入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(16)

2020年09月05日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 今朝は青空が広がっている。気温も20度を超えて、さらに上がるようだ。風はない。これで大型の台風10号の心配さえなければ、穏やかな初秋の朝だと言えよう。
 上での暮らしが続いている。あの距離を、あの未舗装の山道を含め、1時間以上もかけての毎日の通勤が今では嘘のようだ。何だか別の人間がやっていたことのようにさえ思える。里のことが気にならないわけではないが、年齢が教えてくれた牛守の新しい暮らし方になりつつある。



 その昔、芝平の人たちが雨乞いをしたという雷電様は、第1牧区の4等三角点がある場所よりかも高い。江戸時代の終わりごろに作られた祠が今も残っている。その南にあまり広くはないが放牧地があり、風通しが良いから暑い日などはよくここに牛たちが集まる。
 きょうの写真のように、その南の端にある小高い丘にもときどき牛が休んでいることがあって、この写真では分からないが、8頭いる。たまたま和牛の頭が見えていたから見落とさなかったが、横臥して反芻していると、少し離れた場所からでは見えない。この牧区の広い範囲を牛の姿を歩いて探し、最後のさいごに念押しのつもりでこの狭い丘に来たら10頭くらいの群れがいた、などということもあった。
 また、西に落ちていく牧柵の先が御所平になるが、この辺りも注意しないと牛の姿を見逃すことがある。以前、台風が通過中の暴風雨が吹き荒れていた中行ってみると、20頭くらいの牛が同じ向きに顔を揃えてじっと風雨に耐えていたこともあった。
 1ヶ月前の中間検査では体重を落とした牛もいた。環境も変われば、食べる物も変わるから、これは想定内のことだが、第1牧区の草は1ヶ月の間にほぼ食べ尽くされた。来週にはまた牛たちを元いた第4牧区に戻す。足を痛めた36番はまだ足を引きづっているような状態で、場合によってはこのまま移動させずに残すことも考えている。
 とにかく、もう一度管理の難しいあの牧区で、残る1ヶ月ばかりをしっかりと足腰を鍛え、存分に草を食べて体重を増やし、元気に山を降りていってもらいたい。あの牛たちは知らないが、それが彼女たちの短い一生の中では最も自由な、野生本来の姿で過ごせた、多分一度だけの体験となるはずだから。
 
 本日はこの辺で。明日は沈黙します。MSWさん、そんなことを言ってないで、いつでもどうぞ。
コメント
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