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桜の花は人の心を狂わせる「魔性の花」だという。これから1ヶ月、いやもっと、この花に心を乱される人が日本国中に溢れるだろう。
さらに、様々な種類の花が咲き、小鳥たちが歌い、陽の光が輝きを増す。自然に生命力が溢れ、その勢いを大地にも、天にも感じる。また人も同じように、多くが胸を膨らませ新しい道へと踏み出していく。
5か月の冬ごもりも、残すところ1ヶ月ほどになった。そろそろ炬燵の虜囚の身をおしまいにして、牧場の近くで冬を越した幾頭かのクマたちのように、洞穴のような陋屋から戸外へと出る準備をしなければならない。それにしても、過ぎた月日はいつでもそうだが、早いものだ。
里の桜の開花が今月の末ごろには始まるだろう。まず山にはコブシの花が咲き、そして開花はゆっくりゆっくりと標高を上げていく。高遠城や周辺の花が散り、弘妙寺やオイデェラを中心にした山室川の流域の花が終わり、牧場の山桜が清楚な花を見せるようになるのは、連休も過ぎた5月の半ばぐらいか。そのころにはタラの芽やウド、コシアブラなどの山菜も採れるようになり、それから少し間をおいて、下旬にはヤマナシが咲き、コナシが続き、さらにレンゲツツジやクリンソウが咲く。花ばかりか樹々も徐々に芽吹き、山はやがて笑い出す。
牧場の仕事の合間に、人知れず咲き、散っていくそうした草花の姿を目にとめる。今年もそうだろう。自然は人の気持ちなど頓着しない。誰の目にも触れずとも構わない。それでいて、手を抜くわけではない。
そんな中、今年も6月の初旬ごろには牛も上がってくる。この生き物も家畜である身をよくと知らず、ひたすら食を求め体重を増やし、後は眠るだけ。それでも不自由な畜舎より、広い牧場の方がいいだろう。
covid-19ばかりか、黄砂、花粉と、この季節は難題もある。そう言えば五輪も、思いがけない逆風が止まず、開催を危ぶむばかりか、反対する声も依然強い。これについては何か呟きたくも、牛のようなもの。
本日はこの辺で。