入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’24年「春」(33)

2024年03月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

          よく見るとサクラの花も咲いている
 
 昨年の今ごろと比べると、今春は大分季節の進み方が遅いということが分かる。きょうの写真は去年の3月30日に散歩の途中で撮影したもので、鮮やかな緑の色をして見えているのは麦だろう。
 今はどうか知らないが昔はこの時季、子供も駆り出されて麦踏みということをした。日頃、作物は大切にしなければいけないと教えられていたけれど、この時ばかりは生え出したばかりの麦を踏むことが許されて、悪戯を公認されたような気がして張り切ったものだ。

 牧場の草は芽を出したはじから、冬の間食べる物が少なくて腹をすかした鹿の群れがそれらを待っていて食べ漁る。一番芽は食べさせた方がいいと言う人もいたが、それが正しいかどうかは確かめようもなく、今ひとつはっきりとしない。
 牧守としては、2か月後には上ってくる牛たちのことを思い、どうであれお手柔らかにしておいてほしいと願う。
 
 その鹿、毎春かなりの希望も込めて、頭数が減ったと言っては裏切られてきた。また同じ轍を踏むことになるかも知れないが、今年に入ってから3度上に行っているにもかかわらず鹿の姿を見た記憶がなく、そんなことはいくら頭数が減ったと思った年でもなかったことだ。
 今春は何度も雪が降り、出産を控えた雌鹿にはきつい思いをしたはずで、それが鹿には悪い影響を、牧場にとっては良い影響を及ぼすことになるのだろうか。

 小屋の内外の点検、清掃、水回りのことが一段落すると、キャンプ場に落ちたコナシの枝や鹿の落とし物の片付けが待っている。
 鹿たちは人が去ったキャンプ場を自分たちの活動域にしてしまうから、これが散乱した枝に加えて結構手のかかる仕事になり、だから鹿の害には違いない。
 それでも、周囲に残雪の消えない山の牧場で、明るい春日を浴びて作業をするのは快く、人の手を借りずに自分だけでするから余計にそう感ずる。
 
 渓の中にある水源地へ降りていけば、手の切れんばかりの透明な湧水が次から次と枡の中に湧き出てくる。その点検や整備を終えれば、心地よい水音を聞きながら渓の中を下る。延長2キロ近い埋設管の点検を兼ねていて、欠かせない仕事だ
 牧場やその周囲の自然は冬の眠りからようやく目覚めたばかり、その神聖なとも言える雰囲気はまだしばらくは続くだろう。
 本日はこの辺で。

 
 
 
コメント
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