■ここのところ円安傾向が続く中で、安中市内に主力事業所を持つ東邦亜鉛は、2015年3月期の売上高が前期比2%増の1210億円、営業利益が18%増の68億円、連結純利益が62%増の27億円と、亜鉛価格上昇も手伝って、好調を維持しています。そんな中、5月28日付の地元紙経済面に次の記事が掲載されました。
↑今回のソフトカームを巡る不正事件の舞台となった東邦亜鉛藤岡事業所。新幹線の車窓から、事業所の大屋根が見える。藤岡事業所の敷地面積は33ヘクタール。因みに同社安中製錬所は55ヘクタール。↑
**********2015年5月28日上毛新聞経済面
東邦亜鉛 不適切会計処理 総額1億5900万円
安中市に生産拠点を持つ東邦亜鉛(東京都中央区、手島達也社長)は27日、遮音材を扱うソフトカーム事業部での不適切な会計処理の総額が1億5900万円に上ったことを明らかにした。同社はすでに2015年3月期決算で営業外費用として一括処理している。
同社の第三者委員会の調査結果によると、同部の前営業担当課長が1社との取引で11年3月以降、受注伝票を発行しないなど適切な会計処理をせず、売上を過大計上していた。
一方、同課長は別の取引先に会社資産の鉛くずなどを買い取らせ、換金後の代金として10年12月~15年3月の間に計約3200万円を不正に受け取っていた。代金は同部での飲食代などに充てたとされるが、全てが使用されたかは不明としている。
調査結果を受け、同社は関与者を社内規定に基づき処分し、不正換金の返還請求について法的措置も含め検討する。今期の役員賞与を返上し、社長(10%)、取締役総務本部長と同管理本部長(5%)が3ヶ月、報酬の一部を返上する。同社は「全役職員一丸となって再発防止と信頼回復に努めたい」としている。
**********
■この事件で、東邦亜鉛が最初に社外に発表したのは2015年4月16日でした。
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http://www.toho-zinc.co.jp/news/pdf/news_20150416.pdf
平成27年4月16日
各 位
会社名 東邦亜鉛株式会社
代表者名 代表取締役社長 手島達也
(コード番号5707 東証第一部)
問合せ先 取締役管理本部長 山岸 正明
(TEL 03-3272-5611)
当社一事業における不適切な会計処理について
当社は、平成26年度の社内における売掛金照合及び棚卸実査の過程で、当社の「その他」セグメントに属するソフトカーム事業部において、適切な経理処理が行われなかったなどの疑義が生じ、4月6日の取締役会において当面の状況を報告・確認いたしました。
総務本部長及び管理本部長を中心として社内調査を進めてまいりましたが、より網羅的な調査を実施するため、本日、社外の専門家を含む社内調査委員会を設置いたしました。社内調査委員会による調査が終了し次第、速やかに調査結果を開示いたします。
業績への影響については、本日までの社内調査の結果では、上記ソフトカーム事業部における売掛金・在庫課題計上等の不適切な会計処理の合計額が約2億円見込まれております。現在のところ、これらの影響については、平均26年度決算に取り込む予定でおりますが、本件に係る決算予想の修正は不要と考えております。なお、業績影響の範囲に鑑み、四半期を含む過年度の連結財務諸表等の訂正は行わない予定であります。
株主及び取引先の皆様を始め関係者の皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしますことをお詫び申し上げます。
以上
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■続いて連休明けの、2015年5月12日に次の経過報告が経理部長名で発表されました。
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http://www.toho-zinc.co.jp/news/pdf/news_20150512_1.pdf
平成27年5月12日
各 位
会社名 東邦亜鉛株式会社
代表者名 代表取締役社長 手島達也
(コード番号5707 東証第一部)
問合せ先 経理部長 田邉 正樹
(TEL 03-3272-5611)
当社一事業における不適切な会計処理について(経過報告)(2)
平成27年4月16日付けで、頭記の状況につき公表させて頂いております。内容は、平成26年度の社内における売掛金照合及び棚卸実査の過程で、当社のその他セグメントに属するソフトカーム事業部において、適切な経理処理が行われなかったなどの疑義が生じた、というものであります。
その後の経緯をご報告申し上げます。
調査結果に公平性を持たせるため、4月28日に従来の社内調査委員会(当社と利害関係を有さない弁護士1名、会計士1名含む)から第三者委員会(従来の社内調査委員会のメンバーであった弁護士1名、会計士1名に加え、当社と利害関係を有さない弁護士1名を追加し3名のみの体制)による調査に変更し、鋭意スピード感を持って調査を進めております。
