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今年の盂蘭盆会も昨日で終わった。これから牧は秋の気配が一段と深まっていく。牛たちが草を食む光景を日常的に見てきたが中間検査も済み、そんな様子がいずれはここの風景から消える。主のいない牧場の様子が大きく変わり、そうやって知る時の経過にも、同じように寂しさを感じるだろう。
それにしても夏らしい日がなかったと言いてもいいくらいで、当たらない気象予報は防災予報になってしまった。
午前6時、牛を移動させた後の第1牧区の状況を見に行くと、案の定鹿の大群が御所平を占拠していた。数えてざっと100頭、やがてこちらの車が接近するのに気付き、一斉に牧柵を飛び越えていく。あれだけの頭数であれば、中には有刺鉄線に足を引っかけたり、上手く飛び越えられないのもいるだろう。牧柵の被害が絶えないのも当然かも知れない。
それだけでなく、秋にはあの頭数が交尾の季節を迎える。と思ったら、その結果を想像するだに空恐ろしい気がし、雄鹿の放埓この上のない精力を恨めしく思う。中には、その生涯に何百人という子を産ませたザクセンのアウグスト強権王のようようなのもいたりして、などと考えると余計に腹が立つ、赦せない。
今年は電気牧柵も一部にしか通電していないし、久しく罠を仕掛けたこともない。奴らにとっては怖れる物がなくなり、充分な栄養をつけて冬を、さらには雌鹿は来たるべき出産を待つだろう。
今年の盆休みは、他所のキャンプ場はかなり賑わったと聞くが、ここはそうでもなかった。covid-19のことも考えて10組を定員としたから、そのせいもあっただろう。
それと、単独のキャンパーが目立った。「ソロクライミング」という言葉は以前から耳にしてきたが、今では「ソロキャンプ」などという言葉もあるらしい。
できるだけ余裕を持てるようにテント場を決めてるが、それでも他人のテントが目に入らないわけではない。「歯に沁みるような」孤独感は味わえなくとも、一応安全が担保された場所での、ほどほどの静けさ、単独感が今は好まれる理由なのかも知れない。
キャンプのやり方も変わる。便利な用具もますます増えた。テーブル、椅子は当たり前で、草の上に腰をおろす人など見たこともない。狭いテントの中で、はたまた草の上でワイワイガヤガヤやっていた時代を語る者は、きっと昭和の人だろう。
今、単独で来ていた人が笑顔で挨拶をして帰っていった。初めて訪れた人だったが、また来ると言い残して。
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