入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「春」(57)

2023年05月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 日毎に森や林の緑の色が濃くなってきている。こうなると、同じ緑の色でも樹種による微妙な違いがなくなり、自然という巨匠の筆はどこを見ても色調が単純化され、それゆえに段々と景色は大雑把で平面的になって、笑顔が消えてしまう。
 そんな中で、ダケカンバだけは辺りの自然の進み具合を無視して、葉の色まだ薄茶色のままだ。標高2600㍍の森林限界ギリギリまで生育域を持つこの木のこと、それと関係しているのかはとにかく、晩生(おくて)である。

 雨の降り方が本格的になってきた。週末から来週にかけては忙しくなるし、今朝はこんな天気を予想していたので、7時にはすでに仕事を始めていた。第2牧区の初の沢の源頭に下っていく湿地帯の傍に牧柵があり、これが気になっていたのだ。
 昨年は、こんな所に牛など行かないだろうと思っていたら、その場所をどうやって抜けたのか流れを渡り、小黒川林道へ通ずるテキサスゲートの手前では落とし物までしてくれてあり、慌てたことがあった。
 その辺りの牧柵を今回、納得のいくようにもう一度やり直すことにした。

 先人の仕事には大いに敬服することがあり、そういうご苦労の跡を見るのは嫌いではない。先人と言っても、おそらく前任者よりももっと前の人たちだと思うが、いくつもの苦労の中でも水の確保は大変だったと思う。今回も思いもしなかったとんでもない場所で、水道管の一部が飛び出しているのを目にし驚き呆れた。
 
 支柱を打ち換え、有刺鉄線を張り直し、見直して一人悦に入る。どうかすると、錆びた古いバラ線と、錆びてないバラ線とが一緒くたにされ、乱雑に絡み合っていたりするが、これで牧柵がスッキリした。恐らく10年以上は大丈夫だろう。
 牧柵ばかりか、他の仕事であれ多くの場合、仕事においては先人を意識している。同じように、牧場がこの先もずっと存続していたとしたら、わが後継者はこんな仕事を見てどう評価するだろうかと考え、唯一、気になる相手だと思っている。

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 本日はこの辺で。
 

 
コメント
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