂しかったなどと言っているところからして、他人とのコミュニケーションが苦手なのだろう。同時に孤独に耐えうるだけの精神的な強さもない。

偏見かもしれないが、子供の時期にイジメに遇い、それに上手く対処できなかった子供は、イジメという形でのコミュニケーションが一番強く心に刻まれてしまう。

苛められた子供時代を持つ人は、えてして苛める側に回ることは良くある。この新村容疑者は、他人を苛めることは出来ず、弱者である猫を苛める形で、社会と上手く関われないストレスを解消していたのではないかと思う。

なんともやり切れない陰惨な事件だと思う。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鬼滅の刃 吾峠呼世晴

2019-06-18 13:11:00 | 

この漫画、私的には反則である。

多分、全国のお兄ちゃんはそうだと思うけど、妹から「お兄ちゃん」と甘えられると、なかなかに断りにくい。なんだろうね、この強制力は。私なんて、それが厭で山に逃げたんじゃないかと思うことがある。(まァ本音は、一人になりたかっただけだけどね)

汗臭く、埃っぽく、身体的に苦しい山登りならば、妹たちはついてこないだろうと思っていた。事実、妹たちは、山登りに夢中な私と距離を置くようになっていった。

言っておくけど、別に妹たちと不仲である訳ではない。ただし親しくもない。なぜだか知らんが、全員がそれなりの距離を保っている。私にとっては快適な距離である。まァ、世間一般的には、家族に冷たい兄が私なんだろうと自覚はしている。

でも世の中には、大人になり、家族を設けたにも関わらず、お兄ちゃんの制約から逃れられない人も、ままいるようである。親なら先に死ぬが、妹はそうではないので、殊更厄介だと思う。

だからこそ、表題の漫画は私にとっては反則である。鬼に襲われ母や弟や妹たちを惨殺された主人公は、唯一生き残った妹を助けようと山を下る。だが、鬼の血を傷口から取り込んで、鬼と化してしまった妹に襲われる。

鬼を討伐に来た謎の青年に救われるが、そこで聞かされた絶望的な宣告。だが、どうしても妹を助けたい主人公は、敢えて運命を肯んじない。鬼と化して言葉を失った妹も、なぜか兄への気遣いをみせるところが困るじゃないか。

お兄ちゃん、泣いちゃうぞ。

そんな訳でこの漫画、あまり積極的に読みたくない。でも単行本を見ると、ついつい読みたくなるから頭が痛い。頼むから、敢えて兄に殺されることを選ぶ妹といったエンディングだけは止めてくれ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

期待の若手

2019-06-17 12:21:00 | スポーツ

頼むから馬鹿を繰り返すな。

日本サッカー界の最大の欠点は、既成の枠を超えたような天才型の選手を育てることが下手くそなことだ。私が認める過去の成功例は、わずかに3名だけ。

まずは小野伸二、中学生の頃から、そのプレーは異次元。あの膝の怪我さえなければと、どれほど悔やんだことか。そして中田英寿と中村俊輔。ただ、この後者二人は努力の人であり、天才的ではあったが、周囲の意見を聞かない人であったがゆえに成功したと私は思っている。

天才肌の選手なら他にもいた。名波や久保竜彦なんて、見て真似できる選手じゃない。第一、名波は正統派の選手で奇をてらうようなタイプではない。天才的ではあったが、どちらかと云えば秀才型、努力型だ。

そこそこ優秀な選手ならば、他にも幾人もいたし、その育成の功績を認めることには吝かではない。

しかし、失敗例が非常に多い。本当に多い。長年サッカーを見続けてきた私は、それが悔しくてならない。

古くは読売クラブの天才・菊原司郎。Jリーグには間に合ったが、大成することなく引退している。帝京出身の磯貝も凄かった。私は国士館大学の選手であった頃の磯貝を見たことがあるが、一人だけ異次元でプレーしていた。

他にも和製フリットの異名をもった石原や、中田も認めた天才児・財前、怪我さえなければ怪物だった小倉隆史など、過去に優秀な選手は幾人もいた。彼らが成功できなかった理由の一つは、日本のサッカー指導者の力量不足。これは近年、だいぶ改善が進んでいる。

そして、私が今でも不愉快に思っているのが、スポーツ・マスコミのレベルの低さというか、低俗さ。これはJリーグ以前、高校サッカー全盛の頃から変わっていない。

ちょっと凄い選手が出てくると、すぐにスター扱いをして紙面を飾らせる。これに呼応してサッカーの中味ではなく、券\人的な感覚で持てはやす映像メディア。こうなると、必ず湧いて出てくる軽薄な女性ファン。

若くて体力、精力に満ち溢れた若者に、この誘惑は辛い。気が付くと、引き締まった身体は弛み、スター気分の傲慢さが顔を覗かせて、チームメイトから嫌われる。

本来、一番厳しく鍛えなければならない時機に、スター選手としてちやほやされて堕落する。商業マスコミが、紙面を飾る目玉となるスポーツ選手を欲するのは理解できるが、それに乗せられる選手が馬鹿だ。

馬鹿だと思ってきたけど、金と女の誘惑に耐えるには、強固な自制心が必要となる。やはり20代の若者には辛すぎる試練である。それと知りつつ、相変わらず未熟な若手を持ち上げて紙面を作っているのが、スポーツ・マスコミである。

今、日本の若手サッカー選手で最も光り輝いているのが、久保建英である。頼むから、この異才を潰さないで欲しい。スター候補ではあるが、まだまだ成長が必要な若手である。

10歳でスペインの名門バルセロナの年少部に入り、その才能を認められながら、法規制の変更によりトップデビューを果たせず、止む無く日本に戻り、FC東京でその才能の輝きを披露した期待の若手である。

紙面を飾りたいマスコミの甘言に騙されずに、素直にこのまま育って欲しいものである。

追記(6/15) なんと久保選手、バルセロナのライバルであるレアル・マドリッドへの移籍が決まった模様。バルサでないことは少し残念だが、レアルで揉まれて更なる成長をして欲しいものです。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする