入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(31)

2020年09月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝も霧が深い。その中を1頭のホルスが囲いの中を歩いて行く。上の方に仲間の牛がいるようだが、霧は深くなるばかりで、もうその牛の姿も白い帳に隠されてしまった。風は吹いていない。鳥の声も虫の声もしない。聞こえてくるのは電気牧柵に電気を流す周期的な音だけだ。
 少し霧が晴れてきたので双眼鏡を持って外に出てみた。囲いの中には2頭、網状の柵を隔ててその外に5頭、うち2頭が和牛で、昨日B放牧地へ移動しなかった牛たちだ。このぐらいの頭数なら、このままにしておいても大丈夫だろうし、そのうち、他の牛に連れられB放牧地へ移動する可能性もある。いざとなれば第5牧区へ出すことを考えてもいい。
 もっと牧畜が盛んだったころは300頭もの牛がここに上がってきたという。それほどの牛の数は知らないが、確かにここで働き出したばかりは、200頭近い牛を相手にした。それがたった40頭そこそこの牛で草のことを案ずるようでは、はなはだ情けない話ではある。使用中の放牧地が第1と第4だけで、2も3も閉じてあるからだが、中でも牧区として最も広い第3牧区を使用してないことが管理を相当難しくしている。
 入牧頭数がもっと早くから分かれば、それに対処する方法もあるが、近年の牧畜の状況では牛が来るまで実際の頭数を把握するのが難しい。50頭を越えれば第3牧区は間違いなく必要になるが、現在の頭数では微妙なところだったのだ。加えて、第3牧区を開けるには、それなりの準備をしなければならない。ここにも、電牧の問題や鹿対策が必要になってきて、第5と違って、第2と第3はおいそれというわけにはいかないのだ。もっともこうした現状がどこまで下に届いているかは分からない。
 
 青空が少し見えてきた。昼ごろにはまた天気は悪くなるようだが、午前中はこんな曇り空がずっと続くだろう。1頭でも2頭でも、牛の姿が見えていれば、それだけでここの眺めは見る者の気持を穏やかにしてくれる。特にきょうのような陽が射さない、静かな秋の日は。
 漁に行ってた山奥氏が、獲物を持ってそろそろ来る頃だ。本日はこの辺で。明日は沈黙します。
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