本日公表しました平成26年度決算につきましては、引き続き監査継続中ではありますが、当社としては、ソフトカーム事業部における「売掛金の過大計上」及び「棚卸資産の課題計上」の合計額は前回公表時の2億円弱から変わりなく、当期において一括処理することにより反映しております。
第三者委員会による最終報告につきましては5月末を完了予定としており、調査報告書の提出を受けた後、速やかに公表いたします。
株主及び取引先の皆様をはじめ関係者の皆様には、引き続き多大なご迷惑とご心配をおかけいたしますこと、お詫び申し上げます。
以上
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■そして、2015年5月27日に、第三者委員会による調査結果報告書が次のとおり同社のHPでプレスリリースにより公表されました。なんとしてでも、6月26日の第116回定時株主総会前に、事件の結果について最終報告をしておく必要があったからでした。第三者委員会による調査報告書の全文を見てみましょう。
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http://www.toho-zinc.co.jp/news/pdf/news_20150527.pdf
平成27年5月27日
各 位
会社名 東邦亜鉛株式会社
代表者名 代表取締役社長 手島達也
(コード番号5707 東証第一部)
問い合わせ先 総務部長 大久保 浩
(TEL 03-3272-5611)
不適切な会計処理に関する調査結果について
当社は、平成27年4月16日付「当社一事業における不適切な会計処理について」及び平成27年5月12日付「当社一時帳における不適切な会計処理について(経過報告)(2)」にて公表いたしました。当社のその他セグメントに属するソフトカーム事業部における不適切な会計処理について、外部有識者で構成される第三者委員会による調査報告書が本日受理され、取締役会で報告されましたので、下記のとおりお知らせいたします。
また、当社は同委員会の調査結果を受けて再発防止策を策定しましたので、併せてお知らせいたします。
株主及び取引先の皆様をはじめ関係者の皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたことをあらためてお詫び申し上げます。
当社といたしましては、今後、全役職員が一丸となって再発防止と信頼の回復に努めてまいりますので、何卒ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
記
1. 本件の経緯
ソフトカーム事業部において、売掛金残高確認及び棚卸資産実査の過程、でそれぞれ帳簿価格に対し過大計上であることが発覚し、平成27年4月6日開催の取締役会において報告・確認いたしました。
本調査は、第三者委員会における専門的及び客観的な見地から、今回発生した不適切な会計処理に関する事実の認定、発生原因の究明及び問題点の分析、社内における類似事案の調査並びに再発防止策に関する提言を行うことを目的として実施されました。
2. 本件の概要
(1)不適切な会計処理
ソフトカーム事業部の前営業担当課長であるAが、X社との取引において、受注伝票の不発行、単価訂正のシステムへの未登録、請求書の不発行及び遅延並びに販売管理システム上の入金予定日のジャンプ等により、売り上げを過大計上していました。なお、第三者委員会の調査によれば、関与者はAのみでありました。
(2)当社資産の不正換金
Aがソフトカーム事業部の取引先であるY社において、会社資産である鉛屑、鉛地金及び不良品を買い取らせ、換金後の代金として現金を受け取っていました。なお、第三者委員会の調査によれば、換金に関与した取引先はY社のみで、社内の関与者はAのみでありました。換金額は、合計32百万円(平成22年12月~平成27年3月)であったと推計します。なお、簿外資産及び帳簿上の在庫試算についての管理台帳及び製品台帳の未作成、在庫の月末棚卸の不実行、出荷登録なしの出荷は、内部統制ルール違反であります。
(3)類似案件
第三者委員会の調査によれば、ソフトカーム事業部における他の不正行為の存在、他の事業部における同一ないし同種手口による不正行為の存在、Aによる他の不正行為の存在を疑わせる事情は顕出されませんでした。
(4)その他
第三者委員会によれば、当社内における事案報告のスピード感について指摘がありました。意思決定プロセスの改善については、後述の再発防止策4.(2)及び(5)で真摯に対応いたします。
(5)第三者委員会による調査結果
別紙「調査報告書」のとおりであります。
3.業績に与える影響額について
売掛金の過大計上並びに棚卸資産の過大計上による不適切な会計処理による合計額は159百万円であります。この帳簿上の過大計上分につきましては、平成27年3月期決算において、営業外費用として一括処理しております。この内、当社資産の不正換金額は合計32百万円と推計され、返還請求については、今後、法的措置を含め、対応を検討してまいります。
