ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

素人診断

2019-06-14 13:34:00 | 日記

梅雨が始まる前は、案外と気持ちよい晴天の日が多い。

十数年前のことである。その日も風はそよやかで、日差しは柔らかい、とても気分の良い日であった。だが、昼食を終えて事務所に戻り、お茶を飲みながら仕事の手順を考えていたら電話がなった。

すぐに出ると、いきなり怒鳴られた「なんで来ないんだァ~!」

誰だ、この人。声の感じからすると、顧客のA親方ではないかと思われた。はて、約束なんてしてないぞ。

妙に思い、とりあえず先方の言い分を聞いてみる。が、どうも支離滅裂である。挙句に最後は泣き出してしまった。どうなっているの?

急遽、A親方の元に行くことにした。

上手く急行に乗れれば、一時間かからずに着く。工場にいってみると、雰囲気がヘンだ。いつもはパートのおばちゃんたちの笑い声が絶えない、とても賑やかな工場なのだが、まるでお通夜みたいに静まり返っている。

奥の作業場に行くと、何事もなかったかのようにA親方が仕事をしている。いつものようにニコニコとしている。あれ?さっきの電話は、なんだったのだ。

妙に思い、トイレを借りると言って、自宅のほうに行くと、奥さんがなにか言いたげに私を見つめている。やはり、なにかあったのだろう。ただ、自宅と作業場の距離が近く、内緒話は無理だ。

取りあえずA親方の話を聞いて、来月の訪問を約束してその場を立ち去る。その時、奥様にメモを渡しておく。駅前で待つこと数十分。買い物姿の奥様が、待ち合わせの喫茶店に現れた。

そこで事情を聞いたところ、三週間前からA親方の様子がおかしいようだ。奥様は若年性痴ほう症ではないかと疑っているようだ。私もそう思わないでもないが、ここで素人判断は禁物と思い、こちらでも調べてみますと言っておき、事務所に戻る。

事務所に戻ると、幸いにもS先生が居たので事情を説明する。少し沈黙した後、もしかしたら、それは脳の病気ではないかと言い出し、顧問先の内科医のB先生に電話をしてみると言い、すぐに連絡をとった。

その後の展開は早かった。B先生は至急、脳のCTを撮ることを求めてきたので、その日の夜、S先生とA親方の自宅に赴き、嫌がるA親方を引っ張り出して、近くの救急病院へ連れて行った。

一旦、私らは近くのレストランで夕食をとり、数時間後に病院へ行くと、入院どころか緊急手術が始まっていた。なんと脳梗塞であったようで、奥様が脱力したかのように長椅子に倒れ込んでいた。

手術は上手くいったようだが、その際に脳腫瘍も見つかり、入院生活は長引いた。長い入院生活を嫌がったA親方は、半ば強引に退院したが、自宅では酒に逃げて最後は自殺に近い形で交通事故を起こして死亡。酔ったまま、バイクで壁に突っ込んでの事故だから、自殺を疑われても仕方ないものであった。

今から十数年前の事である。守秘義務があるので、フェイク相当入っていますが、概ね事実に基づいています。

私も当初は痴ほう症だと思っていました。病院通いの長いS先生は、いろいろと病気絡みのトラブルを知っていたので、すぐに脳の異常を疑ったそうです。

過ぎたことですが、もう少し手術が早ければ、リハビリも楽だったはずだとの話を奥様から聞かされました。勝手に痴ほう症だなんて素人判断をしたことが、あの人の寿命を縮めてしまったのでしょうと奥様に泣かれた時は、慰めようもなかったです。

情報が溢れる現代社会だからこそ、素人の思い込みにる結論は危険なのだと痛感した事件でした。棚の上にあった過年度のファイルを整理していたら、たまたま出てきたA親方の最後の申告書を見て思い出した次第です。

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老後の資金2000万円

2019-06-13 12:14:00 | 経済・金融・税制

割と失言が多いとされる麻生・大臣だけど、これは失言ではないと思う。

失言ではないけれど、失言よりも性質が悪い。老後の生活資金である国民年金では不足なので、預貯金を2千万円必要であると、実に正直に述べておられる。

安倍首相に負けず劣らずの富裕層のご出身である麻生氏には、2千万円の預貯金はさほど多いとは感じていないことが良く分かる発言である。

日本人は貯金好きな国民だとされているが、それはその人の育ち方、働き方、考え方などによりかなり差異がある。また本人に責任なくても、時代の流れの中で大きく資産を減らした方は少なくない。

特に日本人は土地を価値の減らない資産だと考えていたので、バブルの崩壊により大きく資産を減らした方は珍しくない。また東日本大震災の際の放射能事故により、時価数億円の不動産が、あっという間にその価値を大きく減らし、相続税の心配がなくなってしまった資産家も実在する。

