■東電グループの関電工を事業主体とする前橋バイオマス発電施設は、群馬県が定めた環境アセスメントを行わないまま、昨年末迄に事実上竣工し、本年2月から本格運転が開始され、4月24日には行政関係者を招いて完成披露式=開所式まで開かれてしまいました。この暴挙を食い止めようと、当会は地元住民団体とともに、発電施設に隣接する木質チップ製造の施設に対する補助金交付の「差止」もしくは「処分の取消」を求める訴訟を2016年7月15日に提起しました。それから早くも2年3カ月が経過した10月26日(金)午前10時30分から前橋地裁3階の31号ラウンド法廷で第11回弁論準備が開始されることになりました。
↑前橋バイオマス発電補助金返還のための第11回弁論準備が開かれた10月26日前橋地裁。↑
当日は午前8時40分ごろ高崎市役所環境部を訪問後、午前9時30分ごろ県庁2階県民センターを訪れ、用事を済ませた後、午前10時過ぎに前橋地裁に移動しました。
いつものように1階ロビーの開廷表をチェックしたところ、この日は午前中10時から2件の事件の弁論が行われるのみでした。
*****前橋地裁開廷表*****
第21号法廷(本館2階)開廷表
平成30年10 月25日 金曜日
●開始/終了/予定 10:00/10:10/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(ワ)第614号/損害賠償請求事件
○当事者 井上早苗/関東西濃運輸株式会社
○代理人 吉野晶 /采女英幸
○担当 民事第2部合議係
裁判長 菅家忠行
裁判官 吉田達二
裁判官 金澤康
書記官 清宮貴幸
●開始/終了/予定 10:00/10:10/弁論
○事件番号/事件名 平成30年(行ウ)第3号/売却決定取消等請求事件
○当事者 佐田土地開発株式会社/前橋市
○代理人 渡那部博 /関夕三郎
○担当 民事第2部合議係
裁判長 菅家忠行
裁判官 吉田達二
裁判官 金澤康
書記官 清宮貴幸
**********
当会が群馬県を相手取り係争中の事件は、今回が実に11回目の弁論準備となります。弁論準備は非公開のため、開廷表には掲載されません。
■午前10時10分に原告2名が揃い、10時20分に3階に上がって、エレベーター前のロビー中央に置いてあるテーブルについて待機していると、まもなく被告群馬県の訴訟代理人の石原栄一、織田直樹、安カ川美貴弁護士ら3名と、群馬県の指定代理人の職員として、環境森林部林業振興課の板垣哲夫・次長(事務職)、同課県産木材振興係の生方宏久・係長(技術職)、同係の武藤淳・副主幹(技術職)、北群馬渋川振興局渋川森林事務所の浅見淳・次長(技術職)、同所林業緑化係林業緑化係長の石井米吉・補佐(技術職)の5名の総勢8名がやってきました。
訴訟代理人の関夕三郎弁護士は、10時から21号法廷で開かれている行政訴訟の被告前橋市の訴訟代理人として出廷しているため欠席でした。また県職員で林業振興課の笛木元之・次長(技術職)も欠席しました。
10時30分が迫り、森山書記官の案内でいつもの31号法廷(ラウンド法廷)に入り、判事が来るまで20分余り待機しました。割合広めの会議室といった風情のラウンド法廷も、原告2名+被告8名の計10名が入ると、ランドテーブルには座り切れません。県職員2名は後ろにある椅子に着席しました。
裁判官3名の椅子を挟んで、雑談をしながら時間を過ごしていたところ、まもなく渡邉和義・裁判長が陪席の高橋浩美・裁判官と浅川浩輝・裁判官を従えて入室してきました。
■さっそく弁論準備が開始されました。裁判長は、被告から第8準備書面、それに原告から証拠申出書が、被告から証拠意見書が提出されたことについて言及があり、原告と被告それぞれが「陳述します」と言って、弁論が交わされたことになりました。
※被告第8準備書面:PDF ⇒ 20181007078ihj.pdf
※原告証拠申出書:PDF ⇒ oioowj20180929.pdf
※被告証拠意見書:PDF ⇒ 20181019.pdf
その後、裁判長は、証人として聞いてみたい人物として、唐澤素子証人と福本雅邦証人の2名を挙げました。唐澤素子証人には、「被告の環境アセスメントの作成経過」について、福本雅邦証人には、「関電工として発電と燃料との関係性等」について、尋問を希望したいとのことです。
一方、残りの3名(被告側の補助金支出担当者である石井米吉証人、桑原光二証人、およびトーセン社長の東泉清壽証人については、「尋問の必要度がそれほどあるのかやや疑問」として、尋問対象から外したい意向が示されました。
裁判長は原告に向かって「これについてどう思うか」と質問してきたので、「裁判長の判断であれば仕方がありません」と感想を述べたところ、裁判長曰く「ほかの3名の尋問申出について却下したわけではなく、最初の2名の尋問次第で、必要性があれば再考するつもりである」ことを表明しました。
原告としては、裁判長が県職員の唐澤素子・主幹(当時・環境政策課所属、現在・県立女子大事務課出向派遣中)と関電工の戦略事業本部環境エネルギー発電事業部の福本雅邦・部長の2名を優先的に証人尋問の対象者として選んでいただいたことについて、「まったく異存ありません」と述べました。
一方、被告群馬県側は、裁判長のこの提案にかなり動揺した様子でした。ほっとした表情を浮かべていたのは、後ろの椅子に着席していた石井米吉・補佐だけでした。裁判長が被告に向かって「原告としては敵性証人となることから、被告が主尋問を採ることになるが、そのために陳述書を用意してもらわないといけない。どのくらい陳述書の作成に時間が必要か」と尋ねた際、被告側はしばし言葉を失って沈黙が続いたからです。
裁判長は「1か月あるいは1カ月半程度か」と水を向けましたが、被告群馬県の職員らは誰も提案をする気配がありません。訴訟代理人弁護士が見かねて、「来年初めくらいかな・・」というと、裁判長は、「年末でもあと丸まる2か月もある。特に急がせるわけではないが、ある程度期間を提示しないと、得てして長期間を希望されることが多いので1か月程度かなと申し上げた」として「では、来年1月11日(金)ではどうか」と提案が出されると、被告側は顔を見合わせながら、「もう少し時間がほしい」として、結局1月18日(金)午前中までに陳述書を提出することで、渋々同意しました。
そのため、結果的に次回第12回弁論準備は1月30日(水)10時30分と決まりました。
■次回弁論準備までに、必要な手続きが進めば、早ければ今年度内に証人尋問が実現するかもしれません。
原告住民側としては、次回までにとくに裁判資料を作成する必要性はありませんが、できる限り、証人尋問を見据えて、反対尋問をする際に役立ちそうな、いろいろな情報を収集し整理しておきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「前橋バイオマス発電・燃料を巡る出来事の時系列表」
**********
日付/補助金交付決定の経緯
●H25年08月01日/那珂川バイオマス発電所建設開始(トーセンと関電工)。
〇H26年02月28日/株式会社松井田バイオマス設立(発電+チップ)。
〇H26年02月/知事査定で2億円の補正予算。
〇H26年04月01日/群馬県計画段階環境配慮実施要綱が施行されず。【注:闇に葬られた。】
群馬県素材生産流通協同組合バイオマス燃料供給センターが稼働。
〇H26年06月17日/松井田バイオマスの今後の対応についての被告群馬県とトーセンが面談を行い、トーセンは松井田バイオマスの開発を断念し、他を模索する。
〇H26年07月/トーセンが松井田バイオマスを断念した半月後には、関電工が、電中研を視察している。
〇H26年07月10日/被告群馬県が各都道府県・関係市に県境影響評価条例における木質バイオマス発電所建設事業の対象要件等について照会を実施。
【注:アンケート結果からも分かるとおり、全国どこにも木質バイオマスの合水率を考慮している自治体は皆無である。また、排ガス量の判断基準も、事業者自らが判断するなどという自治体も皆無である。しかし、被告は、前橋バイオマス発電(株)等を救うために、条例の解釈を捻じ曲げ、義務ではないと開き直っている。】
〇H26年09月/トーセンが松井田バイオマスを断念した二か月後には、関電工とトーセンが共同で電中研を視察している。
〇H26年10月01日/那阿川バイオマス発電売電開始。
〇H26年10月/関電工とトーセンが電中研を視察し、まもなく両者は、群馬県森林組合に挨拶に行っている。
〇H26年10月02日/関電工とトーセンが群馬県森林組合に挨拶に行った直後には、トーセンは、木質バイオマス燃料安定供給協定書締結を精力的に行っている。
①県産材加工組合と前橋バイオマス燃料が木質バイオマス燃料安定供給協定書を締結(製材端材30,000t)。
②トーセンと前橋バイオマス木質バイオマス燃料安定供給協定書締結(間伐材50,000t、製材端材30,000t)。いずれも社長が同一人物である。
【注:会社法人が別でも代表者が同一である場合、直接取引は利益相反行為にあたる。即ち民法上の双方代理の禁止である(民108)。ただし民事上は無権代理行為となるが、商法上は特則があり、取締役会設置会社なら取締役会の承認、非設置会社なら株主総会の承認により有効となる。】
↑↓【注:本来あるべき手続きの順序が前後!関電工ら事業者のルール軽視が窺える】
〇H26年10月30日/松井田バイオマスは、株式会社前橋バイオマスに名称変更(発電+チップ)
●H27年01月/①前橋市と調整開始。②群馬県と環境アセス協議開始と記載(7月10日提出文書より)。
●H27年02月/関電工らが前橋市長を表敬訪問。
●H27年03月/関電工が、県環境政策課より「アセスの対象とならない」ことを確認したと記載(7月10日提出文書)。この結果、関電工にとってアセス問題解決。【注:関電工の思惑その1「アセスを実施しない」を目出度くクリア】
●H27年03月31日/被告が「未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする」とする群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適応に関する運用を制定。【注:上記のこの文書が、平成27年3月31日に決済されたものなのか、はなはだ疑わしい。それは、電子データで公開された文書を解析すると、印刷日は、作成された日になっているが、作成日は、平成28年10月27日及び平成28年11月4日になっている。これは、明らかに、印刷日を作成されたとされる日に偽造したとしか考えられない。明らかに、人が後から手を加えていることははっきりしている。また、被告県は、別表第1を改定したと言っているが、平成29年1月15日現在でも別表にその運用は追記されていない。この運用の決裁は、どこにも公開されることなく、群馬県パイオマス活用推進委員、群馬県環境影響評価技術審査会、群馬県環境審議会の委員は誰一人も知らない運用であり、作成部署は、そのままロッカーに保管している。つまり、関電工の付度に応える文書なのでお役御免ということである。また、この文書は、公印や施行日の印は押されていないため、公文書とは言えない文書である。】
●H27年04月27日/土地誌渡に関する同意書(電中研と関電工)。
●H27年06月22日/前橋バイオマス発電株式会社設立(東泉社長が役員に)。
●H27年07月10日/(株)関電工及び(株)トーセンが被告に前橋バイオマス発電所及びチップ製造施設の概要等関する資料を提出。この提出された資料には、事業者は、H27年1月に環境アセスの実施について被告群馬県と協議を開始し、3月には、環境政策課から非該当との回答を得たと記載されている。【注:時期を同じくして、トーセンは日光のチッププレスセンター計画を断念!?→※脱水機は前橋で流用か?】
●H27年07月22日/前橋バイオマス発電定款作成(発電の他、チップへの加工業も記載)。
●H27年07月30日/(株)関電工が被告に手続き状況を具体的に説明し、その中で前橋バイオマス発電所は環境アセスメント対象事業非該当であることも説明。【注:被告群馬県は、この時点でアセスメントを実施しないことを知ったようなフリをしているが、原告羽鳥とのメールのやり取りの際には、平成27年4月に排ガス量を知ったと回答している。また、上記のこの説明の際には、関電工は「非該当」と発言しているが、これは事業者としての自らの判断ではなく、「排ガス量は4万㎥以下だから群馬県環境影響評価条例のアセスメントの実施規模以下である」と堂々と主張したのだ。つまり、関電工は、被告群馬県が平成27年3月31日に作成したとされる木質バイオマスの排ガス量の運用を奇貨として、環境アセスメントの実施からの逃れる格好を被告と作り上げたのである。】
●H27年08月11日/関電工が住民の質問に文書で回答した際に、「環境政策課より環境アセスメントの対象外との見解をもらう」と記載。
●H27年09月初旬/知事査定で4億8000万円の補正予算決まる。
●H27年09月03日/冷却用水確保のための井戸の試掘調査依頼書を被告群馬県が関電工から受理。【注:その結果は?】
●H27年09月14日/被告が県議会へ、前橋バイオマス燃料(株)のチップ製造施設に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業4億8千万円(基金4億円、県費8千万円)を含む補正予算案を提出。
●H27年09月28日/前橋バイオマス→前橋バイオマス燃料株式会社へと社名を変更。役員に関電工の石塚浩基、八木原勇治森林組合会長、内山右之助開発事業部長が追加登記。
●H27年09月29日/前橋市宅地開発指導要綱に基づく事前協議に関する覚書における指示事項で、前橋市環境政策課の指示は、騒音規制のない区域に、住民との相談なしに、「第二種区域と同等の対策を講じること」と勝手に判断してしまい、その半年後に、「前橋バイオマス燃料及び前橋バイオマス発電から発生する騒音は、第二種区域にする」という条例をつくり、事業者を保護してしまった。また、前橋市政策推進課は、関電工に対して「環境影響評価の対象外となっているが先進地を見習い実施するよう検討すること」と指導しているが、「(被告の)群馬県より、環境アセスメン卜の対象外ということを何度も確認した」と発言している。
●H27年10月02日/平成27年9月29日に前橋市に騒音問題を考慮してもらった事業者は、その4日後には、前橋市に早くも開発許可申請をした。【注:まさに出来レースそのものである。その結果、関電工の思惑その2「騒音は第二種区域より低くにはできない」を目出度くリア】
平成27年10月03日/関電工による第一回地元説明会開催で、資料配布。この中で、チッププレス機の存在に触れず、住民に知らせずに隠した。
●H27年10月07日/県議会において前橋バイオマス燃料(株)のチップ製造施設に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業4億8千万円(基金4億円、県費8千万円)の予算が可決成立。
●H27年10月19日/群馬県が関電工らに開発許可を出す。
●H27年10月20日/前橋市が前橋バイオマス燃料(株)及び前橋バイオマス燃料(株)に対し環境配慮計画の提出を要請。
●H27年10月21日/前橋バイオマス燃料(株)が被告に森林整備加速化・林業再生基金事業計画を提出。【注:森林整備加速化・林業再生事業実施要綱の第1(趣旨)において、森林整備加速化・林業再生事業費補助金及び森林整備加速化・林業再生整備費補助金を都道府県に交付して、森林整備加速化・林業再生基金を造成し、この基金を財源として事業実施主体が行う事業を実施することにより、東日本大震災からの復興を着実に推進するとともに、森林の多面的機能を発揮しつつ林業の成長産業化を実現することとする。と記されているが、前橋バイオマス燃料(株)の事業は、東日本大震災からの復興には全く影響しないことから、補助金の支給は、この基金の趣旨から逸脱している。】
●H27年11月13日/トーセンが山形県の鶴岡バイオマス発電の売電を開始。
●H27年12月20日/関電工による第二回地元説明会開催で、資料配布。この中で、チッププレス機の存住を始めて関電工が住民に唐突に説明。
〇H28年03月27日/関電工による第三回地元説明会開始で、資料配布。
〇H28年03月31日/原告小川が県庁を訪問し環境政策課の唐澤素子と遠藤次長に環境アセス適用についてヒヤリング。県は「排ガス量規制適用に係る文書は無い」と説明。原告小川はその後、真偽確認のため公文書開示請求。
