入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

   ’18年「春」 (16)

2018年03月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 また週の半ばになって雪が降るようだ。平地でも降るという予報だから、山ではさらに積もるかも知れない。見送ったと思っていた客が、もう一度戻ってきたようなものだから、折角だからもうしばらく留まるようにと言うべきか。

 昨春は、少し野鳥に興味を持った。しかし続かなかった。入笠にはいろいろな野鳥が来るが、中には谷川の水音に和してほれぼれするような鳴き声を聞かせてくれる鳥もいる。そんな時は、どんな名前なのかと関心が湧いてくる。山桜の咲くころになると、山の中はいっそう賑やかになり、枝から枝へと忙しく飛び回る鳥を目にする機会も増えてくる。野鳥の本を車に積んで、お馴染みさんになった鳥の名前を覚えようとするのだが、必死で目に焼き付けたはずのずの鳥の姿を本の中の写真で特定するのは、目の前を飛び去った鳥の姿を記憶するのと同じくらい難しかった。そのうちに、注意して見ていれば顔見知りの数も増えてくるだろうからと、いつの間にか名前を覚えようとする努力も止めてしまった。
 そこへゆくと、Ume氏は日本野鳥の会の会員だから鳴き声で鳥の名前を言い当てる。そうやって、撮影で立ち寄った折などに何度も名前や鳴き方を教えてもらったが、残念ながら氏のそうした知識は身に付くまでに至っていない。氏は鳥ばかりでない。分からない草花を見付けたりすると、ここにいてもすぐ図鑑を見付け手に取って調べようとする。
 そういうふうに図鑑までを使って鳥や、花の名前を調べようとした経験が殆どないのは、育った時代の違いもあったと思う。音響機器どころかテレビでさえも、まだ一般家庭には普及してなかったころに幼年時代を過ごしたのである。自然は当たり前過ぎて、もっぱら関心は何であれ食べられるか否かに集中したものだ。カブトムシも蝶も、アリやトンボ以上の地位・価値を持ってはいなかったのろう。
  
 苦しい言い訳だったかも知れない。やはり、未熟な好奇心しか持ち合わせてなかったことが一番の原因だと言うべきだったろう。野鳥ばかりか草木とも、なかなか懇ろな付き合いができないまま、「今春もみすみすまた過ぐ」という結果になるかも知れない。

 
 
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   ’18年「春」 (15)

2018年03月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 いつの間にか3月も半ばを過ぎた。昨日も独り言ちた桜だが、高知では2週間も早い開花宣言が出たり、東京も時間の問題となっているらしい。梅の開花は春の兆し、桜はその到来を代表するということなのか、それにしてもこういう話題を耳にすると、時の経過がさらに加速されたような気になってしまう。
 
 平成29年度も残り2週間ばかりとなった。現在予約は29日にK井さん他が入っているだけで、このままいくとこの年度最後の来訪者となる可能性が高い。一生懸命に3月を売り込んだつもりだったが、まだ春の光溢れるこのころの良さを充分に知って貰えなかったのは残念だった。
 営業実績を振り返ってみて意外だったのは、小屋の宿泊利用(泊数)は厳冬期2月がトップで、次は8月と11月だった。8月は納得できるが11月には驚いた。しかしこれは、撮影の関係者が小屋を利用してくれたからだとすぐに気付いた。売り上げ金額も、大したことはないが、小屋の方がキャンプ場よりも多かったのも予想外と言える。この結果からも小屋、就中冬季営業は軽視できないが、しかしこれはなかなか「行うは難し」である。売り上げは、対前年度比で5割くらい増えたが、JA上伊那は大きな組織である。そんな額はスズメの涙にも値しないだろう。せいぜいが管理人の物好きと見做されてオチ。雪の山道の話をしたら某奴、黄色い声で「登山、トザンだぜぇ」と、それだけ。
 


