入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「秋」(7)

2022年08月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 牧の朝、いい風が入ってくる。気温18度、日が昇り始めた。忙し気な鳥の声がどこからともなく聞こえてくるが、しかしそれらも今朝はよく耳を澄まさなければ耳に届かないほどだ。
 静けさの中でいつになく回復しない疲労と、覚め切らない眠気を感じ、どうしたらよいのか分からずに持て余している。できればきょうだけでもあらゆることから解放されてみたいと思いつつ、仮にそういう状態になれたとしても、どうしたら今の靄のような屈託が晴れるのか分からない。

 きょう予定されている農業実習では、追い上げ坂の右側の斜面に繁茂しているカヤを刈ってもらうつもりでいる。他方、第1牧区の牛たちを明日の中間検査に備え、畜産課の課員2名とパドックへ誘導しておきたいが、和牛はいいとしても、2群に割れた乳牛の方がこっちの言うことを聞いてくれるかどうか分からない。理想としては、一人で穏やかに牛たちを誘導できればいいのだが、下手をすれば第1牧区の広い放牧地に牛を散らしてしまう。
 米が炊ける前に取り敢えずは、まず今朝の牛サマのご機嫌を伺ってみるしかあるまい。うーん、少し気合が入ってきた。

 青空の拡がる中、朝露に濡れた放牧地へ行けば、大気の清々しさに気分も大分回復してきた。伊那の谷に一夜埋まっていた雲が、気温の上昇とともに湧くようにして上がり始めている。まだ遠くの山々はそんな雲の向こうに隠れているが、いつ見ても雄大な眺めだ。
 美味い具合に乳牛の群れが塩場の近くにいた。ジャジー牛の1頭が、塩でももらえるのかと早速近付いてきた
のを無視して、ひとまずそっとしておくことにした。和牛の群れは姿を見せていなかったが、この方はあまり心配してない。呼べばそのうち姿を見せるはずだ。
 
 それよりかも腹立たしかったのは、御所平でまるで放牧でもされているかのような鹿の群れであった。ざっと数えても50頭はいた。それが一心に草を食べているのもあれば、横になって朝日を浴びて寛いでいるのもいる。完全に鹿の園・縄張りになってしまっている。一昨日は第3牧区のある大沢山で100頭以上の鹿の群れを見た。
 最早あれだけの数を目にすれば避妊薬の開発しかないと思うのだが、行政にいくら言ってもそれが理解されず、伝わらない。このまま従来のように有識者と言われる人を当てにして、猟師に捕獲を任せ、この事態に手をこまねいていたら、何も変わらないだろう。一体獣害が深刻な問題になって何年が過ぎたというのか。

 キャンプ場を含む「入笠牧場の宿泊施設のご案内」は下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。



 
コメント
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