入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「冬ごもり」 (3)

2016年11月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  降り過ぎ、と言うしかない。きょうの雪のこと。朝7時、床の中で電話の音を遠くに聞きつつもしばらく無視していた。どうせ起きていけば電話は切れるだろうと思ったからだが、いつまでも鳴りやまない呼び出し音に負けて布団から抜け出した。そしたら、やはり待ってでもいたように音が止んだ。
 山奥氏からだった。掛け直したら、大雪の知らせで、まだ牧場に行ってると思って、親切にも山の雪の情報をくれようとしたのだった。氏によれば、11月にこれほど雪が降ったのは何十年ぶりかのことだとテレビが報じ、また隠れ家の辺りの積雪は20センチを超えてるという話だった。カーテンを開けたら、思いがけない外の景色に驚いた。
 それからもう半日以上が経つが、相変わらずの曇天で雪は融けず、それどころかまだ降りたそうな空模様が続いている。

 寒空の下、きょうも椋鳥の群れが柿の木に来て、そろそろどうかと味見をしている。この鳥は諦めがよいのか、しばらくすると1羽残らずいなくなる。ほぼいつも同じ時間に来て、ちょと柿の実をつついては飛び去る。もしかすれば、同じことを他の家の柿の木でもしていて、ここら辺りの柿の実の食べごろを毎日のように調べて回っている多忙な鳥たちなのかも知れない。
 山では鹿に手を焼き、里では椋鳥だけでなく嫁が君にも悩まされている。あ、こんなことを書くと「嫁が君」は一般には正月三が日の間のチュウ公に対する異称で、今の時期に使うのは適当でないとご指摘を受けるかも。まあ、その名を口にするのも嫌なくらい敵には辟易し、かつ窮しているということなのだが。
 夕暮れとともにまた雪が舞い始めた。牧場も場所によってはこのまま根雪になるかも知れない。

 赤羽さん、愛知のNさん、コメントありがとうございました。赤羽さん、足の全快を念じてます。またいろいろ知らせてください。
 
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    ’16年「冬ごもり」 (2)

2016年11月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 風土病について広辞苑は「気候・地質などから生ずる、その地方特有の病気」とし、また中毒については「飲食物または内用・外用の薬物などの毒性によって機能障害を起こすこと」と説明している。どちらにも当てはまるようで当てはまらない、これは何なんだろうか。
 たった3日行かなかっただけだというのに、牧場のことが気になる。7か月、毎日のように通っていた場所が呼んでいる。風土病と言えばそうかも知れないし、中毒だと言われても肯くしかない。
 特に寒気が迫っているようで、今夜あたりは雪になることも考えられる。そうなると、あれこれと試した水場のことがどうなるか心配だ。またそれだけでなく、やはり今度は一訪問者となって、人気の絶えた森や、渓を歩いてみたい。特に初の沢の源流は、いつも流れ下る瀬の音に癒され、聞き惚れながら仕事をしたし、厄介なものを運んだり、運び出したりと何往復もした場所だ。
 牧場の中を流れるあの沢は遊歩道の第1候補にしたいくらいだが、どんな道順・経路にしたらよいかは私案に留めておく。他にもそういう場所が幾つもある。しかし、牧場の将来のことを長い目で真剣に考える時期が来るまでは、余計なことは言わない。
 ただそうは言っても、一度もその場所に足を運んだことのない人たちの勝手な考えや、それに基づいて立てた企画・計画を信頼し、愛想笑いしながら何も言わずに黙っていることは、何度かした断酒よりも難しい。

 今冬もまた、雪の法華道を何度か通うことになるだろう。コナラの林を抜け、山椒小屋跡で一息入れて、同じ古道を歩いた、信仰に燃えた昔の人たちのことを思いながら行く。

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    ’16年「冬ごもり」 (1)

2016年11月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 小屋の裏にある隣家と接する柿の木に椋鳥が来ている。捥ぎ残しの夥しい数になる柿の実が目当てなのだが、まだ熟し切っていないため渋くて、しばらくは無駄に通うだけだろう。鳥の正しい名前を知らないまま、小さいころから「ギャーギャー」と呼んでいたのは、その品のない喧しい鳴き声のせいだろう。カラスと同じように、人に好かれる鳥ではなかった。今のうちは鋭い嘴で突っついては諦めて飛び去っていくだけだが、そのうち熟した柿の奪い合いになると本領を発揮して、名前を裏切らない騒ぎを始めるのは間違いない。
 留守の間に友人知人やその友人などが干し柿にしたいからと捥ぎに来たはずなのに、まだこんなに残っている。このままにしておいては柿の木の折角の努力を無駄にするようだが、かといって干し柿を作ろうなどという気はサラサラないのだから、ギャーギャーと万有引力に任せるしかない。