〇H28年04月01日/前橋市がパブリックコメントを得て(2月)、事業実施予定地を含むエリアを第二種区域として騒音規制実施。
〇H28年05月07日/原告小川の開示請求に対して被告県が「文書不存在」決定通知。
〇H28年05月18日/前橋バイオマス発電(株)と前橋バイオマス燃料(株)が前橋市長に「前橋バイオマス発電施設に関る環境配慮計画」を提出。【注:被告群馬県は、平成24年4月1日より、環境評価法の改正により群馬県計画段階環境配慮実施要綱を施行しようとパブリックコメントまで実施したが、都合が悪くなったのか、知らないうちに施行を引っ込めてしまった。この要綱が、実施されていれば、前橋バイオマス発電(株)は、事業開始のかなり前から、計画的な環境配慮計画を自治体や地域住民との間で図っていたはずである。しかし、前橋市も被告群馬県も、自分たちの義務を放棄し、ただ単に事業者に環境配慮計画をつくらせたという事実だけで、その中身については全く議論も指導もなく、そのまま鵜呑みにしている。さらに、付け加えるならば、管理基準値の殆どは原子力発電所の基準値であり、それを木質バイオマス発電に当てはめてしまうという掟破りの極めて乱暴な策である。そして、原発でも許されていない、放射能を高濃度に含む木質チップをプレス脱水した廃液等を放射能除去処理もせずに、そのまま地下に浸透してしまう事業者の計画を、被告群馬県は事業者の村度を受け、コメントを全く付さないまま見過ごしてしまった。】
〇H28年05月25日/被告群馬県が前橋市より「前橋バイオマス環境配慮計画」を受領。【注:前橋市も何もコメントを付さないまま、群馬県に事業者の環境配慮計画を渡した。】
〇H28年06月17日/被告が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金交付予定額を内報。
〇H28年06月20日/前橋バイオマス燃料(株)が被告群馬県に実施計画書を提出。チッププレス機の見積もり。
〇H28年6月27日/被告が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金予定額を内示。
〇H28年06月28日/前橋バイオマス燃料(株)が被告に補助金交付申請書の提出。
〇H28年07月04日/被告群馬県による本件補助金の交付決定。
〇H28年07月05日/前橋バイオマス燃料(株)、川重商事、トーセンの間で、チッププレス機等の売買契約書を取り交わす。契約者は、買主(甲)前橋バイオマス燃料株式会社代表取締役東泉清嘉、売主(乙)川重商事株式会社執行役員小縣郁夫、甲連帯保証人(丙)株式会社トーセン代表取締役東泉清壽。【注:甲と丙、いずれも社長が同一人物である。会社法人が別でも代表者が同一である場合、直接取引は利益相反行為にあたる。即ち、民法上の双方代理の禁止である(民108)。ただし民事上は無権代理行為となるが商法上は特則があり、取締役会設置会社なら取締役会の承認、日設置会社なら株式総会の承認により有効となる。】
〇H28年08月16日/被告群馬県が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金概算払請求額2憶2230万円を支出。
〇H28年08月25日/チッププレス機の支払い①250,000,000円が行われる。
〇H28年08月26日/被告群馬県が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金概算払請求額1,620万円を支出。
〇H28年09月24日/地元住民らによる関電工との交渉。
〇H28年10月04日/唐澤素子に係る文書公開が決定。
〇H28年10月18日/唐澤素子に係る文書公開決定を知った原告小川が「不存在のはずではなかったのか」と真偽を確認すべく県庁を訪れた。納得できる説明がない為、原告小川はその後審査請求を行い、棄却されたため、住民訴訟を提起した(一審、二審とも敗訴し確定)。
〇H28年10月27日/唐澤文書作成①「未利用木質バイオマス運用」
〇H28年10月28日/唐澤文書の電子版の公開が決定。
〇H28年11月04日/唐澤文書作成②「運用起案説明(1)」
●H29年05月19日/前橋バイオマス燃料(株)による補助対象事業が完了。チッププレス機が納品される。
●H29年05月22日/前橋バイオマス燃料(株)が被告群馬県に補助事業実績報告書を提出。
●H29年05月24日/被告群馬県が補助事業の完了確認を実施し、補助金額を4億8000万円と確定。【注:開示された被告群馬県の検査報告書で、チッププレス機に使用されている写真は、検査時の写真ではなく、虚偽の報告写真である。理由①5月に検査を行っているのに、ジャンパーを着用していること。②浄化槽が平成29年12月22日に至っても未完成のため、脱水排液が流せなく、チッププレス機は作動させることができない状態であるにもかかわらず、プレス作業をしている写真が使用されている。
●H29年5月31日/被告が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金未払分の2億4150万円を支出。