なお、第三者委員会の総括にもあるとおり、金額的重要度が相対的に僅少であることから、四半期を含む過年度及び当年度の第1四半期から第3四半期の決算修正は行わないことといたします。なお、平成26年度決算の会計監査は現在、継続中であります。
4. 再発防止策
当社は、第三者委員会からの再発防止策に関する提言を真摯に受け止め、再びこのような事態が起きることのないよう以下のとおり実施することでガバナンス機能を強化してまいります。
(1)ソフトカーム事業部の体制改革
①業務フローの全面見直しを行います。
②各業務を複数担当者でカバーできる体制とし、牽制の実効性を高めます。
③今回の不適切経理の発生原因であった在庫の受け払い管理について、全面的に見直しを行います。
④管理システムの使用方法の理解不足が経理処理のエラーにつながった経緯から、管理システムの再教育と必要なフォローアップを実施します。
(2)当社全体の内部統制の見直しと社員教育
①内部統制を実効あるものにするため、内部統制全般に加え、特に今回の事例に関わる領域を強調して、社員全員の再教育を図ります。
②本事例はJ-SOX(当会注:J-SOXは、情報開示の信頼性を確保するために、企業の内部統制の充実を図るべきとの視点から、金融商品取引法等において規定された内部統制整備の制度のこと)の業務プロセス評価の対象外であった事業部で生じた事案であることを踏まえ、J-SOXの評価対象となっていない事業部・子会社での業務フローの再確認と必要な見直しを行います。
(3)内部監査室の組織改革
内部監査室長を専任とします。また、取締役会の監督下、社長へレポートを直接行う形とし、加えて人員の拡充を図ります。
(4)役職員に対するコンプライアンス教育・研修の徹底
社内におけるパワハラが今般事案の主要因であったことから、社内外からの通報に関連する制度等について役職員への教育・研修を徹底します。
(5)取締役会の活性化とガバナンス
取締役職務の執行に遅滞が生じぬよう、取締役全員の意識改革、再教育を含め徹底を図り、各種委員会を含め実効性のあるものとします。
5. 関係者の処分等
(1)関与者の処分
当社では、このたびの不適切な会計処理の発生を厳粛に受け止め、関与者に対して、社内規定に基づき厳正な処分をいたします。
(2)役員賞与並びに関係取締役の報酬返上
今般の事案は、経営全体の責任と重く受け止め、当期の役員賞与は返上することといたします。
さらに、今般事案のガバナンスに特に責任を負う取締役については以下のとおり報酬を返上いたします。
代表取締役社長 減俸10%3か月
取締役執行役員総務本部長 減俸 5%3か月
取締役執行役員管理本部長 減俸 5%3か月
以上
*****【別紙】*****
東邦亜鉛株式会社 御中
調 査 報 告 書
平成27年5月27日
東邦亜鉛株式会社 第三者委員会
委員長 三山裕三
委 員 中島 肇
委 員 東 徹典
目次
Ⅰ 第三者委員会の設置に至る経緯及び目的 (P1)
第1 第三者委員会の設置に至る経緯 (P1)
1 売掛金残高の差異の判明 (P1)
2 棚卸資産の不一致 (P1)
3 社内調査委員会の設置及びプレスリリース (P2)
4 社外の専門家のみで構成される第三者委員会の設置 (P2)
第2 当委員会の目的 (P2)
第3 当委員会の構成 (P3)
Ⅱ 調査対象期間、調査対象事項及び調査方法等 (P3)
第1 調査対象期間 (P3)
1 不適切な会計処理 (P3)
2 当社資産の不正換金 (P3)
3 類似案件の調査 (P4)
第2 調査対象事項 (P4)
1 不適切な会計処理 (P4)
2 当社資産の不正換金 (P5)
3 類似案件の調査 (P6)
第3 調査期間 (P6)
第4 調査方法 (P6)
1 基本方針 (P6)
2 不適切な会計処理に対する調査方法 (P6)
3 当社資産の不正換金に対する調査方法 (P9)
4 類似案件の調査 (P13)
第5 調査に対する制約 (P16)
Ⅲ 調査結果 (P16)
第1 不適切な会計処理 (P16)
1 事実の概要 (P16)
2 原因及び背景事情 (P23)
3 検証 (P29)
4 結論 (P34)
第2 当社資産の不正換金 (P35)
1 事実の概要 (P35)
2 原因及び背景事情 (P46)
3 検証 (P48)
4 結論 (P51)
第3 類似案件の調査結果 (P51)
第4 事前調査後の当社の対応 (P52)
第5 総括 (P54)
Ⅳ 本件に伴う当社の会計処理の修正と過年度決算への影響 (P56)
Ⅴ 再発防止策 (P57)
第1 内部統制システムに関する個別的改善策 (P57)
1 人的要因に対する改善策 (P57)
2 不適切な会計処理の防止策 (P58)
3 当社資産の不正換金の防止策 (P59)
第2 内部統制システムに関する一般的改善策 (P60)
1 予算達成に向けた過度のプレッシャーの解消 (P60)
2 パワハラの防止 (P60)
3 定期的人事ローテーションの実施 (P61)
4 コンプライアンス・マニュアルの周知徹底と企業倫理委員会の充実 (P61)
5 内部通報制度の形骸化解消とその周知 (P62)
