
Photo by Ume氏
午前5時半、気温マイナス3度C。1時間前、早立ちを決めたF/59さんの車がスタックして、それで脱出を手伝った。そのときはまだ夥しい数の星が夜空一杯に見えていたが、西の空が明るくなりかけたころ外に出て驚いた。一夜頭上であれほど賑やかな光の競演を続けていた星たちが、嘘のように消えていた。まるで華やかな踊り子たちのいなくなった舞台のように、虚ろな、色のない空だけが広がっていた。
昨夜は小屋に10名、管理棟の10畳2部屋にもそれぞれカント氏とF/59さんが泊まった。夕暮れ、宿泊者全員で望遠鏡を使って三日月を眺めた。初めての体験だった人もいて、視界の中に飛び込んできた目前の迫力のある月の表面、クレーターの作る陰影に驚きの声を上げていた。
その後も、夕食を済ませた小屋の男女らは寒さにもめげず再度豪勢な冬の星空の下へ参集し、シートの上に横になり煌めく星々の姿に見入っていた。結構流れ星も見えたし、天の川、白鳥座、そして冬を代表するオリオン座、昴・・・、しっかりと記憶の奥に留めたことだろう。
都会の夜空を見慣れた彼ら彼女らはそのつもりで外に出て、見上げた星空のあまりの壮麗さに息を呑む。そして皆、思わず驚きの声を上げる。昨夜の会は、ここをよく知る上司たるT氏の発案で、結婚退社する女性社員を送別する会だったそうだ。どうぞオ・シ・ア・ワ・セ・ニ。

Photo by カント氏(既出)
そしてカント氏。昨夜2泊して帰ったTBI氏もそうだったが、カント氏も気温がマイナス以下となる11時ごろから準備を始め、それから明け方までずっと、目標の星や星雲を追い続けた。まさに星の狩人たちだ。いくら「好きなことをしているだけ」とは言うものの、その熱意にただただ感服する。
木、金、土と続いた晴天にも、翳りが見え始めた。これも、雨男の噂も聞く、カント氏の実力というものだろう、クク。
氏の天体写真は、カテゴリー別の「入笠牧場からの星空」をぜひご覧ください。
【平成28年度冬季営業】
平成28年度冬季営業についてはこちらをクリックしてください。