午前9時、曇り、気温マイナス2度C。気温が低いため、日陰は昨日の雪が残り、一部は凍結したままだ。週末には寒気も去るようだが、遠からずきょうのような寒空が常態となる。来る途中、高曇りの空に乗鞍だけが朝日を浴びて輝いていた。
きょうの写真、昨日運び上げた籾殻の一部だ。湧水で凍結が心配な水道管の一部を、土で埋める代わりにこれで保護しようとしているのだが、全部で10袋ある。ここまでは車で持ってきたからいいが、さてそれからである。このいかにも寒々とした初の沢の奥にある現場まで約300メートル余り、どうやって持っていくのか。重量は大したことないが、90リットルのビニール袋に入っているから嵩張る。途中、木の枝や尖がった岩と接触すれば簡単に破れてしまう。
最初は古いカーペットを切ってその上に1袋か2袋づつ載せて、引っ張って運ぼうと考えた。しかし、実際にその場に行ってみて、その案が容易なことではないと知った。それをするには地形が複雑で、最低でも2か所、沢を徒渉しなければならない。
で、どうしたか。天秤棒の前後に1袋づつぶら下げて、一度に計2袋づつ運んでみたらどうだろうかと考えた。テイ沢の丸太橋を架けるときに担いだ4メートル、5メートルの丸太と比べたら、重量的には大したことはないと楽観した。管理棟に取って返して、天秤棒になりそうな木を物色した。
雪の残る冷え切った渓の中を、およそ時代遅れの滑稽な恰好をしてそろそろと進んだ。重さも意外とあって、さらに前後の袋が勝手に揺れ、バランスをとるのが難しかった。
子供のころ、天秤棒に担いで隣村から豆腐を売りに来た老人のことを思い出した。恐らくあの人の方が大変だったろうと言い聞かせながら、幾つかの枝沢を無事に渡り、雪と落葉で埋まったあるかないかの踏み跡を登っていった。
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