入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「春」(53)

2023年05月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  Photo by Ume氏

 霧が深い。先程まで見えていた谷の向こうの放牧地や、その背後の落葉松や白樺の林が白い帳に隠されてしまい、時折、鳥の声だけが聞こえてくる殆ど無音の世界だ。目にする物もなければ耳にする物もない空白、そんな中で久しぶりに心のラジオ体操をした。
 祝い事があり、昼に1合の熱燗を呑んだせいかその余韻が粘着性を持たせてくれ、意識の程度がいつもよりか深度を深め、雑念を気にせずにその深さを維持しているように思えた。やはり、こういう時間は必要で、今先程まで森の中を歩いていたが、それと似た気分になっている。

 落葉松は、風が吹けばそこら中に枝をまき散らす。できるだけ自然には手を加えたりせずそのままにしておきたいが、やはり目に余る場合は倒木同様に片付けたくなる。子供のころによく里山に行き焚付用の落ち枝を集め、束にして背負って帰ってきたものだが、そんなことを思い出したりしながら雨と寒さに祟られた昨日の撮影現場を見回った。そして、子供の背なら2,3個の束にできる枯れ枝を集め、一か所にまとめておいた。
 落葉松はすでに立派に成長して、伐採すれば材木として充分に使える。しかし当面その気配、様子はない。それにこの森の主役は落葉松ではなく天然のモミやコナシである。とても、材木にはならないから、こうやっておいても当面この林は人の役に立ちそうもない。せいぜいが地下水を集めて小さな流れを作るくらいだろう。(5月14日記)

 そういう場所で、放牧に拘らず一昨日のように各種の撮影にも利用してもらえれば森は生きる。荒らすわけでなく、牧場経営にとっては恵みとなり、安易な発想に基づく観光地化などよりも自然との共生にも余程適していると思う。
 あの森を舞台に描いた映画やテレビ番組を見れば、視聴者にもそれなりの感興をもたらすはずだし、多様化という言葉は好きではないが、これは眠っている森の利用における多様化の一つではあろう。
 そのうちこの森の中から、美しいピアノの旋律が流れて来る日も近い(関心があるようでしたら、5月2日付のブログをご覧ください)。

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 本日はこの辺で。

 
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