「ここはJAハウスです。ここでもテント設営可能ですが、名物小屋番さんと仲良くならないとです」。昨年の11月18日、種平小屋から入笠に登った登山者が「ヤマレコ」とやらに記した一文。もちろんそんな条件はなくて、2人以上のオフロードバイカー以外は誰でも利用可。穴場とはいえ、来る人全員と仲良くすることは物理的にもとても無理だし、それに、高遠饅頭みたいに「名物小屋番」と呼んでる男の主たる業務は人間の相手ではなく、牛のお守(もり)。以後見知り置かれたし。

 赤羽さん、早い完全復活を念じています。しばらくは苦戦するでしょうが、この独り言のように、そればかりの日々を送る者もいます。

 光の明度が上がる、春の入笠牧場が待っています。"Rancher Bar"は、管理人の酒類の在庫、いよいよ僅小につき、当面は各自持ち込みにてお楽しみください。
 営業については以下をクリックしてください。「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。

 




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   ’18年「春」 (14)

2018年03月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 雨が降っている。時々遠くを走る車の音に、雨だれの音がかぶるようにして聞こえる。濡れそぼつ外の風景をが眺めながら何となく余裕を持っていられるのも、或いはまたこの時季の雨の方が梅雨時の雨よりかやわらかな暖かささえ感じられるのも、一雨毎に自然の生気を活気づをかせ、待ちあぐねていた季節を、春の雨が引き寄せてくれていると思うからだろう。信州のここらでも梅の花の蕾や、ボケの花の蕾も、もうそれほど日数をかけずに開花するに違いない。
 桜の開花も、例年より早まりそうだというようなことを耳にした。3月も終わるころ、都会での各地の花見の喧騒が伝えられ、それから1ヶ月くらい遅れて高遠城の花見が始まる。4月20日から牧場の仕事が始まり忙しくなり、その間にも季節は進みはするものの遅く、新緑の中に山桜の花を目にするようになるのはもっと先の、5月中頃になるだろう。以前は東京で、信州の里で、そして牧場でと、桜の花を毎春3度も眺めることができた果報贅沢者だったが、今は東京の桜にはご無沙汰を決めてしまっている。
 毎年のように思うことだが、華やかな薄桃色をした花弁の大きな里の花よりも、遅れて咲く山桜の控え目で清楚な姿に、より惹かれる。殆ど知られていないが、牧場にはそういう山桜の木がたくさんあって、その中でも特に気に掛けている古木が何本かある。年によって咲き方は違うが、五月晴れの真っ青な空、残雪の空木岳を絶対条件にして、散りばめられたように咲く可憐な花を、もう10年以上も毎年欠かさずに愛で、眺めてきた。
 ここ何年かの中にはそういう古木が倒れたり、双幹の一方を腕を失うように雪や風に折られたりということもあった。いつも同じ春ではないが、それでもこのころの山や牧場は、1年の中でも最も旺盛な、美しい季節を迎える。

 光の明度が上がる、春の入笠牧場が待っています。"Rancher Bar"は、管理人の酒類の在庫、いよいよ僅小につき、当面は各自持ち込みにてお楽しみください。
 営業については以下をクリックしてください。「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。

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   ’18年「春」 (13)

2018年03月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 山奥氏はいた。下から電話した時には応答しなかったが、天気も良いから屋外で何かしているのだろうと行ってみたら案の定、氏は"土木作業"中だった。そんなことは後で手伝うからと言って、それよりも上の雪の状況を見に行こうと誘ったら、「仕方ないな」といったふうに応じてくれた。
 きょうの写真はその時に撮ったもの。雪融けが思いの外進んでいて驚いた。前回から2週間ばかりの間にこの変わりようで、昨日、きょうの陽気からすれば、3月中旬にして早くも一般車輛での通行が可能かと思えるほどだ。
 しかし実際に、この独り言を読んで出掛けたらひどい目に遭うかも知れない。日陰はまだかなりの積雪があり、雪道に慣れた人で、車も当然4輪駆動車でないと無理だろう。前回行った3日にも数台の改造車が入ったようだったが、こういう車が週末の度に来るとなると、轍をズタズタにしてしまう恐れもある。ど日陰の辺りは大分荒れていた。

