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管理棟泊の4人を案内して、第1牧区へ上がった。いくら厳冬期の牧場とはいえ防疫に対する配慮は必要なため、こうした対応にはいつもかなり神経を遣う。また放牧地内の雪原につける登路も、冬季なら自由に立ち入りできるなどと誤解されてはまずいから、なるべく遠くから見えないような場所を選んで登らなければならなかった。要するに牧場内は冬でも、許可もなく勝手に立ち入ることができないのだと、このことは、くどいくらい強調しておきたい。
そんな、人よりあくまでも牛が優先する場所・牧場は、上に出るとあまり風もなく、視界の大半を占める広大な冬空の終わる辺り、空と大地を画する雪の峰々が南北に見晴かす限り続いていた。かなり早足で急登したため、息を切らせながら登ってきた4人は、眼前の澄んだ冬の大空と、そして両手を広げたように拡がる純白の山並みや、冬枯れた遠近(おちこち)の山々に喜び、感動した。そのうちのひとりは、遥か北方の三国境から雪倉岳を経て朝日岳まで行ったことがあると話してくれ、それがきっかけとなってそれぞれが登った山や、登りたい山の話をひとしきらした。4人とも、結構いろいろな山を歩いていることがその話しぶりから察せられた。
下りかけると、下の方からISKW隊の面々のうち幾人かが、踏み跡をたどって登ってきた。彼らだけを拒否するわけにもいかず、注意とお願いをして、あとは任せた。
その夜は、「やはり炬燵がいい」という4人と小宴を張った。彼らとの交流に加え、法華道を登る登山者がようやくにして現れたことを誰かと喜びたいという気持もあった。
あとで知ったことだが、法華道にあった足跡は思った通りISKW隊の下見が残したものだった。同隊は、今冬で冬の入笠には3年続けて来てくれた。また、その機会に合わせ、昨年2回来てくれた男女ふたりが、今度は友人を誘って4人でやって来てくれた。
このあと2月には24,25,26日ともうひと団体、NPO法人みろく山の会の予約が入っている。この会は、もう何年も春夏秋冬を通じて来てくれてる心強いお馴染みさんだ。(つづく)
こうした団体や人々はもちろんのこと、さらに新たな山の好きの人々がやって来て、冬の冷え切った時代遅れの山小屋を一時、賑やかに暖めてくれるものと期待してます。3月の予約もお待ちします。
赤羽さん、利尻からの帰りGWで乗る船がなく、ようやく苫小牧から八戸までのフェリーを見付けるまで、結構苦労したことがあります。平家の落人だと言われる湯西川も懐かしい温泉です。
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