入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「冬ごもり」 (4)

2016年11月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ここら辺の子供はもう、雪が降っても喜ぶ顔を見せない。雪合戦も、橇滑りも、しているところを見たことがない。大体、北風に吹かれながら戸外で遊ぶ子供の声など聞いたことがない。半世紀も前の子供たちのように、裏の山に行って橇滑りに適した坂を見付けておいて、いろいろな工夫を凝らした手製の橇を準備して、雪の降るのを毎日のように待つなどということは誰もしない。
 ひと冬に1回か2回教師に引率され、近くのスキー場でレンタルのスキー用具一式を借りて、ほんのさわり程度のスキーを怪我をしないように体験して終わるのが大半の子供たちだという気がする。
 彼らは子供たちだけで夕暮れ迫る森の中、手をかじかませ、衣服やゴム長靴の中を濡らしながら、時の経つのも忘れて遊び興ずる楽しさを多分知らない。時には急斜面を転落したり、切り株に橇をぶっつけ痛い思いすることも、或いは夜道で道に迷った時の不安なども体験せずに大人になるだろう。

 ところがそういう人たちでも、何かのきっかけで山登りを始めると、夢中になる。入笠に来る登山者の中にもそんな人がいるはずだ。2千メートルにも満たない山で、晴れていれば素晴らしい眺望を目にしながら、日常生活では知らなかったような達成感・満足感を心身で共に味わう。そして気が付くと、山歴5年、などということになる。
 ところが最近目にした報道によれば、この山歴5年が問題で、世代に関係なく、この間に山の事故を起こす登山者が最も多いそうだ。登山者にすればこのころが山行日数も増え、油の乗ってくる時期で、中には岩登りや沢登り、あるいは冬の山へと向かうころでもある。山歴も、その内容を無視して、長短ばかりを問題にしてもどうかと思うが、事故のたびに山歴が、年齢が云々される。それほど様々なレベルの人が、広い世代にわたって気軽に山に行くようになり、事故も増えたということだろう。

 子供は家の中にこもり、中高年が外へ出ていこうとしている。
 
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