 昨日はまだ雑用があって外出したが、きょうはそんな用事もない。目覚めてからも、眠気と疲労を残らず絞り出すつもりで遅くまで床の中にいたし、すでに朝風呂にも入った。朝酒と言ってもさすがに燗酒は自重して、ビールを飲んだ。それでまだ10時を少し過ぎただけだというのに、きょう一日中何もすることがない。と、書いて思わず笑った。
 やることがないのではなくて、やりたくないと言うのが正しい。半年の間放たらかしのままになっている家や、その周囲の片付けでもということになれば、いくらでもある。しかし、まだそんなことはしない。冬ごもりの生活に落ち着くまでには時間がかかる。退屈という澱のようなものがしっかりと堆積されるまでは、目下の倦怠などは酔いのようなもので、炬燵に囚われて呆然としているだけでも時は過ぎていく。

 赤羽さん、そちらも懐かしい行ってみたい街です。そういう場所が幾つかあって、実際に訪れなくても今は、あれこれと思い出しているだけで足りています。初冬の山には行きましたか。

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    ’16年「初冬」 (17)    

2016年11月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 やはりこの3本のミズナラの木が、牧を閉じる日にふさわしい気がする。本日をもって牧場管理人の仕事は終わった。これからはそうしょっちゅうではないかも知れないが、時代遅れの山小屋の小屋番となって、入笠の森を訪れる岳人と、冬の星空に魅せられた人たちのためにお役に立ちたい。
 とりあえず今週ぐらいは朝寝、朝酒、朝湯の日々を過ごしたいが、あまり年も押し迫らないうちに四国へ行き、遠くへ行った友人との約束を果たすつもりでいる。年内はそのくらいで、今は格別の予定はない。恐らく今年は、江戸へ行くこともないと思う。
 きょうのような陽気だと、雪の来るのは遅いかも知れない。ともかく雪が降ろうが降るまいが、車で上がれるうちはあまり人数にこだわらず予約を受けたいと考えている。例年だと、大体年明けくらいまでは、車で上がっている。
 富士見のゴンドラは12月10日より営業を再開するそうだが、きょうあたりでも、葉の落ち尽した静かな山を歩く人の姿を何人か見かけた。

                           ***
 
 そしてこのブログ、冬ごもりのつれずれに何を書くのか分からないが、ともかくできるだけ続けて、入笠の情報も発信するようにしていきたい。
 なお、コメント欄に予約される方には、必ずこちらから確認の電話をしますので、電話番号は忘れないようにしてください。
 最後になってしまいましたが、入笠牧場の宿泊施設をご利用くださった皆さん、このブログを飽かず読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。これでお別れするわけではないですが、これも一応節目です。この機会をとらえてお礼申し上げます。

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    ’16年「初冬」 (16)

2016年11月19日 | 入笠牧場からの星空




1枚目
オリオン座のバーナードループです。かろうじて写ったかなと言うレベルで、まだまだでした。

2枚目
 左下に「オリオン座(バーナードループも淡く)」、その左に小さく赤いのが「バラ星雲」、

 中央右上に「プレアデス星団(すばる)」、その左上、小さな横長く赤いのが「カリフォルニア星雲」、

 すばるとオリオンの中間のオレンジ色の星が「アルデバラン」で、斜め横向きにVの字を構成し、「ヒアデス星団」となります。

 おまけに流れ星。これに刺されている赤い星雲は不明です。一番上の明るい星はぎょしゃ座の「カペラ」でした。

 オリオン座の左下から右上方向に「冬の天の川」も見えてます。(写真と文:かんと氏)


 いくら最速の光の速度で距離を表してみても、宇宙はあまりに広く、大きくて、それを認識することができない。しかも、100億光年という想像を絶するような遠方からの光が、ようやく地球に届くその間も、宇宙は膨張を続けているらしい。
 また、億年の単位で考えればこの宇宙も、太陽系も、そしてもちろん母なる地球もそれほど安定しているわけではないという。太陽活動の変化、月が地球の衛星でなくなる時、あるいは銀河同士の衝突(実際はすり抜けるとか)、超新星爆発・・・。
 そうやって考えれば、われわれ人類は良い時代に誕生し、良い時代に消えていくのかも知れない。
 そぼ降る雨が濡らす外の景色を眺めるともなく眺めつつ、終わらない妄想に溺れかけている。

 牧場に 未来はあるや 冬ごもり
 未来かあ 語尾長くなる 牧に雪
             (TDS)
 

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