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稲穂は首を垂れ、白い蕎麦の花が咲き、コスモスもその傍らで咲いていた。昨日10日ぶりに里に下り目にした光景だった。今朝も東部支所で用事を済ませ、少しだけ回り道をして非持、山室経由で上に来れば、14年間も通った通勤路、ここにいて思うほど遠くもなければ長くもなく、ぼつぼつ秋色が目に付く山室の谷にさらに親しさと、愛着を深めつつ上がってきた。
大型台風10号の影響もあって、週末の夜は何度か激しく雨が降った。日曜に予定されていた映画の撮影は当然延期だろうと、夜半浅い眠りの中で考えていた。ところが5時半、撮影関係者の車らしきの音がして、驚いて出ていけば、予定通りやると言う。後続の本隊も向かっていると聞けば否も応もない、急ぎ準備を始めることにした。
そして撮影は5時間ほどで終わった。変わりやすい天気が撮影隊を戸惑わせたようだったが、それでも最低雲高は一定の高さを保ち、映画の最後の重要な場面を予定通り撮影することができたという。思っていたよりも早く、そんな連絡が来た。「経験もしたことのないような大型台風」がまさに沖縄、奄美、九州を襲おうとしている時、幸運だったということだろう。
撮影当日が日曜日だったため、いつもの簡単な事務処理を翌日東部支所で済ますことにして、昨夜は家に帰って寝た。ところが、スーパーで買い求めた少々の肴で酒を飲んでいたら急激に睡魔が襲ってきた。前夜の睡眠時間が祟り、ついに風呂も、ほんの少し縁のある大河ドラマも諦め、8時を待てずに寝てしまった。
で、もちろん快眠するはずが、なんと10時に目が覚めてしまい、再び寝付くのに手間取り、何とか寝入った後もおかしな夢のせいでまた起き、それからは妄念を相手に長い時を過ごした。
古ぼけたわが家とは40年近く離れ、そして今度は終の棲家と決めて早や17年住んだ。それが10日かそこら離れていただけであったのに、かつてたまに帰郷した折に無人の陋屋に抱いたのとよく似た気分を、昨日も味わった。自分の家でありながらそうでないような、そう感じている自分も自分でないような。また現在にいながら、過去に帰ってしまったような・・・。
土曜日から来ていた馴染みのキャンパーとは、昨日のうちに別れの挨拶を済ませておいたが、間に合った。そして彼らがいなくなると急に、ここにはきょうの曇天の空が連れてきた秋の静寂と、侘しさがやってきた。本日はこの辺で。