入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「春」(15)

2021年03月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうの写真も山室川。水温(ぬる)む感じが伝わるだろうか。冬季の間しばらくは降り積もった雪に覆われ、この流れは雪原と一体化して見えなかったこともあった。しかし今、この辺りにはもう雪は日陰でさえ残っていない。冬のころからしたら川の水量も大分増えた。
 
 山室川はオオダオ(芝平峠)が分水嶺になってそのすぐ下からか細い流れが始まり、途中幾つもの支流からの流れを集めてここに至る。上流からだと座頭沢、八っ株沢が主な沢で、ここよりさらに下ると初の沢が流れ込んでくる。それらが集まり1本の川となって芝平、荊口、山室を流れ、美和ダムの直下で三峯川と合流し、その先は天竜川に至る。天竜川はやがて静岡県で太平洋にそそぐ。
 よくもまあ、これだけの水量が尽きることなく湧き出てくるものだと、山の持つ保水力にはつくづく感心してしまう。自然の偉大な力、そのお蔭だということだろうが、日本の山岳地帯は急峻で、川の流れは激しく速い。それでも、ダムの貯水量を心配する声は上がったけれど、川が干上がってしまったなどという話は、記憶の限りでは聞いたことがない。あっただろうか。
 
 この時季、陽の光が日毎に強まり、降り積もった多量の雪が融け出し、一部はそのまま幾本もの支流となり山を下り、他方、地中に沁み込んだ水は山を貯水池にしてゆっくりと地中を下っていく。「緑のダム」などと言われる所以であろう。
 ただ、「水源涵養林」などと呼ばれる森林が共用林野として牧場内にもあるが、実は森や林が水を涵養するわけではなく、樹々の周囲に落ちた枯れ葉や多くはその下の大地、土壌がその役をするのであり、森や林そのものは保水するよりかも消失する量の方が多いという。意外な話だ。
 もちろん、だから森林などどうでもいいという話ではない。やがて資源となる木々は勾配のきつい山岳地帯を崩落から守ってくれるし、洪水を防ぐ役割も大きい。それに何よりか、アマゾンの熱帯雨林が地球の肺に譬えられるように、森林は二酸化炭素を吸って、新鮮な酸素を輩出してくれている。それに、山の幸、恵みも忘れるわけにはいかない。

 春の息吹が、山室川の谷間(あい)の風景、趣を少しづつ変えつつある中、山の有難さ、川の尊さも同時に伝わってくる昨今の陽気である。週末は崩れるとか。本日はこの辺で。
 
 


 

 
コメント
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