●H29年6月上旬/被告群馬県がホームページで、環境アセスメント条例において、「未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする」とする特例を群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適応に関する運用としてはじめて掲載。【注:このときはじめて公表したのだから、この時点より以前に申請されたバイオマス発電工場は、この特例が適用されないはずだから、環境アセスをやらないまま稼働している前橋バイオマス発電所(燃料工場併設)は条例違反である。】
**********
↑前橋バイオマス発電補助金返還のための第11回弁論準備が開かれた10月26日前橋地裁。↑
当日は午前8時40分ごろ高崎市役所環境部を訪問後、午前9時30分ごろ県庁2階県民センターを訪れ、用事を済ませた後、午前10時過ぎに前橋地裁に移動しました。
いつものように1階ロビーの開廷表をチェックしたところ、この日は午前中10時から2件の事件の弁論が行われるのみでした。
*****前橋地裁開廷表*****
第21号法廷(本館2階)開廷表
平成30年10 月25日 金曜日
●開始/終了/予定 10:00/10:10/弁論
○事件番号/事件名 平成29年(ワ)第614号/損害賠償請求事件
○当事者 井上早苗/関東西濃運輸株式会社
○代理人 吉野晶 /采女英幸
○担当 民事第2部合議係
裁判長 菅家忠行
裁判官 吉田達二
裁判官 金澤康
書記官 清宮貴幸
●開始/終了/予定 10:00/10:10/弁論
○事件番号/事件名 平成30年(行ウ)第3号/売却決定取消等請求事件
○当事者 佐田土地開発株式会社/前橋市
○代理人 渡那部博 /関夕三郎
○担当 民事第2部合議係
裁判長 菅家忠行
裁判官 吉田達二
裁判官 金澤康
書記官 清宮貴幸
**********
当会が群馬県を相手取り係争中の事件は、今回が実に11回目の弁論準備となります。弁論準備は非公開のため、開廷表には掲載されません。
■午前10時10分に原告2名が揃い、10時20分に3階に上がって、エレベーター前のロビー中央に置いてあるテーブルについて待機していると、まもなく被告群馬県の訴訟代理人の石原栄一、織田直樹、安カ川美貴弁護士ら3名と、群馬県の指定代理人の職員として、環境森林部林業振興課の板垣哲夫・次長(事務職)、同課県産木材振興係の生方宏久・係長(技術職)、同係の武藤淳・副主幹(技術職)、北群馬渋川振興局渋川森林事務所の浅見淳・次長(技術職)、同所林業緑化係林業緑化係長の石井米吉・補佐(技術職)の5名の総勢8名がやってきました。
訴訟代理人の関夕三郎弁護士は、10時から21号法廷で開かれている行政訴訟の被告前橋市の訴訟代理人として出廷しているため欠席でした。また県職員で林業振興課の笛木元之・次長(技術職)も欠席しました。
10時30分が迫り、森山書記官の案内でいつもの31号法廷(ラウンド法廷)に入り、判事が来るまで20分余り待機しました。割合広めの会議室といった風情のラウンド法廷も、原告2名+被告8名の計10名が入ると、ランドテーブルには座り切れません。県職員2名は後ろにある椅子に着席しました。
裁判官3名の椅子を挟んで、雑談をしながら時間を過ごしていたところ、まもなく渡邉和義・裁判長が陪席の高橋浩美・裁判官と浅川浩輝・裁判官を従えて入室してきました。
■さっそく弁論準備が開始されました。裁判長は、被告から第8準備書面、それに原告から証拠申出書が、被告から証拠意見書が提出されたことについて言及があり、原告と被告それぞれが「陳述します」と言って、弁論が交わされたことになりました。
※被告第8準備書面:PDF ⇒ 20181007078ihj.pdf
※原告証拠申出書:PDF ⇒ oioowj20180929.pdf
※被告証拠意見書:PDF ⇒ 20181019.pdf
その後、裁判長は、証人として聞いてみたい人物として、唐澤素子証人と福本雅邦証人の2名を挙げました。唐澤素子証人には、「被告の環境アセスメントの作成経過」について、福本雅邦証人には、「関電工として発電と燃料との関係性等」について、尋問を希望したいとのことです。
一方、残りの3名(被告側の補助金支出担当者である石井米吉証人、桑原光二証人、およびトーセン社長の東泉清壽証人については、「尋問の必要度がそれほどあるのかやや疑問」として、尋問対象から外したい意向が示されました。
裁判長は原告に向かって「これについてどう思うか」と質問してきたので、「裁判長の判断であれば仕方がありません」と感想を述べたところ、裁判長曰く「ほかの3名の尋問申出について却下したわけではなく、最初の2名の尋問次第で、必要性があれば再考するつもりである」ことを表明しました。
原告としては、裁判長が県職員の唐澤素子・主幹(当時・環境政策課所属、現在・県立女子大事務課出向派遣中)と関電工の戦略事業本部環境エネルギー発電事業部の福本雅邦・部長の2名を優先的に証人尋問の対象者として選んでいただいたことについて、「まったく異存ありません」と述べました。
一方、被告群馬県側は、裁判長のこの提案にかなり動揺した様子でした。ほっとした表情を浮かべていたのは、後ろの椅子に着席していた石井米吉・補佐だけでした。裁判長が被告に向かって「原告としては敵性証人となることから、被告が主尋問を採ることになるが、そのために陳述書を用意してもらわないといけない。どのくらい陳述書の作成に時間が必要か」と尋ねた際、被告側はしばし言葉を失って沈黙が続いたからです。
裁判長は「1か月あるいは1カ月半程度か」と水を向けましたが、被告群馬県の職員らは誰も提案をする気配がありません。訴訟代理人弁護士が見かねて、「来年初めくらいかな・・」というと、裁判長は、「年末でもあと丸まる2か月もある。特に急がせるわけではないが、ある程度期間を提示しないと、得てして長期間を希望されることが多いので1か月程度かなと申し上げた」として「では、来年1月11日(金)ではどうか」と提案が出されると、被告側は顔を見合わせながら、「もう少し時間がほしい」として、結局1月18日(金)午前中までに陳述書を提出することで、渋々同意しました。
そのため、結果的に次回第12回弁論準備は1月30日(水)10時30分と決まりました。
■次回弁論準備までに、必要な手続きが進めば、早ければ今年度内に証人尋問が実現するかもしれません。
原告住民側としては、次回までにとくに裁判資料を作成する必要性はありませんが、できる限り、証人尋問を見据えて、反対尋問をする際に役立ちそうな、いろいろな情報を収集し整理しておきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「前橋バイオマス発電・燃料を巡る出来事の時系列表」
**********
日付/補助金交付決定の経緯
●H25年08月01日/那珂川バイオマス発電所建設開始(トーセンと関電工)。
〇H26年02月28日/株式会社松井田バイオマス設立(発電+チップ)。
〇H26年02月/知事査定で2億円の補正予算。
〇H26年04月01日/群馬県計画段階環境配慮実施要綱が施行されず。【注:闇に葬られた。】
群馬県素材生産流通協同組合バイオマス燃料供給センターが稼働。
〇H26年06月17日/松井田バイオマスの今後の対応についての被告群馬県とトーセンが面談を行い、トーセンは松井田バイオマスの開発を断念し、他を模索する。
〇H26年07月/トーセンが松井田バイオマスを断念した半月後には、関電工が、電中研を視察している。
〇H26年07月10日/被告群馬県が各都道府県・関係市に県境影響評価条例における木質バイオマス発電所建設事業の対象要件等について照会を実施。
【注:アンケート結果からも分かるとおり、全国どこにも木質バイオマスの合水率を考慮している自治体は皆無である。また、排ガス量の判断基準も、事業者自らが判断するなどという自治体も皆無である。しかし、被告は、前橋バイオマス発電(株)等を救うために、条例の解釈を捻じ曲げ、義務ではないと開き直っている。】
〇H26年09月/トーセンが松井田バイオマスを断念した二か月後には、関電工とトーセンが共同で電中研を視察している。
〇H26年10月01日/那阿川バイオマス発電売電開始。
〇H26年10月/関電工とトーセンが電中研を視察し、まもなく両者は、群馬県森林組合に挨拶に行っている。
〇H26年10月02日/関電工とトーセンが群馬県森林組合に挨拶に行った直後には、トーセンは、木質バイオマス燃料安定供給協定書締結を精力的に行っている。
①県産材加工組合と前橋バイオマス燃料が木質バイオマス燃料安定供給協定書を締結(製材端材30,000t)。
②トーセンと前橋バイオマス木質バイオマス燃料安定供給協定書締結(間伐材50,000t、製材端材30,000t)。いずれも社長が同一人物である。
【注:会社法人が別でも代表者が同一である場合、直接取引は利益相反行為にあたる。即ち民法上の双方代理の禁止である(民108)。ただし民事上は無権代理行為となるが、商法上は特則があり、取締役会設置会社なら取締役会の承認、非設置会社なら株主総会の承認により有効となる。】
↑↓【注:本来あるべき手続きの順序が前後!関電工ら事業者のルール軽視が窺える】
〇H26年10月30日/松井田バイオマスは、株式会社前橋バイオマスに名称変更(発電+チップ)
●H27年01月/①前橋市と調整開始。②群馬県と環境アセス協議開始と記載(7月10日提出文書より)。
●H27年02月/関電工らが前橋市長を表敬訪問。
●H27年03月/関電工が、県環境政策課より「アセスの対象とならない」ことを確認したと記載(7月10日提出文書)。この結果、関電工にとってアセス問題解決。【注:関電工の思惑その1「アセスを実施しない」を目出度くクリア】
●H27年03月31日/被告が「未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする」とする群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適応に関する運用を制定。【注:上記のこの文書が、平成27年3月31日に決済されたものなのか、はなはだ疑わしい。それは、電子データで公開された文書を解析すると、印刷日は、作成された日になっているが、作成日は、平成28年10月27日及び平成28年11月4日になっている。これは、明らかに、印刷日を作成されたとされる日に偽造したとしか考えられない。明らかに、人が後から手を加えていることははっきりしている。また、被告県は、別表第1を改定したと言っているが、平成29年1月15日現在でも別表にその運用は追記されていない。この運用の決裁は、どこにも公開されることなく、群馬県パイオマス活用推進委員、群馬県環境影響評価技術審査会、群馬県環境審議会の委員は誰一人も知らない運用であり、作成部署は、そのままロッカーに保管している。つまり、関電工の付度に応える文書なのでお役御免ということである。また、この文書は、公印や施行日の印は押されていないため、公文書とは言えない文書である。】
●H27年04月27日/土地誌渡に関する同意書(電中研と関電工)。
●H27年06月22日/前橋バイオマス発電株式会社設立(東泉社長が役員に)。
