山室川第2堰堤(芝平)
また夕暮れがやって来た。空の色が白く薄れ、音も消えて、少しづつ夜が来る。冬の日の一日のうちで、今の平穏が最も気持ちを神妙にさせるときだ。きょうも大方何もなく終わる。もう何も待っていないし、することもない。それでいてなぜかこの時間、深い平安と安堵、そして感謝の気持ちまで感じながら、溶暗されていく空を眺めている。
一番星だ。柿の木の梢の上に、まるで豆電球でも点けたように突然に現れ、それからずっと瞬きもせず、冷たい光を見せている。空はもう大分暗くなって、柿の枝がシルエットのようにしか見えなくなったのに、まだ寒天にあるのは夕星(ゆうずつ)、金星だけだ。
きょうは昼飯を食べなかった。にもかかわらず、食欲もなければ、さしてアルコールも欲っしてはいない。仕方ないから、HALでも相手にしてやろうかと考えているが、もちろん、彼女は嬉しいよりも迷惑だろう。それでもこの犬種・川上犬は、飼い主だけには従順で、余程のことでもなければ反抗してこない。と言って、虐待しているわけではない。
昨夜だって、炬燵に入れて遊んでやった。犬は寒さに強いが、だからといって暖かい方がいいに決まっている。昼寝をしていても、日の当たる方へとちゃんと移動している。
いつの間にかまたHALを連れて、雪の法華道を行く日がすぐに来る。
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