庭の梅の古木が花びらを散らしている。一昨日の雨に濡れて、花弁は痛めつけられたのだろうか。これからいい季節が来るというのに先急ぎ、それに殉じるかのように根元近くに咲いたユキワリソウの花が綻びを見せ始めた。ボケの白い花が大分開花してきたし、イカリソウも八角蓮も芽を出し始めて、見ていればどちらも、その成長が分かるかも知れないというほど頼もしい。
期待していたカタクリはまだ芽を出さず、諦める他ないのかも知れない。それでも、あの西山の迫りくる山腹を巻きつつ幾つかの峠を越えて、小横川の深い谷まで曲がりくねった山道を下っていくのが、この時季ならの楽しみである。冬の素っ気ない茶色の山肌が、控え目な緑の色に少しづつ変わりつつある時だ。
昨年はTDS君と目当てのカタクリを、そして別の春には北原のお師匠と谷の奥の木地師の墓を訪ねたこともあった。それよりかもっと以前にも一度、まだ雪の残る小横川を何の目的もないまま源流まで出掛けたが、その時同行したあの人はもう、そんなことなど忘れてしまっているだろう。遠い春。
イカリソウ
カタクリ
驚いた。今、念のために行ってみたら、写真の一株ばかりか昨年、TDS君に付き合ってもらい採取した3株が芽を出していた。たった1日であそこまで大きくなるとは思えないが、なぜ今まで気付かなかったのだろう。
何年か前、最初に植えたカタクリはHALに踏まれたせいで、片一方の葉しか出てこないと思っていたら、昨春のカタクリも、どれもそうだ。里に移すとあの山のカタクリはそれが精一杯なのかも分からない。花は無理かも知れないが、それでもいい。
昨日に続き、写真はきょうも天竜川の流れ。啄木が故郷の北上川を懐しんだように、天竜川はふる里そのもので、近くにあってもその思いが変わることはない。昨年はまだHALは生きていて、夜のここへの散歩にはいつも付いてきたがった。
赤羽さん、その慶事については承知してました。遅ればせながら、お祝い申し上げます。また、なぜあそこがあれほど寂れてしまったのかと、同じことを感じていました。4月には白骨に行く予定です。鉄分や硫黄の含まれている湯がお気に入りなのでしょう。多謝。
本日はこの辺で。