6 内部監査室の機能強化 (P63)
Ⅰ 第三者委員会の設置に至る経緯及び目的
第1 第三者委員会の設置に至る経緯
1 売掛金残高の差異の判明
東邦亜鉛株式会社(以下「当社」という)において、監査法人の監査手続である残高確認手続として、平成26年12月末時点の一定金額以上の売掛金について残高確認書を各売上先に発送し、平成27年1月に回収したところ、当社(ソフトカーム事業部)のX社に対する売掛金残高が、X社の当社(ソフトカーム事業部)に対する海崖金残高を152百万円程度上回っていることが判明した。
これを受け、経理部において、当該売掛金残高の差異について調査・確認を進めたところ、平成27年2月20日、ソフトカーム事業部の前営業担当課長であるAが、85百万円程度、適正な会計処理を行っていなかったことを認めた。
2 棚卸資産の不一致
平成27年2月下旬、ソフトカーム事業部における棚卸資産の実際残高が帳簿残高と一致しない可能性が生じたため、同年4月1日、藤岡事業所にて、監査法人及び当社経理部部員等の立会のもと実地棚卸を行ったところ、監査法人から帳簿残高と実際残高との不一致を指摘され、同年3月末時点の棚卸資産の実際残高が帳簿残高と比較して115百万円程度下回ることが判明した。
総務本部長及び管理本部長を中心として当社内部において確認を進めたところ、藤岡事業所からソフトカーム事業部の取引先であるY社へ鉛屑(*)が出荷され、AがY社から現金を受け取っていた疑いが生じた。
さらに、ソフトカーム事業部が鉛板の委託加工のためにY社に預け入れていた鉛地金(電気鉛ともいう)の一部についても、Y社に買い取らせ、AがY社から現金を受け取っていた疑いが生じた。
(*)本報告書において「鉛屑」とは、主にソフトカームの原料となる鉛板を加工する際に発生するミミの切り屑をいう。鉛製品のうち長期保管や移動による劣化、製造方法の変更又は新商品の開発等により商品価値のなくなった滞留在庫については、「不良品」という。
3 社内調査委員会の設置及びプレスリリース
以上のとおり、社内での調査の結果、①Aが関与した取引において、売掛金に関する会計処理が適切になされていなかった疑い(以下「不適切な会計処理」という)及び②Aが当社資産を換金し現金を受け取っていた疑い(以下「当社資産の不正換金」といい、不適切な会計処理とあわせて以下「本件」という。なお、当社資産の不正換金の調査に必要な限度で、棚卸資産の不一致についても適宜調査することとした)がそれぞれ強まったため、平成27年4月13日、当社は、より網羅的な調査を実施するため、社内の役職員に社外の専門家を加えた社内調査委員会を設置し、調査を開始した。
なお、同年同月16日、「当社一事業における不適切な会計処理について」と題する文書を社外に公表し、情報開示を行っている。
4 社外の専門家のみで構成される第三者委員会の設置
社内調査委員会による調査の過程において、監査法人から、社内調査委員の一部の適格性及び当社の隠ぺい体質に対する疑念が呈された。これに鑑み、当社は、当社との間で利害関係を有さない社外の独立した専門家から、事実関係の調査・検証並びに再発防止策の提言を受けることが適切であると判断し、平成27年4月28日、社外の独立した弁護士及び公認会計士から構成される第三者委員会(以下「当委員会」という)の設置を決定した。これにより、社内調査委員会は同日をもって解散した。
第2 当委員会の目的
当委員会の目的は、次のとおりである。
①本件に関する事実関係の調査及び事実認定
②本件尾原因の分析及び検証
③類似案件の調査
④本件による過年度決算への影響の調査
⑤再発防止策の検討
⑥前記①ないし⑤の調査結果を記載した調査報告書の作成
なお、日本弁護士連合会の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下「日弁連ガイドラインという」にも言及されているとおり、当委員会は、関係者の法的責任追及を直接の目的としてはおらず、関係者の法的責任の追及はその任務には含まれていない。
第3 当委員会の構成
1 当委員会の構成は、次のとおりである。
委員長:三山 裕三(三山総合法律事務所 弁護士)
委 員:中島 肇(桐蔭法科大学院教授 弁護士)
委 員:東 徹典(東公認会計士事務所 公認会計士)
なお、三山委員長及び東委員は、社外の専門家として、社内調査委員会による調査の段階から本件の調査に携わっている。
2 当委員会は、田中慎一(三山総合法律事務所 弁護士)を調査補助者に指名して、調査の補助業務に当たらせた。
なお、当委員会の構成は、日弁連ガイドラインに準拠しており、当委員会の委員長、各委員及び調査補助者は、いずれも当社との間で利害関係を有していない。
Ⅱ 調査対象機関、調査対象事項及び調査方法等
第1 調査対象機関
1 不適切な会計処理
前述のとおり、平成27年2月20日、Aが、平成23年3月以降、ソフトカーム事業部のX社に対する売掛金の会計処理を適切に行っていなかったことを認めたが、同年同月以前から不適切な会計処理が行われていた可能性も否定できないため、不適切な会計処理の調査対象期間を平成21年4月から平成26年12月まで拡大した。
2 当社資産の不正換金
社内調査委員会の調査に先立ち、当社資産の流用に関する社外通報を受けてその事実関係を調査するために平成26年11月から12月に行われた社内の事前調査(以下単に「事前調査」という)において、Aが、平成23年3月以降、藤岡事業所にて補完する鉛屑及び当社がY社に預け入れている鉛地金(電気鉛ともいう)の一部を、それぞれY社に買い取らせ、現金を受け取っていたことを認めたが、同年同月以前から当社資産の不正換金が行われていた可能性も否定できないため、当社資産の不正換金の調査対象期間を平成21年4月から平成26年12月まで拡大した。
3 類似案件の調査
平成21年4月1日以降の業務に関し、不適切な会計処理及び当社資産の不正換金に類似する案件(以下単に「類似案件」という)がないかについても調査した。
第2 調査対象事項
1 不適切な会計処理
(1)関与者の特定
Aは関与を認めているが、A以外の関与者の存在も否定できないため、A以外の関与者の有無を調査した。
(2)売掛(買掛)金の計上時期のズレの検証
当社の売掛金残高とX社の買掛金残高の差異が不適切な会計処理に起因するのか、それともその中には一部「期ズレ」が含まれているのかについて調査した。
なお、ここに「期ズレ」とは、いつ売上(仕入)として認識するのかに関し、当社とX社との間で売掛(買掛)金の計上時期がずれることをいう。
(3)X社とソフトカーム事業部の取引方法
不適切な会計処理が行われた原因を解明するため、X社とソフトカーム事業部間で行われていた取引について、受発注の方法、納品及び請求の方法、売掛金計上の方法等の取引の具体的フローを調査した。
(4)入金予定日の不正な変更の有無
当社の販売管理システムに登録されている入金予定日をAが許可なく不正に変更していた疑いが生じたため、それが売掛金の回収遅延の発覚を避けるためであるのか、あるいは別の理由に基づくものなのかの同期の点も含め、入金予定日の変更の有無も調査した。
(5)パワーハラスメントの有無及び程度
平成26年11月頃、パワーハラスメント(以下「パワハラ」という)に関する内部通報を受けてその事実関係を調査するなかでソフトカーム事業部の前事業部長B(以下「B」という)によるパワハラの存在が疑われた。そこで、パワハラによる心理的威圧及び労働時間の絶対的不足も、Aによる不適切な会計処理の原因の一つであるのか調査した。
2 当社資産の不正換金
(1)関与者の特定
事前調査においてAが関与を認め、さらにBのAに対する指示の存在を示唆したが、Bは関与を否認していたため、当社資産の不正換金に関与した者の特定及び関与者間の主従関係の有無を調査した。
(2)換金に関与した取引先の特定
事前調査において、AがY社に対し、当社資産を買い取らせ、売買代金として現金を受け取っていたことを認めた。
そこで、Y社による関与の有無に加え、Y社以外の取引先の関与の有無及びその特定を調査した。
(3)換金された物の特定
事前調査において、藤岡事業所において管理費関する鉛屑及び鉛板の委託加工のためY社に預け入れていた鉛地金の一部がそれぞれ換金されたことが判明した。
そこで、換金された鉛屑及び鉛地金の特定の他、その他に監禁された物の有無及びその特定を調査した。
(4)換金により取得した現金の使途
AがY社から取得した現金を、当社のために使用したのか、あるいは私的目的で費消したのか等の目的如何により、Aの責任が大きく異なるため、換金により得られた現金の使途を調査した。
(5)パワハラの有無及び程度
事前調査において、Aは、換金につきBから明示的ないし黙示的な指示があったと示唆し、BのパワハラのためにBに従わざるを得なかったと述べた。そこで、Bによるパワハラの有無及び程度並びにそれがAによる当社資産の不正換金の原因の一つであるのか調査した。
3 類似案件の調査
社内調査委員会の調査において、他に不正の存在は確認されなかったが、一事業部とはいえ現に不正が発生していること、また不適切な会計処理及び当社資産の不正換金は、他の事業部において発生する可能性もゼロではないことに鑑み、①ソフトカーム事業部における他の不正行為の有無、②他の事業部における同一ないし同種手口による不正行為の有無についても調査し、あわせて③A及びBによる他の不正行為の有無についても調査した。
第3 調査期間
平成27年4月28日~同年5月26日
第4 調査方法
1 基本方針
前述のとおり、本件に関しては、当委員会が設置される前に社内調査委員会が設置され、その調査が先行している。
この点、当社は、東京証券取引所市場第一部に上場しており、平成27年6月26日に、定時株式総会を予定しているが、当委員会において速やかに調査結果をまとめ、再発防止策等の提言を行うことは、投資家をはじめとする当社のステークホルダーの利益に資すると解される。
そこで、当委員会は、調査を特に迅速に行う必要があると判断し、全ての調査対象事項に関し、当委員会において一から調査を行うのではなく、当委員会独自の証憑収集及び調査活動に加え、社内調査委員会において収集した証憑書類及び社内調査委員会において行ったヒヤリング議事録を入手し、それらを第三者の視点で検証し、妥当性の認められるものについては利用する方針とした。
2 不適切な会計処理に対する調査方法
(1)関係者へのヒヤリング
ア 社内調査委員会によるヒヤリング
社内調査委員会において、事前調査において関与を認めているAに加え、ソフトカーム事業部の部員計7名に対し、個別にヒヤリングを行っていたため、当委員会において議事録を取得し、分析を行った。
なお、Aは精神的不調のため、産業医から通常業務の遂行は困難である旨の意見が出され、現在は休務中であるが、産業医の立会のもと、時間制限を設けてヒヤリングを行った。
イ 当委員会によるヒヤリング
社内調査委員会は、事前調査において関与を否定し、平成26年12月に当社を退職しているBに対し、ヒヤリングを行っていなかったため、当委員会においてヒヤリングを行った。また、Aに対し、追加のヒヤリングを行った。
ウ ヒヤリングの実施状況
社内調査委員会及び当委員会において実施したヒヤリングの概要は次のとおりである。
所属 / 役職 / 名 / 実施日 / 場所 / 聴取事項
1 ソフトカーム事業部/前営業担当課長/A/H27.4.20、H27.5.7/東邦亜鉛㈱本社会議室/不適切な会計処理、当社資産の不正換金及び類似案件の有無等
2 ソフトカーム事業部/前事業部長/B/H27.5.1/中島肇法律事務所/同上
3 ソフトカーム事業部/技術担当課長/-/H27.4.15/東邦亜鉛㈱本社会議室/同上
4 ソフトカーム事業部/次長/-/H27.4.15/同上/同上
5 ソフトカーム事業部/営業担当係長1/-/H27.4.15/同上/同上
6 ソフトカーム事業部/営業担当係長2/-/H27.4.15/同上/同上
7 ソフトカーム事業部/営業課係員/-/H27.4.15、H27.5.8/同上/同上
8 ソフトカーム事業部/大阪支店課長/-/H27.4.15/同上/同上
9 藤岡事業所/ソフトカーム担当主任/-/H27.4.22/同上/当社視差の不正換金及び類似案件の有無等
10 藤岡事業所/ソフトカーム担当(パート社員)/-/H27.4.22/同上/同上
11 電子部品事業部/事業部長(藤岡事業所長)/-/H27.4.24/同上/類似案件の有無等
12 電解鉄事業部/プレーティング事業部/事業部長/-/H27.4.24/同上/同上
13 亜鉛・鉛事業本部/事業本部長(取締役)/-/H27.4.24、H27.5.8/同上/類似案件の有無及び事前調査に関し総務本部長から受けた報告の内容等
14 ソフトカーム事業部/事業部長(大阪支店長)/-/H27.4.24/同上/類似案件の有無等
15 環境・リサイクル事業部/事業部長(小名浜製錬所長)/-/H27.4.27/同上/同上
16 機器部品事業部/事業部長(安中製錬所長)/-/H27.4.27/同上/同上
17 資源事業部/事業部長/-/H27.4.27/同上/同上
18 総務本部/総務本部長(取締役)/-/H27.4.28、H27.5.8/同上/事前調査の過程等
19 当社/社長/-/H27.5.8/同上/事前調査に関し総務本部長から受けた報告の内容等
20 新日本有限責任監査法人/会計監査人/-/H27.5.8/同上/不適切な会計処理、当社資産の不正確認及び類似案件の有無等
21 Y社/社長/-/H27.4.15/同社/当社資産の不正換金
(2)証憑書類の精査
経理部に依頼して、当社のX社に対する請求書、X社の買掛金残高確認に関する回答書、支払通知書、出荷指示書、出荷案内書(納品書)等を個々の請求毎に突合し、差異の原因を調査した。
3 当社資産の不正換金に対する調査方法
(1)関係者へのヒヤリング
ア 社内調査委員会によるヒヤリング
社内調査委員会において、事前調査において関与を認めていたA及びY社社長に加え、ソフトカーム事業部の部員計7名及び藤岡事業所のソフトカーム担当2名に対し、個別にヒヤリングを行っていたため、当委員会に置いて護持録を取得し、分析を行った。
Aに対して産業医の立会いのもとにヒヤリングを行ったことについては、前記第4、2(1)アで述べたとおりである。
イ 当委員会によるヒヤリング
Bへのヒヤリング及びAへの追加ヒヤリングを行ったことについては、前記第4、2(1)イで述べたとおりである。
加えて、当社資産の不正換金に関し事前調査を担当した総務本部長のヒヤリングを行い、当社資産の不正換金がハックした平成26年11月から12月の段階で、その内容を誰に、どこまで伝えたのか、監査法人に報告をしなかった理由等に関しヒヤリングを行い、あわせて総務本部長が事前調査を報告した社長及び亜鉛・鉛事業本部長(取締役)のヒヤリングも行った。
ウ ヒヤリングの実施状況
社内調査委員会及び当委員会において実施したヒヤリングの概要は前記一覧表に記載したとおりである。
(2)電子メールの確認
ア 社内調査委員会による調査
電子メールによりソフトカーム事業部から藤岡事業所への鉛屑の出荷指示が行われていたことが判明したため、A及びBのメールアドレスにより送受信された電子メールの調査を試みた。
社内調査委員会は、A及びBの送受信した電子メールについてキーワード検索をかけ、当社資産の不正換金に関する電子メールを探索したが、目ぼしい電子メールを発見することはできず、既に削除されている電子メールについては、削除後5日間(*)を経過しているため復元は困難であった。
(*)この点、当社の電子メールは、個々のPCではなくサーバ内で一括管理(個々の従業員が使用するPC内部に電子メール情報を保存させない仕組み)されており、使用者が電子メールを削除したときは、当該削除電子メールがゴミ箱に一時的に保管され、同削除から2日後に完全に削除される仕組みとなっている。ただし、5日前までの電子メールは、外部の記録媒体に退避されているため、復元することが可能である。
イ 当委員会による調査
当委員会は、調査の範囲を、A及びBの電子メールから、ソフトカーム事業に現在従事し、又は過去に従事していた従業員(ソフトカーム事業部に現在所属し、又は過去に所属していた従業員13名に加え、藤岡事業所に所属するソフトカーム事業担当者1名を含む)の電子メールに広げたうえ、送受信された電子メールについて、キーワード検察を実施し、該当した電子メール計584通を一通ずつ精査したが、本件の真相解明につながる内容や類似案件の存在を疑わせる内容は含まれていなかった。
ウ デジタルフォレンジック業者への復元依頼及び復元結果
(ア)復元依頼
当委員会は、本件に係る事実解明を目的として、当社と利害関係を有しないデジタルフォレンジック業者であるAOSリーガルテック株式会社に依頼し、A及びBの使用していたノートPC内に保存されていた電子メール及びオフィスファイル、並びにサーバPC内に保存されていたソフトカーム事業部員及び担当者10名の電子メールの復元を試みた。なお、時間的制約から、サーバPC内の電子メールの復元対象者を前記14名のうち10名に限定したが、対象者として4名は本件及び類似案件との関連性が低いうえ、当該4名のA、B及び前記10名に対する送信メールは、同人らの受信メールとして復元対象に含まれるため、調査への影響はないものと判断した。
(イ)復元結果
復元できた電子メール及びオフィスファイルは、次のとおりである。
①AのノートPC
Word:82ファイル
Excel: 767ファイル
電子メール:復元不可
②BのノートPC
Word:805ファイル(内19ファイルは閲覧不可)
Excel:1,330ファイル
PowerPoint:5ファイル
電子メール:復元不可
③サーバPC
電子メール:56,221ファイル
ただし、前記③の電子メールのうち56,042ファイルは、削除済みのファイルではなく(通常ファイル)、前記第4、3(2)イの調査対象に含まれているため、新たに調査すべき電子メールは179ファイルである。
(ウ)当委員会による追加調査
前記復元結果を受け、当委員会は、前記①ないし③のWord、Excel及びPowerPointの各ファイル並びに電子メール179ファイルを新たに調査したが、本件の真相解明につながる内容や類似案件の存在を疑わせる内容は含まれていなかった。
(3)証憑書類の精査
前記第4、3(2)の電子メールの他、主に次の証憑書類を精査した。
①Y社からの現金受け渡し実績について
事前調査の過程でAが平成26年12月1日付けで作成した報告書であり、Y社から現金を受け取った年月日、内容、金額及び上司指示の有・無が記載されている。
②確認書
事前調査の過程でY社社長が平成26年12月12日付けで作成した確認書であり(同年同月18日付け
③報告書
パワハラに関する社内調査の過程でAおよびソフトカーム事業部員が各作成した報告書であり、Bによる言動の具体的内容等が記載されている。
④製品実棚卸記入用紙(実地棚卸結果を記載した一覧表)
平成27年4月1日、藤岡事業所にて、監査法人、当社経理部員等の立会いのもと実地棚卸を行った際の結果を記載した一覧表である。
⑤メモ
Y社社長が、換金した鉛屑及び鉛地金のそれぞれの金額及び数量を手書きし、現金とともにAに渡した紙片である。なお、前記現金からは手数料として15%が控除される旨が付記されているが、ごく一部の換金についてしかメモは残されていない。
⑥領収書
Aが自らの机の中に保管していた飲食代等の領収書である。
⑦出荷案内書(納品書)
鉛屑を藤岡事業所からY社へ出荷する際に、藤岡事業所において手書きで作成しているもので、荷受人、品名、数量等が記載され、納品書と対になっている。
⑧鉛板委託加工明細書
鉛や鉛屑等に関し、受人月日、品名、重量、消耗量、製品出荷量、月末鉛残等をY社が記載し、当社宛てに発行したものである。
⑨委託加工(外注)調査結果一覧表
当社の各事業部(環境・リサイクル事業部を除く)毎の委託先(外注)に対し、不正がないかを調査するための照会に対する回答結果である。
⑩換金性のある当社資産調査結果一覧表
当社の各事業所毎の換金性のある資産の管理について、不正転売がないかを調査した結果である。
(4)確認書に関する補足説明
前記確認書は、Y社が、(i)当社の鉛屑及び鉛地金の一部を買取り、その代金として現金をAに手渡していたこと、(ii)当社側の担当者がAであったことを認め、(iii)一連の不正換金の事実(納品日、数量及び単価等)を確認することを内容とする文書である。