元々、麻生氏の発言は、金融庁の作成した書類が元ネタであり、要は国民年金が老後の生活の柱とはなれない残酷な現実を国民に暴露したものである。

おそらくだけど、金融庁としては、消費税増税に向けて国家財政の不安ぶりをアピールしたかったのではないかと思う。霞が関のお役人様だと、退職金を含めれば老後の2千万円は、特に問題のない数字に過ぎない。また大企業に長年勤めた方なら、やはりそれほど問題ではない。

しかし、日本の国民の6割以上は、退職金など期待できない中小企業勤務者である。例外はもちろんいるが、大半の家庭では老後の資金2千万円なんて、あまり現実的な数字ではない。

そのことが分かっていないお役人らしい認識が露呈した訳である。そして、その原稿を疑うことなく、素直に読んでしまったのが麻生・大臣であろう。

安倍政権の失態だと批難しているようだが、これは長年国民年金を担当していた厚生労働省及び日本年金機構の問題である。高齢者社会の到来を分かっていながら、税金(消費税)で補填すればいいと無責任なことをやってきた結果である。

安倍政権が下野したところで解決する問題ではない。まァ野党及びマスコミとしては対案あるいは解決策などは考えておらず、ただ、ただ反対すれば良しのお方々なので、騒いでお終いとなるだろう。

国民の一人としては、如何に国民年金があてにならないかを確認できたことが、今回の騒ぎの成果ですかねぇ。さりとて、年金積立の代わりに株式投資はお薦めしかねますけどね。

まァ長生きが期待できない私としては、けっこう醒めた目で、今回の騒動を見ています。

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安倍政権の失態?

2019-06-12 13:41:00 | 社会・政治・一般

日本のマスコミの軍事音痴も困ったものである。

先週のことだが、トランプ大統領と約束して最新の高価格戦闘機F35を100機購入する安倍政権に対し、アメリカは今年度予算で旧型のF15EXを発注するとの記事が出ていた。

既に昨年から予測されていたことだはあるが、私のその記事に呆れたのは、F35より大幅に安いF15EXをアメリカが購入する一方で、超高額なF35を大量に購入する安倍政権を批難する内容であったことだ。

この記事を書いた記者、バカなのか。

日本がF35を購入するのは、既に半世紀を経過したF4ファントム(日本は未だ現役)の引退と、既に旧型化しているF15の代替機としてである。いずれも対航空機を目的とした戦闘機である。トランプ以前より計画されていたことが実施されただけである。

一方、アメリカが新規発注するF15EXは、攻撃機である。既に実績ある攻撃機であるF15ストライクイーグルの発展系がEXなのである。F35は多用途に仕える戦闘機だが、やはり専用機に比べれば爆弾やミサイルの搭載量が少ない。

双発のF15は大量に爆弾、ミサイルを搭載できるので、ステルス機であるF35に先行させて敵レーダーサイトを破壊し、制空権を確保したうえで地上施設を攻撃する目的としてのF15EXである。

この記事を書いた記者は、この事を分かっているのか。それとも日本にも地上攻撃機を多数導入しろとでもいうのか。

思うに、ただ単に購入単価が安い点だけに着目した間抜けな記事なだけだと思う。確かにF35は高額である。でも、現状、日本の周辺の敵性国家であるロシア、シナは、第五世代の最新の戦闘機を導入している。

いくら専守防衛とはいえ、第四世代のF15では防衛戦力として、明らかに能力不足であることは明白である。ただ、最新の高性能機ゆえに、今後もトラブルは頻発することは確かだが、これは致し方ないこと。

民生品と異なり、軍用品は実際に使ってみないと分からないことが多いのが実情である。オスプレイもそうだが、最新鋭の武器であればあるほど、製造上の欠陥などが後から判明するリスクは確かにある。

しかし、明らかに時代遅れな兵器で国を守るほうがリスクは高い。強い武器を持っているからこそ、襲われる可能性は低くなる。これが軍事上の常識である。

マスコミ様が必死で安倍政権を貶めようと努力奮闘されているのは分かるが、今少しまともな記事を書いて欲しいものである。

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仮病

2019-06-11 11:58:00 | 日記

犬だって嘘をつく。

公団のような集合住宅では、犬を飼うことは出来ない。犬好きの私としては、仕方ないと思いつつも、傍らにワンコが居ない生活に不満を抱いていた。でも飼えないことには納得していた。

それでも、気が付くと犬を飼っているクラスメイトと仲良くなることが多かった。それほど人間関係に積極的ではない私であったが、ワンコは別腹である。

人に飼われているワンコならば、大概仲良くなれる自信はあった。小学校のクラスメイトのK君の家には、茶色の柴犬が居て、私はしばしばこの柴犬目当てでK君のところへ遊びに行っていた。

