入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「初冬」 (15)

2016年11月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝はいつもより、ゆっくりと上ってきた。 ちょうど、ラジオからはグリーグの「ソルベイグの歌」が流れていて、過ぎた時間のことを思うには効果的だったのかも分からない。
 まあ確かに、牧場の仕事はきょうで終わる。ただ山小屋については泊り客があれば上がってくるつもりでいるから、これからやって来る冬の間も入笠とすっかり縁が切れてしまうわけではない。今週は土、日と来る。

 最後の最後まで通電させていた第1牧区の電気牧柵を昨日ときょうで、全て落とした。ここの電気牧柵は他の牧区のように区画のためでなく、鹿対策のために長野県が実験用として設置したものだ。それを現在も同じ目的で使っているので、鹿の侵入を防ぐためできるだけ長く電気を流していたい。できれば、雪が積もるまでそうしておきたいが、さてそれから電牧落としとなれば、今より余程困難な仕事になるだろう。
 1周すれば3キロ位になるのだろうか、その電気牧柵も当初のような効果が薄れ、草地のいたる所に豆撒きでもしたような侵入の証拠が落ちている。罠師からは足を洗おうと思っていたがこういう状況を目にすると、また考えてしまう。牛がいなくなってからの方が、鹿の跳梁はさらにひどくなったような気がする。
 牛が里に下りたのが10月の17、19日だったからもう1か月以上になる。狭い牛舎で不自由な暮らしをしていれば、散々好き勝手に暮らすことができた牧場を、あの牛たちは懐かしく思い出さないだろうか。そろそろ、出産を控えた牛もいるはずだが、元気な子牛の誕生を念じてる。
 牛がいて、牧場があって、そしてこの雄大な風景がある。この自然をどのように守っていくのか、牧畜の先行きがはっきりとしないだけに、将来のことが気になる。

 例年、牧を閉じる日までにやっておくべきリストを作るが、済マークが入っていないのはあとひとつ、水回りだけになった。
 カントさん、素晴らしい天体写真ありがとうございました。明日のブログで使わせてもらいます。今度の新月、天気が良いといいですが、クク。

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    ’16年「初冬」 (14)

2016年11月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 遠くまで、澄んだ青い空が広がっている。見慣れた風景だが、心に沁みてくるくる美しい眺めだ。牧場に夕暮れが迫り、長い影が山に落ちると辺りは急に淋しくなる。日が沈んでいくにつれて山々と接している空の縁(ふち)の色が、薄青色からさらに白くなり、そして徐々に赤みを帯びてくる。近くの葉を落とした白樺の梢ばかりか、大沢山の箒立ちして見えてるダケカンバの林も朱色に染まり出した。日の沈む速さに呆れている間もなく、その夕日が最後の光芒を放って消えた。西山の影のような山並みが一段と暗く濃くなって、それまで気が付いていなかった背後の御嶽山が浮かぶように見えてきた。
 鹿が鳴いてる。短い飛行機雲を引きながら定期航路を白い点のような旅客機が飛んでいく。この仕事が終わったら、行ってみたい土地がある、国がある。
 明日で7か月の仕事が終わり、この仕事に就いてから丸10年が過ぎることになる。ここで過ぎていったその時間の長さ、重さが、若かったころよりもことさらに感じられるのは、それだけ人生の余白が減ってしまったということだろう。
 さあ暗くなった山道を帰ろう。

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    ’16年「初冬」 (13)

2016年11月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  いつも通る芝平の道路が明日の17日まで補修工事のため、昨日から千代田湖経由で上がってきている。藤沢川の両側から迫る色付いた山肌が見事なまでに美しい。きょうのように晴れていても、昨日のように曇天の日でも、華やか絢爛であったり、渋くて深い味わいがあったりと、天候の違いでは甲乙付けがたい眺めを見せてくれている。
 この杖突街道が南北に走る谷も広くはない。そこに幾つかの集落が街道に寄り添うように並んでいる。半日村と言われても仕方ないほど、空は遥か頭上に見えていて狭い・・・、そういう場所もある。中世以前より高遠と諏訪を結ぶ要路であって、またかつては飯田藩や高遠藩が参勤交代のためにこの街道を通り、松倉、金沢峠を抜けて江戸へと向かった歴史の道である。
 
   完璧な養生、感謝!