前記(副については、出荷案内書及びY社側で保管していた納品書(発行された納品書の一部である)から納品日及び数量を類推し、Y社社長が作成したメモ(紙片)から単価をそれぞれ抜粋し、不足する取引に関しては適宜類推する等して、Y社との取引を再現したものである。
4 類似案件の調査
(1)ヒヤリング
ア 社内調査委員会によるヒヤリング
社内調査委員会が、A、ソフトカーム事業部員訃7名、藤岡事業所のソフトカーム担当2名及び事業部長計7名に対し、個別にヒヤリングを行っていたため、当委員会において議事録を取得し、分析を行った。
イ 当委員会によるヒヤリング
当委員会は、A及びBに対し、ヒヤリング(Aについては追加)を行った。
ウ ヒヤリングの実施状況
社内調査委員会及び当委員会において実施したヒヤリングの概要は、前記一覧表に記載したとおりである。
(2)アンケート
ア 当社役職員等に対するアンケート
社内調査委員会は、平成27年4月22日、当社役職員等を対象にアンケートを実施した。その概要は次のとおりである。
①回答期限:平成27年4月24日
②対象者:次の合計172名
・国内連結子会社の課長職以上の幹部社員
・ソフトカーム事業に従事する全社員(藤岡事業所勤務者及びパート社員を含む)
・本社、大阪支店又は名古屋支店に各勤務する係長職以上の非基幹職
・海外連結子会社であるCBH Resources Ltd.(以下「CBH」という)の幹部社員
③回答方法:記名式の回答用紙に記人する方法による。
④質問事項:
Q1:あなたは、当社の資産(簿外品を含む)を不正に転売したことがありますか?
Q2:あなたは、他の役員・社員が上記Q1のようなことを行っていると見聞きしたことがありますか?又、あなたは、他の役員・社員に上記Q1のようなことを指示された、或いは指示されているのを見聞きしたことがありますか?
Q3:あなたは、許可なくシステム上の登録データ(期日・金額等)の不正な変更を行ったことがありますか?
Q4:あなたは、他の役員・社員が上記Q3のようなことを行っていると見聞きしたことがありますか?又、あなたは、他の役員・社員に上記Q3のようなことを指示された、或いは指示されているのを見聞きしたことがありますか?
Q5:あなたは、取引先への過剰な接待に参加したことがありますか?
Q6:あなたは、他の役員・社員が上記Q5のようなことを行っていると見聞きしたことがありますか?又、あなたは、他の役員・社員に上記Q5のようなことを指示された、或いは指示されているのを見聞きしたことがありますか?
イ 取引先に対するアンケート
社内調査委員会は、平成27年4月22日、取引先各社に対し、アンケート調査を実施した。その概要は次のとおりである。
①回答期限:平成27年4月24日
②対象者:次の合計4社
・ソフトカーム事業部との間で継続的取引関係のある下請生産業者 1社(Y社)
・ソフトカーム事業部との間で継続的取引関係のある下請物流業者 計3社
③回答方法:記名式の回答用紙に記入する方法による。
④質問事項:
Q:平成21年4月1日から現在までに、貴社が当社の役職員に依頼した業務のうち、当社の役職員が当社を通さずに業務を遂行したと思われる案件につき、当社の役職者名義の取引口座に振り込み、又は、現金を直接受け渡していたことはありますか?
ウ 簿外品の管理等に関するアンケート
当社は、簿外品が発生し得る製錬所、事業部及び連結子会社を対象に簿外品の発生、管理方法、除却手続及び売却手続等に関するアンケートを実施し、平成27年5月7日もしくは8日に回答書を受領した。
その概要は、次のとおりである。
①対象者:次のとおりである。
亜鉛・鉛事業本部(安中製錬所、契島製錬所、小名浜製錬所)
環境・リサイクル事業部(小名浜製錬所)
電子部品事業部(藤岡事業所)
プレーティング事業部(藤岡事業所)
ソフトカーム事業部
機器部品事業部
株式会社ティーディーイー
安中運輸株式会社
契島運輸株式会社
東邦キャリア株式会社
株式会社中国環境分析センター
CBH
②回答方法:記名式の回答用紙に記入する方法による。
第5 調査に対する制約
当委員会の調査は、日弁連ガイドラインに準拠しているが、第三者委員会による調査の性格に照らし、自ずから次の制約がある。
①当委員会による調査は、捜査機関による強制力を伴う調査とは異なり、関係者の自発的かつ任意の協力に基づくものであり、調査の正確性及び詳細度は、関係者の協力の程度に影響を受ける。
②当委員会による調査は、当委員会の目的を達成する範囲内で行ったものであり、当社が抱える法務・会計・税務・人事上のあらゆる問題点を網羅的に調査するものではない。
③当委員会による調査は、前記調査期間という限られた期間内に前記人員によって実施されたものであり、調査の範囲及び深度は、当委員会の有する時間的及び人的資源の制約に服する。
④当委員会による調査は、調査の過程で書面又は口頭により得られた情報が正確であることを前提としており、かかる前提に反することを示す特段の事情がない限り、かかる前提の真偽の調査は行っていない。
【ひらく会情報部・この項続く】