入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(19)

2020年09月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 夜が明けてきた。東の空に微かな朝焼けも見え始めた。午前5時、気温10度。わずかな雲が山の上に棚引いているだけで、少なくとも午前中は好天が期待できそうだ。昨日囲いの中に移した牛たちは1頭の和牛の他はまだ活動を始めていない。その和牛も、そのまま動き出そうともせずじっと思案気に、何を考えているのか。
 
 昨日、畜産課の課長を含め4名が来て、第1牧区の牛を囲いへ移動させることにした。ところが案じていた通り2頭の和牛の為に、いくら牛を集めてもその度に群れが壊されて、かろうじて14頭は移すことができたが、23頭は居残ることになってしまった。その間3時間、登ったり降りたりとヘトヘトに疲れた。
 こういう牛がいるのだ。早くからこの2頭の牛の挙動には注意していたが、普段は警戒心を満身に見せながら寄り付かないくせに、給塩に行けば真っ先にやって来る。性格の悪さが角に出たわけではないだろうが、伸びた角が曲がって、そのままにしておけばその先がやがて頭に突き刺さる。それを怖れ、1本は途中で切り落とされたのだろう。
 今、「性格の悪さ」と呟いたのは訂正した方が良いかも知れない。恐らく成長してから落角を強いられ、その際の痛みは相当のものらしいから、それで人を見ればその時の恐怖が甦りオドオドするようになったのに違いない。多分、この不幸な体験をした牛ともう1頭は畜主が同じで、入牧後にきっと従属関係のようなものができ上がったのだと思われる。
 落角しなければ、やがては自らの角で命を落とすことになっただろうが、当の牛にそれが分かるわけがない。痛みと恐怖が角に代わって、彼女の頭に植え付けられてしまった、ということか。
 まだ下牧の日は決まっていないが、2か所に分散した牛の管理は、牧草が日増しに乏しくなる状況も含め、難しくなる。

 今年はマツタケが豊作だと聞いた。ここには縁のないキノコだが、雑キノコと呼ばれる物なら毎年その恵みに預かっている。昨日いつもの森へ行ってみたが、呆れるほどない。TDS君にそのことを伝えたら、まだ早いのだと言っていた。そうならいいが、1本だか2本見付けたヌメリカラマツタケは、生えてからかなりの日が経ったと思える古い大型だったが。
 きょうは、小黒川の林道から高座岩に至る北原新道の中段を、伐採作業者が横切るように作業道を作り、その際にできた崩落個所が今もそのままになっている。そこに手を入れるつもりでいる。
 本日はこの辺で。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする