入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「晩夏」 (2)

2019年08月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 入笠牧場にはいろいろな人が来る。平沢真希氏、ご覧のようにピアニストだが、自然環境に恵まれた屋外での演奏を実践している珍しい演奏家だ。彼女の鋭いタッチが、軽やかな調べが、入笠の谷間に驚くほどよく響いた。
 そして彼女を支援する雨宮国広氏、この人も興味深い人物だ。彼は、人類進化学者である海部陽介氏(国立科学博物館勤務)の求めに応じて古代人のように石斧を使って丸木舟を作り、その船に乗った5人の漕ぎ手はこの夏、台湾から与那国島までの航海に挑んだ。
 約3万年前、われわれの祖先がこの列島に移動してきた経路は幾つか考えられている。その中で、海部氏の南方説を再現しようというプロジェクトが3年前に立ち上げられ、最初は葦の舟、次が竹を使った舟、そして今度の雨宮氏が1年半もかけて削った杉の丸太舟によって行われ、ようやく200㌔以上におよぶ航海を成功させることができた。



 石器時代の暮らしに憧れる彼、雨宮氏が、全く縁もなさそうなピアノとの出会いは聞いて覚えている。しかし、平沢氏とコンビネーションを組むようになった経緯などは知らない。また、人類進化学者の海部氏とも親しいようだが、同じくその関係についても聞いたのかどうかも含め、記憶に残っていない。
 彼女がピアノを学んだショパンの祖国ポーランドの話や、雨宮氏が2畳ほどの小屋に住んでいることは聞いた覚えはあっても、あの夜も大酌して大方のことはすっかりと忘れてしまった。無念!かつ全くのご無礼。
 
 この牧場の中にあるとっておきの場所で、某ソプラノ歌手のコンサートをやってみたらと考えたことがある。もちろんそれは身の程知らずの夢でしかないが、それでもそんなことを思い出す機会を二人は与えてくれた。感謝。

 流石、若忠さん、覚えていてくれましたか。よろしくお願いします。aiさん、気に入ってもらえ何よりです。遠い昔、大曾根町に暮らしたことがあります。

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     ’19年「晩夏」 (1)

2019年08月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 牧場(まきば)の朝は早い。午前5時、先程まで羊雲が出ていた。日中はまだ夏の余力はあっても、朝夕はもうここには忍び寄る秋の気配を感ずる。今は短かった夏を送り、ひと仕事終えた後のような安堵感を感じているが、実際には気苦労の多い牛の世話は10月まで続くし、それにまだ撮影が終わったわけではない。朝霧に濡れた放牧地のどこからか早起きの牛の声がした。
 燃える火を眺めながら、彼女は何を思っていたのだろう。「初秋」という言葉が浮かんできてもおかしくないような昨夜だったが、それを意識していたのかどうかは聞きそびれた。それどころか、大酌のせいでこんな写真を撮ったことも朝になって分かった(撮影もここへの掲載も、本人からの承諾を得てます)。





 まるで行きずりのような夏にも盆踊りがあって、またこんな焚火の風景もあって、それなりにキャンプ場も賑わった。そして、毎年来てくれる幾つもの顔を見送った。彼らも彼女らも「また来ます」が別れの言葉だ。誰もいなくなった饗宴の跡地にはマーガレットとワレモコウが風に揺れていた。
 




 きょうから独り言の題名を「夏」から「晩夏」にしました。
 KOTANIさんケイさん、通信拝受。ここを気に入ってもらえて良かったです。また、是非クラークや星について語ってください。赤羽さん、以前に狼のPeeか何かで試したことはあります。やり方にも問題がありましたが、効果はありませんでした。5キロで1千リットルなら、ここでは2千リットル以上が必要になります。費用を考えても、やはり、ホルモンを狂わす方法がもっとも有効だと思いますが、現在は法律の壁があるようです。

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     ’19年「夏」 (40)

2019年08月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 今朝来たら、第1牧区に通ずる第2牧区の草地に20頭ばかりの鹿がいた。もっと早い時間なら別だが、この時間にこれだけの鹿が草地に出ていることは珍しい。この頃は鹿との闘いを中断してしまったから安心して、段々と彼らの活動時間が長くなったのかも知れない。
 昨日の帰りにはまるまると太ったイノシシを見た。同じ場所で、前にも2頭のイノシシを見ている。初夏のころから牧草地を荒らしまくった憎き片割れだろう。
 森に食べ物が少なく、やむなく牧草の下の土中にいるコガネムシの幼虫を食べにきたという説や、コガネムシの周期的な異常発生を狙って来たのだという見方も怪しくなってきた。イノシシはブタと見紛うほど肥えていたし、これまでの13年間には複数の牧区において、ここまで広い範囲で草地をめくられたこともなかった。
 動物行動学の専門家はいつも、何かあればもっともらしい見解を聞かせてくれるが、それがあまり有効な手立てに繋がらないのは、街中にまで出没するようになったクマに対する対策と同じような気がする。
 アメリカのイエローストーン国立公園内では、ヒグマは人間を襲いもしなければ、格別恐れもしないという信じられないような話を最近聞いたばかりだ。これが、我が月の輪グマの未来の姿となるのだろうか。

