
オオダオ(芝平峠)から眺めた昨日15日の八ヶ岳。右から赤岳、阿弥陀岳(手前)、横岳、硫黄岳の峰々、そして上空にはレンズ雲。レンズ雲と言っても、いろいろな気象状況によって発生する雲のようで、悪天の予兆だと教えられたが一概にはそうとも言えないようだ。
本当なら山の情景はいつも違って見えているはずなのに、写る写真はどれも似たようなもので、見事な雪山の姿を見せてくれる演出者・モデルの八ヶ岳には詫びたいくらいだ。特にこの写真ではあまりはっきりしないが、阿弥陀の南陵やその山腹に切れ込む沢やルンゼは、四季を通じて慣れ親しんだ山域であるだけに余計にそう思う。

乗鞍と中アの千畳敷で雪崩の事故が発生した。乗鞍の現場は知らないが、千畳敷カールなら地元の山だからよく知っている。あのカール内でいつ雪崩が起きても不思議ではないという認識はあり、冷や汗を流したこともある。
昨日の6時の県内ニュースを見ていたら、山道具店の店長が雪崩事故について電波を発するビーコン、ゾンデと呼ぶ遭難者を探す際に使う折り畳みのプラスティックの棒、それとスコップを紹介していた。この頃は雪山における「三種の神器」と呼ぶらしいが、高価で、これが役に立つのは雪崩事故が発生してからのこと、予防にはまず役に立たない。その上、万一起きたら、短時間での救出が求められる現場で、同行者だけではどれほどの役に立つのかも分からない。事故に巻き込まれたら、エアバックを急激に膨らませる、などという雪崩対策の用具もあるが、というように、山の中にもあらゆる機会を捉えて商機を見付けようとするのが昨今の傾向のようだ。
ともかく、雪山では雪崩はいつどこででも起きるのだという覚悟が必要だと思う。思いがけない場所で起き、しかも大事故になる場合が多い。エベレストのベースキャンプでも起きているし、内外の著名な登山家が何人も雪崩事故で亡くなっている。最近の冬山では滑落、凍死、その他の事故よりか、雪崩による死亡事故の方が多いのではとさえ思うくらいだ。
雪山の魅力、それとそこに隠れている危険はどちらも悩ましい真実であるが、誤解を招くような用具の紹介、報道はいかがなものかと疑問を覚えた。
本日はこの辺で。