ある日のことだが、遊びにいくと柴犬が足を引き摺っていた。どうしたのかと尋ねると、散歩中に公園の崖からずり落ちて、それ以来足を引き摺るのだそうだ。心配なのか、いつもは家の奥に居て出てこないK君のおばあちゃんまで縁側に出てきて、骨付きの肉を与えたりしていて、ワンコはひどく嬉しそうであった。

その翌日であった。別口の用事があって私がK君の家の前を通りかかった時である。K君の家は庭が広く、垣根越しにワンコの姿が見えた。おや?なにやら土埃が立っているし、唸っている声がした。

覗いてみたら、骨を咥えた野良猫が、庭の木の枝に居て、その下でワンコが駆け回り、唸っていた。はァ~、骨を横取りされたんだなと気が付いた。そこで手伝ってやろうと庭に入り込み、木をゆすってあげた。

猫は驚いて、枝から飛び降りて逃げだしたが、その際に骨を落としていった。すかさずワンコは駆け寄って、骨を取り返した。尻尾をふりふり誇らしげである。おい、その功績は俺のおかげだろうと思いつつ、良く見るともう足を引き摺ってはいない。

もう、足は治ったのかと言ったら、急にワンコが俯いて、ちょっと上目づかいに私を見上げて、再び足を引き摺りだした。

ぷぅ~と私は噴出した。こいつ、演技してやがる。思うに公園の崖から落ちた当初は、本当に痛かったのだろう。でも、その後足を引き摺る姿に同情した家族から優しくされて、それに味を占めたのだと思う。

K君の家族は、その犬を可愛がってはいたが、どちらかといえば普段は放置気味。だからこそ、よそ者の私に懐いたのだと思う。でも、本当はK君たちに可愛がって欲しかったのだろう。

私は、仮病もほどほどにしておけよと声をかけて、その場を立ち去った。いつもなら道路の入り口まで付いてくるのだが、その日はばつが悪いのが、その場にうずくまっていたのが可笑しい。

あのばつの悪そうな表情は、今でも忘れがたく覚えています。犬って、けっこう表情豊かな生き物なんですよ。

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改めて北方領土に思うこと

2019-06-10 12:49:00 | 社会・政治・一般

戦争発言をやらかした丸山議員に対する非難決議とやらが、国会に上がっているようだ。

正直、法的実効性のない決議なんて時間の無駄だと思うが、世間様に向けてのアピールなのだろう。まァ、ロシアは評価しないと思いますけどね。

真面目な話、ベーリング海峡からアリューシャン列島を経て、北方四島まではロシアの絶対防衛圏である。

もしロシアが平和的に北方4島を日本に返還することがあるとすれば、まず第一条件は日本がアメリカとの同盟関係を解除することだ。北極海を挟んで隣国であるロシアとアメリカは、地政学的に対立するポジションにある。

アメリカを警戒すべき敵性国家だとロシアが認識している以上、この絶対防衛圏は守らねばならぬ。自国の防衛を、なによりも第一条件に考える普通の国ならば、当然の結論である。

日本が如何に経済協力だと文化交流などを推し進めようと、この基本条件に何ら影響を与えることはないと断言できる。話せば分るという日本人が大好きなお題目は、国際関係に於いては愚者の戯言に過ぎない。

更に付け加えるならば、ロシアの本音は北海道であろう。実際に第二次世界大戦後にロシアは北海道を要求している。これはアメリカが警戒して認めなかったから、今の日本の平和がある。

なお、忘れ去られているが、ロシアは日本がポツダム宣言受諾後の停戦後においても武力侵攻を止めず、南樺太での戦闘は継続された。もしこの時、第五方面軍を始めとした日本軍の抵抗がなかったら、北海道にも侵攻していた可能性は非常に高い。

実際、極東軍事裁判に於いて、スターリンは樺太で日本軍を率いて戦った将兵を戦犯として裁くことを要求している。よほど悔しかったのだろう。この時、第五方面軍の司令官であった樋口中将は、シベリアでユダヤ人を数千人助けたことから、アメリカに無事逃げたユダヤ人協会が動き、その影響力を行使して戦犯とはならずに済んでいる。

私は断言するけれど、ロシアは未だに北海道に関する野心を捨ててはいないと思う。ただ、アメリカがそれを認めないが故に実行できずにいるだけだ。日本の平和憲法なんて、まるで役に立たないことは言うまでもない。

近年は対シナのために、自衛隊は南方面に力を入れているが、北海道の自衛隊は健在であり、ロシアに対する警戒心は緩めていない。実際問題、ロシア空軍機による領空侵犯は、今も変わらずにありますから。

お分かり頂けるだろうか。現状、ロシアが北方領土を日本に返還する可能性など皆無に近いことを。国防を第一に考える普通の国であるロシアにとって、北方4島は、欠くべからざる防衛の要である。

口先平和主義が横行する異常な国、日本が望む平和的な4島返還なんて、まずあり得ません。だからといって、碌な準備も覚悟もなく戦争発言をするような安易すぎる議員様も困ったものですけどね。

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