入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「秋」(4)

2022年08月05日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 午前7時少し前、ずっと今朝は鳥の声がしないと思っていた。それが、雲間から日が顔を覗かせるのを待っていたかのように、ようやく声が聞こえてきた。あまり聞き慣れない鳴き声で、声の主の正体は分からない。こんなスッキリとしない天気では、鳥たちも自慢の喉を聞かせてくれる気にはならないのだろう。
 
 クモはどうやってあんな高い場所に巣を張ったのか、電線とコナシの枝の間にこの部屋の蛍光灯ほどの大きさの巣が見えている。あれで虫を捕らえようとしているのだろうが、ここの主もどこかに行っているらしく姿は見えない。管理棟の二つある出口の一つにも、また山小屋の中にもクモの巣があり、どうも気に障る。
 
 日の光を浴びて、囲いの濡れた牧草から湯気のように蒸気が上がり始めた。そういえば昨日、また1頭の鹿が囲いの中に入っていた。朝一番で点検した時はゲートは落ちていなかったから、あの鹿はその後で入ったのだろう。その後姿を見てないが、1頭ばかりではどうする気にもならない。
 10日の中間検査が済めば、またしばらくは牛をあの中に入れる。一緒に暮らし、その後に牛たちは隣の第4牧区へ移すから、その際に身の振り方を決めればいい。
 
 ああ、ようやくホトトギスの声を聞いた。いつもの朝だと思って安堵したら、一度だけでもうしない。半ばヤケパチ気分でこの呟きの題名を秋にしてしまったが、二十四節気のうちの「立秋」が今年は8月7日とか、本当に夏はここに来たのだろうか。
 今の時季はウリ系の野菜を食べるのがこの国の人の習いらしい、友人のMが今年も送ってくれた名産波田のスイカを食べて考えてみるか。
 青空が拡がり、鋭い日の光が部屋の中にまで射し込んできた。しかしもう騙されない、この天気も午後からまた雨になるだろう。梅雨が終わったら、早くも秋霖か。いいとも、いいとも。


 
 大きなキリギリスが部屋の中へ迷い込んできて動かない。ここはどこだろうと思案を始めたみたいだ。短い一度だけの秋を生きるだけだろう、逃がしてやるか。

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 本日はこの辺で。


コメント
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