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土曜日、テイ沢の上部に倒木があると聞いて行ってきた。丁度小屋に来ていたT氏も一緒に来て手伝ってくれた。氏は前日もこの沢を歩いていて、倒木の数は2本、場所は上から数えて1番目の橋よりか手前だということだった。
ヒルデエラ(大阿原)を周回する遊歩道を歩くのは今年は初めてだった。湿原はまだ冬が終わったばかりで枯草に覆われて見るものも少なく、それでも結構の人が訪れていたようだった。
ついでにT氏に運んでもらった立札を周回路から沢に入る場所に立てた。テイ沢に架けてある丸太橋は、素人が入渓者の便のために設けたもので、安全のために、また丸太橋を長持ちさせるためにも、一人づつ渡るようにと書いてある。昨年から気にかけていたことだけに、実行できて気が楽になった。
最初の倒木も、次の倒木もすぐに分かった。どちらもモミの木で、1本目よりか2本目の方が太く、予想していた通り小型のチェーンソーには手強かった。苦闘の時間が過ぎて、とりあえず通行には支障のないようにはしてきたが、もう少し細分化しないと片付かない。
それにつけても、性能の良い、大型のチェーンソーが欲しい。牧場にある古い方は何と言っても年代物、歯を新品に替えたばかりなのに、今年はいくらやってもエンジンが起動しなかった。
過去17年、チェーンソーにはどれほど手を焼かされたことか。今更という気がしないでもないが、やはり新しいのを買うしかないかと考えながら帰ってきた。
連休が終わり、訪問者の姿が消え、またいつもの牧に戻る。一昨日で第2牧区の草刈りが一段落し、これからは冬の間に痛んだ第1、2,4の牧柵の補修にかかる。距離にしたら何キロほどになるだろうか。
昨年に第2牧区内に新設した牧柵は、鹿により大分切断されていることが分かっている。面倒な仕事だが、この時季の林や渓はそれを補って余りある若々しい自然があり、それらを見て、聞いて、味わう楽しみもある。
根気よく結線を繰り返しながら下っていくと、やがて「初(しょ)の沢」の流れに行き着く。作業の手を休め周囲を眺めれば、遅咲きの山桜の花がすぐ目に入ってくる。白樺やコナシも芽を吹き始め、落葉松はこの時季だけしか見ることのできない艶やかな緑の色を見せている。
明るい鳥の声や、心地の良い瀬の音も聞こえてきて、目、耳が捉えたものと静寂が文句なく同化する。そんな渓が今年も、またひとつ年を重ねた牧守を迎えてくれるはずだ。
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本日はこの辺で。明日は沈黙します。