●H27年07月10日/(株)関電工及び(株)トーセンが被告に前橋バイオマス発電所及びチップ製造施設の概要等関する資料を提出。この提出された資料には、事業者は、H27年1月に環境アセスの実施について被告群馬県と協議を開始し、3月には、環境政策課から非該当との回答を得たと記載されている。【注:時期を同じくして、トーセンは日光のチッププレスセンター計画を断念!?→※脱水機は前橋で流用か?】
●H27年07月22日/前橋バイオマス発電定款作成(発電の他、チップへの加工業も記載)。
●H27年07月30日/(株)関電工が被告に手続き状況を具体的に説明し、その中で前橋バイオマス発電所は環境アセスメント対象事業非該当であることも説明。【注:被告群馬県は、この時点でアセスメントを実施しないことを知ったようなフリをしているが、原告羽鳥とのメールのやり取りの際には、平成27年4月に排ガス量を知ったと回答している。また、上記のこの説明の際には、関電工は「非該当」と発言しているが、これは事業者としての自らの判断ではなく、「排ガス量は4万㎥以下だから群馬県環境影響評価条例のアセスメントの実施規模以下である」と堂々と主張したのだ。つまり、関電工は、被告群馬県が平成27年3月31日に作成したとされる木質バイオマスの排ガス量の運用を奇貨として、環境アセスメントの実施からの逃れる格好を被告と作り上げたのである。】
●H27年08月11日/関電工が住民の質問に文書で回答した際に、「環境政策課より環境アセスメントの対象外との見解をもらう」と記載。
●H27年09月初旬/知事査定で4億8000万円の補正予算決まる。
●H27年09月03日/冷却用水確保のための井戸の試掘調査依頼書を被告群馬県が関電工から受理。【注:その結果は?】
●H27年09月14日/被告が県議会へ、前橋バイオマス燃料(株)のチップ製造施設に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業4億8千万円(基金4億円、県費8千万円)を含む補正予算案を提出。
●H27年09月28日/前橋バイオマス→前橋バイオマス燃料株式会社へと社名を変更。役員に関電工の石塚浩基、八木原勇治森林組合会長、内山右之助開発事業部長が追加登記。
●H27年09月29日/前橋市宅地開発指導要綱に基づく事前協議に関する覚書における指示事項で、前橋市環境政策課の指示は、騒音規制のない区域に、住民との相談なしに、「第二種区域と同等の対策を講じること」と勝手に判断してしまい、その半年後に、「前橋バイオマス燃料及び前橋バイオマス発電から発生する騒音は、第二種区域にする」という条例をつくり、事業者を保護してしまった。また、前橋市政策推進課は、関電工に対して「環境影響評価の対象外となっているが先進地を見習い実施するよう検討すること」と指導しているが、「(被告の)群馬県より、環境アセスメン卜の対象外ということを何度も確認した」と発言している。
●H27年10月02日/平成27年9月29日に前橋市に騒音問題を考慮してもらった事業者は、その4日後には、前橋市に早くも開発許可申請をした。【注:まさに出来レースそのものである。その結果、関電工の思惑その2「騒音は第二種区域より低くにはできない」を目出度くリア】
平成27年10月03日/関電工による第一回地元説明会開催で、資料配布。この中で、チッププレス機の存在に触れず、住民に知らせずに隠した。
●H27年10月07日/県議会において前橋バイオマス燃料(株)のチップ製造施設に対する群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業4億8千万円(基金4億円、県費8千万円)の予算が可決成立。
●H27年10月19日/群馬県が関電工らに開発許可を出す。
●H27年10月20日/前橋市が前橋バイオマス燃料(株)及び前橋バイオマス燃料(株)に対し環境配慮計画の提出を要請。
●H27年10月21日/前橋バイオマス燃料(株)が被告に森林整備加速化・林業再生基金事業計画を提出。【注:森林整備加速化・林業再生事業実施要綱の第1(趣旨)において、森林整備加速化・林業再生事業費補助金及び森林整備加速化・林業再生整備費補助金を都道府県に交付して、森林整備加速化・林業再生基金を造成し、この基金を財源として事業実施主体が行う事業を実施することにより、東日本大震災からの復興を着実に推進するとともに、森林の多面的機能を発揮しつつ林業の成長産業化を実現することとする。と記されているが、前橋バイオマス燃料(株)の事業は、東日本大震災からの復興には全く影響しないことから、補助金の支給は、この基金の趣旨から逸脱している。】
●H27年11月13日/トーセンが山形県の鶴岡バイオマス発電の売電を開始。
●H27年12月20日/関電工による第二回地元説明会開催で、資料配布。この中で、チッププレス機の存住を始めて関電工が住民に唐突に説明。
〇H28年03月27日/関電工による第三回地元説明会開始で、資料配布。
〇H28年03月31日/原告小川が県庁を訪問し環境政策課の唐澤素子と遠藤次長に環境アセス適用についてヒヤリング。県は「排ガス量規制適用に係る文書は無い」と説明。原告小川はその後、真偽確認のため公文書開示請求。
〇H28年04月01日/前橋市がパブリックコメントを得て(2月)、事業実施予定地を含むエリアを第二種区域として騒音規制実施。
〇H28年05月07日/原告小川の開示請求に対して被告県が「文書不存在」決定通知。
