風土病について広辞苑は「気候・地質などから生ずる、その地方特有の病気」とし、また中毒については「飲食物または内用・外用の薬物などの毒性によって機能障害を起こすこと」と説明している。どちらにも当てはまるようで当てはまらない、これは何なんだろうか。
たった3日行かなかっただけだというのに、牧場のことが気になる。7か月、毎日のように通っていた場所が呼んでいる。風土病と言えばそうかも知れないし、中毒だと言われても肯くしかない。
特に寒気が迫っているようで、今夜あたりは雪になることも考えられる。そうなると、あれこれと試した水場のことがどうなるか心配だ。またそれだけでなく、やはり今度は一訪問者となって、人気の絶えた森や、渓を歩いてみたい。特に初の沢の源流は、いつも流れ下る瀬の音に癒され、聞き惚れながら仕事をしたし、厄介なものを運んだり、運び出したりと何往復もした場所だ。
牧場の中を流れるあの沢は遊歩道の第1候補にしたいくらいだが、どんな道順・経路にしたらよいかは私案に留めておく。他にもそういう場所が幾つもある。しかし、牧場の将来のことを長い目で真剣に考える時期が来るまでは、余計なことは言わない。
ただそうは言っても、一度もその場所に足を運んだことのない人たちの勝手な考えや、それに基づいて立てた企画・計画を信頼し、愛想笑いしながら何も言わずに黙っていることは、何度かした断酒よりも難しい。
今冬もまた、雪の法華道を何度か通うことになるだろう。コナラの林を抜け、山椒小屋跡で一息入れて、同じ古道を歩いた、信仰に燃えた昔の人たちのことを思いながら行く。
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