入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「春」(16)

2021年03月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


   やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けと如くに ー 啄木

 そろそろ、この啄木の歌に相応しい季節になったかと、天竜川の土手に行ってみた。遠目にはまさに緑の芽吹きが始まったばかりのようで、一叢の柳が薄い緑の靄のように見えたのだが、近付くとその淡い緑の色は薄れてはっきりとしなくなり、啄木が思い浮かべた故郷北上川の柳の色にはまだ少しだけ早かったかも知れない。
 夜の散歩でも帰路は卯ノ木の集落を抜け、この付近に流れ込む「瀬澤(沢)川」に下り、さらに天竜川の土手沿いに歩いて帰ってくる。瀬澤川の数百メートル上流には近年になって二カ所続きのしっかりとした橋「八つ手大橋」と「八つ手陸橋」が架けられ、行きにはそこを通るのだが、ひと頃は橋の両側にある檜の林の間から北斗七星を仰ぎ見たものだった。


 
 この「瀬澤川」、どういう字を書くのか、それと上流の二つの橋の正しい名前も確認しに行ってきた。子供のころから呼び慣れた川の名前は「セサガワ」で、この漢字を使ってそう読むのか、それとも「セサワガワ」が「セサガワ」に変化したのか、尋ねてみたくも思い当たる人もなく諦めた。

 きょうは土曜日とあって、天竜川には釣り人の姿もあった。土手の上を歩いている人もいた。健康のためなのか、気休めなのか、それとも散歩なのか、春になってよく昼間はあのような人たちを目にする。
 昨夜は来客あり散歩は断念したが、冬ごもりのあいだの唯一の運動であり、気分転換でもあり、昼間とは違って夜だから、星座を眺めながら季節の移ろいを知ったものだ。それにしてもよく続いた。あの夜景のお蔭だろう。そのうちには夜桜を楽しみながらの散歩となり、そうなれば福与城址まで足を延ばしてもいい。
 
 この冬ごもりも、とうとうひと月を残すだけとなった。来週には、来年度の労働契約を交わすことになっている。15年目ということになり、思いがけない長さになってしまった。「ご先祖様、牛守が稼業でござんした」ということになる。「恥ずかしながら」と言い添えるべきか否か、ともかくこれもまた思いがけないことだった。
 本日はこの辺で。明日は沈黙します。
  
コメント
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