 「これからの夕食後、おそらく深夜までソフト(望遠鏡・カメラ制御、画像処理等)のインストールなどで楽しみます」と、新しいPCを入手したかんと氏からの昨日届いた通信。「楽しむ」というのが凄い。PCは、こうして独り言に関する操作をかろうじて行えるだけの者にしたら、「楽しむ」などという心境との距離は、氏の望遠鏡が捉える遠方の星よりももっと遠いかも知れない。たくさんの機材、複雑な配線、微細な調整、そしてようやく観測が、撮影が、夜通し寒さや睡魔とたたかいながら行われる。今ごろ、入笠牧場は星空の美しい場所だから、新兵器を手にしてさぞかし血沸き肉躍っているところだろう。
 スティーブン・ホーキング博士が亡くなった。肉体はあのように不自由だったが、頭脳は最後まで超高度に働いていたようだ。それにしても億年を、億光年を研究対象にしてきた人の人生のその短さを痛感する。

 光の明度が上がる、3月の入笠牧場が待っています。"Rancher Bar"は、管理人の酒類の在庫、いよいよ僅小につき、当面は各自持ち込みにてお楽しみください。
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   ’18年「春」 (12)

2018年03月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうはいかにも春らしい良い天気だった。格別にすることもなかったから、芝平まで撮り残しになっていた諏訪神社の傍に立つ法華道の登り口の碑と、最初の地名が残る「万灯」の道標(みちしるべ)の写真を撮りに行ってきた。これはかねてより北原のお師匠から頼まれていたことで、師としては自らの手で立てた道標10本と、本家・御所平峠の地蔵菩薩の写真を、ひとまとめにして記録として残しておきたいという気持ちがあったからだ。
 写真を撮り終えて帰ろうとしていると、県道から諏訪神社にが向かって入ってくる道に1台の車が停車し、中から黒メガネに長い髭を生やした初老の男が、こちらに向かって歩いてきた。初めて見る顔だった。そして「冬の間に車がここに止まっていたのを見掛けたが、それはオタクのですか」と聞いてきた。それで、そうだと返事すると、翌日になっても車が同じ場所にあるので、所有者は山中で「凍死」でもしたのではないかと、役場に通報しておいたという話だった。そして、冬期にこの場所に駐車する車を初めて見たこと、また以前には行き倒れがあったことなどが理由で、そうした行動をとったのだと説明した。
 車を駐車した場所は、以前はバスや、工事の大型車両が方向転換するほどの広さがあり、そこに車を駐車したことは今冬が初めてのことではなかった。それにこの冬は2回、同じ場所を駐車場として使ったのだから、それなりに注意してくれたなら車の持ち主は凍死してないと分かったはずだ。
 詮索するのは嫌だったから詳しいことは聞かなかったが、本人は東京在住と言っていたわりにこの辺りのことに詳しく、口ぶりからは住む場所が近くにあるようににも聞こえた。行き倒れの件もそうだが、車は借用中だと言ってたが松本ナンバー、最近になってオオダオ(芝平峠)まで一帯が動物保護区になったことや、それに関連してあまり評判の良くない猟師の名前までも知っていた。
 通報は親切心からしてくれたことだから、取り敢えず気を遣わせたと礼を言って別れた。確かに、冬季にあの場所のみならず、山中に車を駐車しておく場合には、入山予定を書いて、分かる場所に貼っておいた方が良いかもしれないと思った。
 その後、折角そこまできたのだからと足を伸ばし、山奥氏の隠れ家にも行ってみた。

 光の明度が上がる、3月の入笠牧場が待っています。"Rancher Bar"は、管理人の酒類の在庫、いよいよ僅小につき、当面は各自持ち込みにてお楽しみください。
 営業については以下をクリックしてください。「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を
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