入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

       ’16年「春」 (16)

2016年03月17日 | 牧場その日その時



  桜の開花予想が報じられた。寒の戻りが今後幾度かあったとしても、3月の20日ごろには東京、信州は4月始め、そして入笠は5月前後か。

 みんな山では何を食べているのだろう。インスタントラーメン、うどんなどの麺類、カレーや雑炊などのご飯もの・・・、こう書いていてもあまり食欲が湧いてこない。サラミ、チーズ、チョコレート、アンパンなどの行動食も、薬でも飲むように食べたものだ。
 単独行で名を馳せ、北鎌尾根に逝った加藤文太郎は、新田次郎の「孤高の人」によれば、干した小魚をよく食べていたとある。彼が活躍したのは大戦前、亡くなったとき(1938年)はすでに中国大陸において”事変”という名の戦争が始まっていた。そういう時代のことだから、口にするものと言ったら粗末な食べ物しかなかったはずだが、そういうことは彼にとっては大した問題ではなかっただろうし、多くの日本人が餓(かつ)えていたときでもある。
 山で旨い物を食べようとしたり、楽をしようと考えるようになって、堕落した、というか、退場すべき時が近付いてきたことを識った。いくらでも食べ物の豊富にある時代に、山でくらいは少々味気ない物を食したからといってどうということではない。また、山登り、登攀というご苦労な行為において、楽などしようと思うのは姑息で、品がない。 ところが、少しでも荷を軽くして、利用できる交通機関は最大限利用して、山でもできるだけ快適さを求めるようになった。すき焼きや焼き肉が一度は献立に上るようになって、温泉に入るのが、いつの間にか半ば目的に変わってしまった。雪の上にテントを張って寝たなどというのは・・・、ウムー、3月の上高地で、それも、もう3年も前のことになる。
 牧場へキャンプに来る人の様子も変わった。小さな家が1軒引っ越してきたかと思うような豪華な装備を広げる人たちもいる。山にいて、都会の暮らしと同じことをしようと考える人が増えた。牧場管理人も、古い頭を切り替えねばならない時がどうやら来たようだ。さもなくんば、ここでも「退場!」、か。今日、来年度の仕事の契約をする。

 巣鴨さん、また山のこと、山岳会のことあれこれ話しませう。Nさん、このごろ沙汰ないですが変わりはないですか。そろそろ来年度の営業案内も作らねばならないが、とりあえずは27年度を参考にしてください。
コメント
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