入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’17年「初冬」(12)

2017年11月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 以前何日か前に似たようなPHを載せたが、きょうのも同じ時に撮ったもの。こういう夕焼けや飛行雲に出会える機会は滅多にないが、それでも本格的な冬が来る前の晴天の続く日なら可能だろう。いつまでかは不明だが、現在のところ道路規制は富士見側も、伊那側もしていない。
 
 道路規制と言えば最近まで1ヶ月ほど、千代田湖経由で入笠に来るには道路工事のため、未舗装の山道を茅野や富士見側に迂回しなければ来ることができなかった。それで、どれほどの補修ができたかたいえば、ナントたった100メートルだという。信じられないような話だが今朝来るときに、工事を請け負った会社の社員から聞いたのだから間違いはないだろう。
 毎年、同じころに舗装の補修工事が行われ、その度に少なからぬ数の人が不自由を余儀なくされているが、この進捗状況では、一体いつになればこの林道の工事は完了するのだろう。年間500メートルとか1キロメートルでも、とても10年では終わらない。
 この林道のことは以前にも書いたが、多くの先人や自衛隊のお蔭で開通した。しかしその後、道路は手軽に入笠に行ける観光道路としてばかりでなく、林業関係の仕事にも多く使われるようになって状況が変わってしまった。何しろ、小黒川の両岸はかつての広大な御料林で、戦後に国有財産となり、現在は林野庁が管理している。材木を満載したり、重機を積んだ大型トラックが走れば、この道路では耐えきれまい。とくに冬季における影響は大きい。

 大型の囲い罠には、鹿の姿はなかった。これで、今年度の有害駆除の仕事は終わる。罠を開放し、来春に備えることにしたのだが、驚いたことにHALは近くまで一緒に来たのに、罠の中へは入ろうとしなかった。銃声に大きな声で吠えていたが、9頭の鹿が撃ち殺されたことを分かっていたのだろうか。

  牧場は19日で閉めますが、その後も例年と同じように、折角いただいた予約にはできるだけ応じたいと思っています。 なお、11月からは冬季営業となりました。カテゴリー別の「28年冬季営業の案内」を参考にしてください。料金を含め、営業内容は昨年と同じにしたいと思います。
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      ’17年「初冬」(11)

2017年11月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨夜、高い山は雪だったようだ。遠く後立山から槍、穂高、続く乗鞍、御嶽、そして中アは空木に至るまで、白い衣を新しくしたようだった。その中でも穂高、槍の山並みは一条の雲を曳き、その上にまるで座るように堂々と見え、上空はきょうも風が強いようで、奥穂の峰のあたりからは雲なのか雪なのか、白いジェットを吐き出していた。

 初冬のこの時期、午前と午後とでは周辺の印象が、躁と、欝ほどに変わる。午前中の光は明るく、凛として、天空にも地上にも漲る。しかし、午後になると一挙にそれまでの明るさ、光彩は輝きを失せ、萎え、陰影は深かまり悄然としてくる。
 どちらが良いということではない。葉を落とし、その分余計に日の光を浴びてる森や林は暖かくて明るく、晴れ晴れとして見え、眺めているだけで気持が和む。林間に酒を温め、紅葉を焚きたくなる気持ちが分かる気がする。
 その一方で正午を過ぎると、光は次第に明度と強さを失っていき、辺りの光景は物憂げで、うら寂しさを増す。その趣を品のある静けさとか、落ち着きと形容することもできるが、酒を温め(るのはいつでもいいとして)、林間に紅葉を焚くのはむしろこのころの方が、ふさわしいかも知れない。
 西の山に残光が消え、闇と静寂が辺りを包むと、まだその日は終わっていないのに終息感に襲われる。日没の後にはただ闇が待っていただけの昔の人の感慨を、今も引きずっているかのようにそう感ずる。
 
 夜の森の中で、昨夜もたくさんの動物を見た。2頭の鹿がヘッドランプの狭い光の中で当惑し、車の後部にぶつかった。里では鹿が減ったと喜び、あるいは逆に嘆く声も聞くが、そんなことはない。夜の森に来れば分かる。

 牧場は19日で閉めますが、その後も例年と同じように、折角いただいた予約にはできるだけ応じたいと思っています。 なお、11月からは冬季営業となりました。カテゴリー別の「28年冬季営業の案内」を参考にしてください。料金を含め、営業内容は昨年と同じにしたいと思います。

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     ’17年「初冬」 (10)

2017年11月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

      
 静かだ。森が一段と冬の趣を深めたように感ずる。きょうの重苦しい曇り空のせいに加え、まだわずかに葉を残す落葉松の他は大方の落葉樹の葉が散ってしまって、それに訪れる人影も絶えたからだろう。富士見パノラマのゴンドラ運行も、定期点検のため中止されているというから、今は一昔前の入笠に戻ったかのようだ。
 早昼を食べて、これから小入笠の頭まで、電牧の冬対策をしに行ってくる。昨日、富士見町役場のH君と入笠の山頂から帰りに見た限りでは、相変わらず鹿は30頭くらいの群れがいたものの一番気になっていた小入笠の頭近くの電牧に、鹿の被害はなかった。
 
 午後になって晴れ間が出てきた。きょうは風が強かった。鹿の行儀が良くなったのか、案じていた電気牧柵は登り出しで1箇所切られていた他は全線が無事で、こんなことはこれまでにはなかったことだ。
 作業の内容を詳述しても詮ないが、急な斜面では2本のアルミ線を落とした後、冬の間に雪で支柱が折られないように1本いっぽん抜いて、その穴に目印のために棒を埋め込みながら登っていくという、厄介・面倒な所が全体の3分の1くらいはある。
 頭直下まで来て、思いがけもしなかったS氏から電話が入り、小屋に差し入れをしてくれたという。大いに恐縮し、駆け付けようとしたら、婦人同伴で入笠の山頂に上るということだった。山頂は文字通り指呼の間だったが、邪魔するのも無粋と、思い止まった。風の中で、有難くもまた痛み入った次第。