 きょうはそんなことを書こうとしたわけではないのに、つい脱線してしまった。
 山は静かになった。木々の葉もかなり散ってしまったが、今の時期の淋しいくらいの山の静けさを一人で贅沢なほど味わいながら、牧を閉じる準備をしている。週末には小屋に予約が入っているので上がってくるが、一応は19日の土曜で牧場の仕事は一区切りとなる。仕事を終えて山を去る感慨でも書くつもりでいたが、明日にでも。

 O沢さん、「医者には」なら訂正に応じます。訳は省略。クク。「カマキリ面」は、そういう顔をした某のことであって、カマキリを悪く言ったわけではありません。ドイッチェの件は、後日種平小屋さんに聞いておきます。伊那側は戸台からの道を含め、まだ通れますから出掛けみては。
 そうそう、富士見から入笠への道路については昨日あのように書いたところ、道路は「冬季通行止め」であると、早速役場の担当者から申し入れがありました。

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    ’16年「初冬」 (12)

2016年11月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 つれないことをするものだ。あれほど長期に亘って富士見から入笠への道路を交通規制をしておきながら、ようやくそれが終わったと思ったら、その翌日から通行止めにしてしまった。現在は、富士見パノラマのゴンドラも定期点検と補修のために運行が停止されている。ゴンドラの営業には支障がないはずだから、せめてもう少しの間だけでも通行止めなどせずにおけなかったのだろうか。
 実は昨日ここへの訪問者から、沢入以降が通行できないと知り、青柳から金鶏山経由のひどい林道を遠回りして来たと聞かされた。雪による事故でも起きれば、道路管理者として町に責任が及ぶと案じての処置だろうが、まだ早くはないか。道路を通行止めにするということについては気象条件などを考えて、もっと慎重な対応をしてもらえないだろうか。
 入笠山に来る方法は幾つかあるが、富士見町から来る道路が一番整備されていて、安全である。それでいて、長期の交通規制をやり、毎年一番早く通行止めにしてしまう。伊那側は特に通行規制はせず利用者の判断に任せているから、冬でも雪の状況次第では車で来れる。



 沢入の通行止めの場所を見てきた。。道路を封鎖していた馬は簡単に動いて、いくらでも開けて通ることができた。あれでは責任逃れの口実にはなっても、実際の規制にはほど遠く、役立たないだろう。「落石注意」と同じだ。それに途中で出会った年配の夫婦は、沢入で車を捨てて来たという地元の人だったが、そういう人らにとってもやはり通行止めは早過ぎて不便だと不満を言っていた。
 町にいろいろな事情があることは察しがつく。関係者の努力や、頭の下がる話も聞いている。だがそれでも、車で来ようとしていた人たちには長いこと不便と余計な出費を強いたのだから、せめてゴンドラの運休中ぐらいは気持ち良く、車での通行を認めてやることはできないものだろうか。
 八ヶ岳の山腹を彩る紅葉は今が最も見どころ。それに初冬の山の深い山気を味わいたいと思っている山好きは、まだまだいる。

 写真は杖突街道で本文とは関係なし。O沢さんのコメントには明日答えます。I上さん、ありがとう。

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    ’16年「初冬」 (11)

2016年11月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今夜はスーパームーン。満月で、地球に最接近した月のこと。最近ではこんな天体現象もよく知られるようになった。スーパームーンとしては68年ぶりに最もに地球に近付くという。その距離35万6千500キロ。地球から最も遠く離れた時と、最接近した時の距離の差は約5万キロにもなると、昨日の新聞記事にあった。
 もしも地球に月という衛星がなかったなら、という話を読んだことがある。月の地球への影響力は絶大で、月がなかったら地球は安定した惑星として、生命を育むまでには至らなかったかもしれないという。
 月は毎年4センチ位づつ地球から遠ざかりつつあり、何十億年かすればもはや地球の衛星ではなくなるとも。そうなれば、もしも月がなかったなら、という話になって、地球には恐ろしいことが次々と起こるらしい。あまりにも遠い未来のことで、科学的な関心はあったとしても、一般人がそんなことを考えたり、想像してみても仕方ない。
 それにしても、地球と月との関係もそうだが、われわれはこの広大な宇宙にあって奇跡的で、極めて希少な存在であるようだ。そう考えれば、毎日のように流れてくる内戦だテロだ、独裁だ難民だ等々とあまりにやるせないニュースが多く、あのカマキリ面した男を始め無能非情な為政者らの厚顔が憎い。

 鉛色の空は日も射さず、冬ざれた眺めが遠くまで続く。霧ヶ峰、美ヶ原、鉢伏、タカボッチなどは見えているが、その背後にある北アルプスの峰々はは雲の中・・・と、思ったら、後ろ立山の方は薄日が射している。珍しいことだ。
 明日から狩猟が解禁となる。

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