 この頃はテントの大型化が進む。メーカーはキャンプ場の状況など斟酌していないようで、結果、当キャンプ場は15組までの予約しか受けないことにした。案内に、タープ使用に際しては別途1千円ほどを頂戴すると記したら、それよりも広い範囲にテーブルや椅子を出しておいて、それでもタープは使ってないと抗弁されることがある。要は占有面積で、それをタープで代弁したつもりだった。
 今朝も、5時から来て昼には帰るからという人がいた。他に3人いて、「お山」へ行ってるという。予約無しということもあったし、日帰りでもあったが、場所の占有の仕方がかなり自己本位に感じられ、それで気の毒だったが予約無しを理由に断った。
 来てくれた人には少しでも快適にと気を遣っている。自分たちさえ良ければという態度を見せられると、つい声が荒くなり、双方が不愉快になる。何卒、ここにはそういう大変未熟な管理人がいて、それでも一生懸命に無い知恵を絞っていることを承知の上、来てもらえたら助かる、有難い。
 
 台風はやはり夏を連れていったのか下でもここでも、昨日あたりから急に虫の声がするようになった。

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     ’19年「夏」 (39)

2019年08月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 台風は中国地方を通過し、今は日本海を北上しているはずだ。しかし雨は止まず、風も強い。どうも昼頃までこんな天気が続きそうで、今度も台風一過の好天は期待できそうにない。
 
 昨夜は守屋山の裾を通り、紅葉湖を抜けて帰ってきた。途中、藤沢を過ぎた杖突街道沿いの集落の寺が照明に照らされ、盆踊りでもやっているらしく、聞き覚えのある民謡が遠くから聞こえてきた。その素朴な曲調や光景には、長いこと忘れていた心の和む懐かしさがあった。思わず車を停め、写るかどうか分からないまま撮ったのがきょうのこのヘンテコな1枚。
 入笠一辺倒のままで、盆も正月も人並みのことなどしたことがない。家にも今年の盆は坊さんが来てくれたが、その相手は人に頼むばかりで自分ではできなかった。今の団欒とは縁のない生活を普段は受け入れていても、ふと目にした山村の寺での盆踊りの様子が胸に沁み、人家はおろか行き交う車もない暗い山道を走りながら侘しさを識った。

 上に来た。雨はほぼ止んだが、早くも野分を思わせるような風が吹いている。台風は夏も一緒に連れて行ってくれたのかも知れないが、もしそうなら、今年の牧場の夏はわずか10日足らずだったことになる。その分秋が長ければ、個人的にはその方が余程いい。
 
 きょうもあの偏屈な種牛の目を盗んで朝一番で給塩をした。奴は今なお相も変わらずで、群れの中では自分だけが大きな顔をしていたいらしい。よそ者の侵入を拒む与太者さながら顔を地面にこすりつけ、足で土を蹴り上げ威嚇して、牧柵の中に入らせまいとする。もしかすれば、牛の群れは二分したかも知れない。
 
 夏休み親子連れで来てくれているキャンパーらは、台風のせいで思うに任せない様子だ。午後になれば天候も回復するだろうから、牧場の案内でもしようと考えている。
 K.HRMさん「本当に素敵なキャンプ場で、ゆったりと過ごさせて頂きました」と、何よりの感想を有難うございました。少しでも日ごろの疲れが取れたなら幸いです。露天風呂、天体観測と、お子様に喜んでいただけたのも甲斐がありました。

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     ’19年「夏」 (38)

2019年08月14日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 まだ里にいるが、真っ青な夏空が広がっている。にもかかわらず、最も信頼している天気予報では、入笠は雨。昨日のNHKでは、きょうの県内の降水確率は20から30パーセントの予測で高くないから、この青空の方が納得できる。それでも多分、上に行けば空は泣き出すことになるのだろう。もしそうでなかったら、きょうは入山を迷っていたIさんには悪いことをしたことになる。
 それにしても台風情報関連については、少し予報の仕方が大げさになってきたという気がする。気象学を長年専門としてきたNさんにそう言ったら、否定しなかった。「土砂災害や浸水、河川の増水や氾濫に厳重な注意が必要」、災害に対しての警戒は当然だが、どうもこの一本調子の警戒情報は、却って人を油断させまいか。
 災害防止のためなら「狼少年になってもいい」と、ある気象予報官は言っていたが、そこまで気負う必要はないと思う。それよりか、災害予測の情報に対して人々がどう対応したか、その効果はどうだったのか、天気予報と同じく検証をすべきだと思う。役人の責任逃れなどといった誤解を生む。それに、情報の出し方によっては観光業などに与える、経済的損失も無視できないはずだ。
 夏山の気象予報など「霧か雨」、役に立たない何かの景品のようだ。

 やはり牧場に来てみると雨。霧も深い。正午の気温は19度しかなかった。突如現れたKM子さんご一党は「寒いさむい」を連発し、いつものように慌ただしく山を下りていった。こんな天気ですることもあまりないが、予約はあるから待つしかない。
 あれ、青空が見えてきた。

 
 遅ればせながらNMさん、通信ありがとう。赤羽さん、常夏の島は如何でした。岳遠さん、待ってます。T川さん、それは残念です。涼しくなった秋の山へお出掛けください。おぞけんさん、ありがとう。皆によろしく。

 8月10日から18日までのキャンプ場の予約は、大変に勝手ながら打ち切らせていただきました。
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