 このごろでは5時ともなれば、外はもう暗い。帰りの夜道ではさまざまな動物と遭遇する。一番多いのが鹿、その次が穴熊、そしてリスだかムササビだか、はたまたイタチだか・・・、よく分からない。ともかく、こうした森の動物たちには、われわれの知らない生存の困難や、危機がいつも身近にあるだろうと、つい考える。猟期も、もうすぐ始まる。

 牧場は19日で閉めますが、その後も例年と同じように、折角いただいた予約にはできるだけ応じたいと思っています。   なお、11月からは冬季営業となりました。カテゴリー別の「28年冬季営業の案内」を参考にしてください。料金を含め、営業内容は昨年と同じにしたいと思います。


 
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     ’17年「初冬」 (9)

2017年11月10日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 写真は、山室の集落の一部。ここら辺りで山室川の流れは左に折れ、やがて三峰川と合流する。この山室川に立ちはだかり、流れを大きく曲げた山がさらに東へと延びた先に、「月蔵山」があり、戦国の世に難攻不落と言われた高遠城も、ここから砲撃された織田軍の大筒の前に落城したという。武田勝頼の弟、仁科五郎盛信の壮烈な最後とともに、今に残る口碑である。
 また、川が削った狭い谷間を上流へと行けば、荊口、芝平の集落があることはすでにここで何度も触れたが、このような山の中の集落に、立派な総二階の家屋が時々目に付く。養蚕(ようざん)が盛んであったころに財を成した家々の名残だと思われるが、いつしかもう、往時の面影は薄い。
 もっと引き寄せて撮れば、そういう家がこの写真にも写るはずだが、とりあえずはiphoneのせいにしておきたい。同じく、この写真からは、なぜこのような集落に惹かれるのかも、伝えられない。残念である。





 上の写真の大型ストーブ、本日、時代遅れの山小屋に到着した。下の写真がほぼ同型のストーブで、山小屋の玄関にあるから知る人も多いと思う。他に中型が2台がある。
 そこで、ここで大きな声で叫びたい。「もう、寒いなどとは言わせない!!」と、(太字のゴシックで書きたいくらいだ)。
 確かに、この小屋は時代遅れで古い。ガランとした48畳を12畳づつに区切る仕切り・パーテーションがあるだけだ。しかし、ガスコンロや釜、冷蔵庫や食器もある。使い方次第である。
 なお、穴熊や雪害によるトイレの補修、改装については、喫緊の課題として充分に、痛切に認識している。そう遠くない日に、ここからまず、時代遅れを挽回したい。

 牧場は19日で閉めますが、その後も例年と同じように、折角いただいた予約にはできるだけ応じたいと思っています。   なお、11月からは冬季営業となりました。カテゴリー別の「28年冬季営業の案内」を参考にしてください。料金を含め、営業内容は昨年と同じにしたいと思います。
 
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     ’17年「初冬」 (8)

2017年11月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうは文句のない陽気で「小春日和」とか、「インディアンサマー」なんて言葉が浮かんでくるような日だった。1日通らなかっただけなのに、芝平の谷の紅葉の印象がまた少し変わった。老いた花魁(おいらん)の苦労が滲む厚化粧、とでも言えば伝わるだろうか。

 露天風呂の冬支度に大分手間取った。煙突を外すかどうか迷ったが、去年と同じように取り外すことにして、使われていない古いバンガローにしまった。簾(すだれ)も一面だけ残し同じバンガローに収納した。一面だけ残したのは、最も脆弱なボイラーを雪から守るためで、ここはもちろん厳重にシートでも保護した。
 今年は檜の風呂桶も、同じようにシートで養生したが、それは昨年、TDS君が蓋をしただけで済ませたのを見て、手抜きではないかというような不満そうな顔をしたからだった。蓋といっても、厚い断熱材の上に2枚の重いベニヤ板を載せ、その上に念のため重しをしたのだが、浴槽の一部は雨風に加え雪にも晒されるから、それで心配したのだろう。
 今の時期、こういう仕事をキャンプ場の穏やかな木漏れ日の中でやっていると、小さかったころの里山で家族と一緒に薪を集めたり、冬用の野菜を室に貯蔵する手伝いをさせられたことを思い出す。今と違って、薪や炭は重要な燃料だったし、野菜を凍結させないようにしておくことは、どこの家でも初冬の大切な仕事であった。
 当時は、何の感興も湧かない"労働"に思えたが、いまこうして振り返るとほのぼのとして、きょうの陽射しのような温(ぬく)味が感じられてくる。懐かしい。



 写真は2枚とも今朝、上に来る途中で撮った。初冬の雰囲気を見せるこの潰れそうな小屋の印象から、冒頭のような譬えが出たと誤って受け取られたなら、花魁があまりにも気の毒だ。紅葉も、これからは散るだけになって、最後に見せてくれている絢爛のどことない疲れを言ったつもりだったが。

 牧場は19日で閉めますが、その後も例年と同じように、折角いただいた予約にはできるだけ応じたいと思っています。   なお、11月からは冬季営業となりました。カテゴリー別の「28年冬季営業の案内」を参考にしてください。料金を含め、営業内容は昨年と同じにしたいと思います。
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