入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「春」(58)

2023年05月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 相変わらず朝は早い。現在の時刻は5時25分だが、約1時間前には起きていた。そして鳥の声を聞きながら、この時季には珍しい薄い筋雲が幾つもゆっくりと南から北へと移動していくのを眺めていた。
 巻雲はその名の通り遥か上空で、見えない大気の抵抗でも受けているのかどれも先がめくれ、白波のようにも見え、そうした雲が長い時間をかけて後からあとから現れてくる。
 カッコウの声が一時止んで、また鳴き出した。権兵衛山に日が当たり始めたから、もう少しすれば雲は消えてしまうだろう。

 外に出て弁天様下の三叉路まで行く途中、雲海の上に純白の衣を纏った槍や穂高が、生まれたばかりの朝の光を浴びて輝いて見えていた。
 それで欲が出て、急いで引き返し、第1牧区へ行ってみた。そこの方が、もっと見事な山々の姿が見られるだろうと期待したのだ。
 いつものように牧区の入り口でまず天空に御嶽、ついで乗鞍が覇を競うように現れ、その横に濁った灰色の薄い雲に少し邪魔をされた穂高、槍の峰々が続いていた。
 
 写真を撮ろうとしたが諦め、目で見るだけにした。御嶽だけを対象にしても、乗鞍岳に絞っても、実際に見えている姿には到底及ばない。と言うよりか、まず大きな空があって、目線とほぼ同位置に横並びに霊峰、名峰が続き、その全体の壮大な眺望はどれを欠いても、何を加えても、たちまち嘘になってしまう。そういうここだけの眺めで、とても手持ちの携帯では写真にはならないと納得させられた。

 御所平には30頭くらいの鹿が草を食んでいる最中で、そのうち1頭がこちらに気付いた。ちょっと逃げようとして立ち止まり、さてどうしたものかとこっちを見ている。そのうちにもう1頭が仲間を促し、取り敢えず逃げておくかとでも判断したのだろう、ゾロゾロと牧柵を越えて落葉松林の中に姿を消していった。少し離れた別の群れも、不承不承それに従った。
 あの辺りには一箇所わざと牧柵を破られたままにしてある。どうせまた破るなら、牛が放牧するまではどうぞそこから自由にお入りください、と言う意味だ。
 電気牧柵を設けても、その維持のために多大な労力を払っても、鹿は勝手に入ってくる。あれらも生きていかねばならない。

 まずまずの好天の山開きとなりそう、気温もかなり上がるだろう。

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 本日はこの辺で。明日は沈黙します。
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