入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「春」(62)

2023年05月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   Photo by Ume氏

 曇り空の下では、周囲の緑の色がまた違った印象、味わいを感じさせてくれる。これも悪くないと思って眺めている。白樺や落葉松の樹幹や枝が、生い茂る葉で目立たなくなってきて、林と言うよりかむしろ森の趣の方が強まってきた。
 昨日はテイ沢を通て帰っていく人が幾組もいたけれど、枯葉の散った晩秋のころとは違い、コナシの新緑に隠れてその姿が見えなくなったと、昨年のそのころを知っているT夫妻、それにS夫妻と話したばかりだった。
 
 コナシと言えば、大分蕾の赤い外皮、と呼んでいいのか、が目立つようになってきた。やがては新緑とは馴染まないこの汚れのような色が取れて、白い花を咲かせる。
 短命なヤマナシの花はすでに散ってしまった木も多いというのに、それに続くはずのコナシの開花はここへきて足踏み状態のように見える。気候のせいだろう。 
 長年牧で働き、暮らせば、コナシの木は口のうるさい隣人のような相手で、絶えず気にしていなければならない。ところが、都会から来た人の多くはこの木の名前すら知らず、まして、やがて白い花を咲かせると言っても想像することもでず、戸惑ったような顔をする人もいる。

 そういう時、つい知ったかぶったようなことを言ったりするが、考えてみればここに17年も働いていながら、およそ自然についての知識はお寒い限り、例えば、きょうはめずらしく声がしないが野鳥のこと、樹木や草花のこと、それに星や星座のことについても殆ど何の知識も身に付かなかった。
 身近にそういう人がいなかったとは言わない、いた。にもかかわらず、野鳥の鳴き声を教えて貰っても、そういう図鑑や本を集めても、はたまたそれなりの望遠鏡を入手しても、いまだに炊飯器の正しい扱い方すら知らないのと同じ怠慢、面倒を押し通したままでいる。読むのが苦手な取り扱い説明書の類とは、雷鳥とカラスほどもその違いを承知しながら。

 子供のころに「勉強しないと後で後悔するぞ」なんてことを先生から言われた。そういうことを言っていた先生よりか年を取り、今になって思えば、そういう先生はどうだったのかと思わないでもない。また、先生の言われたことを守らなかったが、後悔もしていない。
 それよりかむしろ、ここで学べることをしないまま、終えなければならないことの方がまだ無念である。

 かんとさん…、お大事に。しかし、これでもしも天気が良くなったなら、一体どう考えたらいいのだろうか。

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 本日はこの辺で。
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