〇H28年05月18日/前橋バイオマス発電(株)と前橋バイオマス燃料(株)が前橋市長に「前橋バイオマス発電施設に関る環境配慮計画」を提出。【注:被告群馬県は、平成24年4月1日より、環境評価法の改正により群馬県計画段階環境配慮実施要綱を施行しようとパブリックコメントまで実施したが、都合が悪くなったのか、知らないうちに施行を引っ込めてしまった。この要綱が、実施されていれば、前橋バイオマス発電(株)は、事業開始のかなり前から、計画的な環境配慮計画を自治体や地域住民との間で図っていたはずである。しかし、前橋市も被告群馬県も、自分たちの義務を放棄し、ただ単に事業者に環境配慮計画をつくらせたという事実だけで、その中身については全く議論も指導もなく、そのまま鵜呑みにしている。さらに、付け加えるならば、管理基準値の殆どは原子力発電所の基準値であり、それを木質バイオマス発電に当てはめてしまうという掟破りの極めて乱暴な策である。そして、原発でも許されていない、放射能を高濃度に含む木質チップをプレス脱水した廃液等を放射能除去処理もせずに、そのまま地下に浸透してしまう事業者の計画を、被告群馬県は事業者の村度を受け、コメントを全く付さないまま見過ごしてしまった。】
〇H28年05月25日/被告群馬県が前橋市より「前橋バイオマス環境配慮計画」を受領。【注:前橋市も何もコメントを付さないまま、群馬県に事業者の環境配慮計画を渡した。】
〇H28年06月17日/被告が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金交付予定額を内報。
〇H28年06月20日/前橋バイオマス燃料(株)が被告群馬県に実施計画書を提出。チッププレス機の見積もり。
〇H28年6月27日/被告が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金予定額を内示。
〇H28年06月28日/前橋バイオマス燃料(株)が被告に補助金交付申請書の提出。
〇H28年07月04日/被告群馬県による本件補助金の交付決定。
〇H28年07月05日/前橋バイオマス燃料(株)、川重商事、トーセンの間で、チッププレス機等の売買契約書を取り交わす。契約者は、買主(甲)前橋バイオマス燃料株式会社代表取締役東泉清嘉、売主(乙)川重商事株式会社執行役員小縣郁夫、甲連帯保証人(丙)株式会社トーセン代表取締役東泉清壽。【注:甲と丙、いずれも社長が同一人物である。会社法人が別でも代表者が同一である場合、直接取引は利益相反行為にあたる。即ち、民法上の双方代理の禁止である(民108)。ただし民事上は無権代理行為となるが商法上は特則があり、取締役会設置会社なら取締役会の承認、日設置会社なら株式総会の承認により有効となる。】
〇H28年08月16日/被告群馬県が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金概算払請求額2憶2230万円を支出。
〇H28年08月25日/チッププレス機の支払い①250,000,000円が行われる。
〇H28年08月26日/被告群馬県が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金概算払請求額1,620万円を支出。
〇H28年09月24日/地元住民らによる関電工との交渉。
〇H28年10月04日/唐澤素子に係る文書公開が決定。
〇H28年10月18日/唐澤素子に係る文書公開決定を知った原告小川が「不存在のはずではなかったのか」と真偽を確認すべく県庁を訪れた。納得できる説明がない為、原告小川はその後審査請求を行い、棄却されたため、住民訴訟を提起した(一審、二審とも敗訴し確定)。
〇H28年10月27日/唐澤文書作成①「未利用木質バイオマス運用」
〇H28年10月28日/唐澤文書の電子版の公開が決定。
〇H28年11月04日/唐澤文書作成②「運用起案説明(1)」
●H29年05月19日/前橋バイオマス燃料(株)による補助対象事業が完了。チッププレス機が納品される。
●H29年05月22日/前橋バイオマス燃料(株)が被告群馬県に補助事業実績報告書を提出。
●H29年05月24日/被告群馬県が補助事業の完了確認を実施し、補助金額を4億8000万円と確定。【注:開示された被告群馬県の検査報告書で、チッププレス機に使用されている写真は、検査時の写真ではなく、虚偽の報告写真である。理由①5月に検査を行っているのに、ジャンパーを着用していること。②浄化槽が平成29年12月22日に至っても未完成のため、脱水排液が流せなく、チッププレス機は作動させることができない状態であるにもかかわらず、プレス作業をしている写真が使用されている。
●H29年5月31日/被告が前橋バイオマス燃料(株)へ補助金未払分の2億4150万円を支出。
●H29年6月上旬/被告群馬県がホームページで、環境アセスメント条例において、「未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする」とする特例を群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適応に関する運用としてはじめて掲載。【注:このときはじめて公表したのだから、この時点より以前に申請されたバイオマス発電工場は、この特例が適用されないはずだから、環境アセスをやらないまま稼働している前橋バイオマス発電所(燃料工場併設)は条例違反である。】
**********