■安中市が発行する広報あんなか6月1日号の2ページ目に「安中市は、全国的にも非常にごみの排出量が多い市です。群馬県が平成29年度の1人1日あたりごみ総排出量が全国40位、ごみステーションに出された燃えるごみ排出量が全国ワースト1位となっている中で、その平均を39gも上回っています。再利用やリサイクルを活用し、ごみの減量につとめましょう。」という記事が載っています。ことほど左様に安中市にはゴミが多く、廃棄物最終処分場も目白押しです。そうした中で、ゴミのリサイクルや減量は重要な課題ですが、現在世界的に注目されている海洋プラスチック問題にも絡むPETボトル等の改修対策について、市民から要望の声が寄せられたのを契機に、当会は安中市長に要請書を提出しました。
↑広報あんなか7月1日号ぺージ2の抜粋。↑
ちなみに、安中市で負担しているごみ処理経費は、14年前の平成17年度決算で約12億4千万円(1世帯あたり約5万3000円)でした。現在はどの程度なのか未確認ですが、今回、8月2日付で安中市長宛の要請状は次の通りです。
*****市長あて要請状*****ZIP ⇒ 20190801siswpetg.zip
令和元年8月1日
〒379-0192安中市安中1丁目23番13号
安中市長 茂木 英子 様
(市民部環境政策課)
電話027-382-1111(内線1881)
報告者:
〒379-0114安中市野殿980番地
小川 賢
電話090-5302-8312
件名:海洋プラスチック問題に向けたPETボトル等回収対策充実について(要請)
本年4月より燃えないゴミの分別が変更になり、資源化の推進のための収集区分が次の通り変更になりました。https://www.city.annaka.lg.jp/gomi/files/gomidashikata.pdf
これまで 4月1日から
燃えないゴミ(金物類)
⇒ 飲料缶、びん、不燃物
燃えないゴミ(ガラス類)
資源化推進を積極的に進める施策は誠に喜ばしいことですが、この機会に、さらに積極的な資源化推進のために、ペットボトルも収集できるようにしていただきたく、茲許、お願いの書面を提出させていただく次第です。
現状では、ペットボトル飲料の空き容器は、公民館や各スーパーの店頭に設置されている回収機等で回収されていますが、大量に捨てられているため、すぐに満杯になってしまい、機能し切れておりません。そのため、家庭ゴミとしてもかなりの数量が排出されていると思いますが、安中市は現在、ペットボトルも燃えるごみとして収集している状況にあります。
一方、最近、ニュースなどで話題となっている海洋マイクロプラスチックが、海洋生物、海洋環境、ひいては地球全体への生命環境への脅威として注目されております。そのため、発泡スチロールやプラスチックを資源ごみとして収集することが自治体としても求められていると思います。
この観点から、ペットボトル、発泡スチロール、プラスチックも、アルミ缶、スチール缶、新聞紙などと同じくゴミ・ステーションに出せるように資源化に向けた施策をさらにいっそう拡大・充実していただくよう、迅速な対応を要請します。
このことにより、より多くの資源ゴミが有効活用され、上記の海洋マイクロプラスチック問題と合わせ、CO2削減にも貢献できるはずだと思います。
以上、市民の方から寄せられた要望を踏まえて、茲許要請いたします。
以上
**********
■現在安中市の一般ごみは、燃えるものは焼却後、灰を岩野谷の大谷地区にあるサイボウ環境㈱(実態は長野県にあるイー・ステージ㈱)が平成19年春から稼働させている管理型最終処分場に持ち込まれています。
燃えないゴミは上記要請状のとおり2019年4月から「飲料缶」「びん」「不燃物」に分別して、「飲料缶」「びん」を資源化していますが、燃えるゴミのうち、資源化可能なペットボトルはこれまで、市内21か所に設置されたペットボトル・空き缶回収機及び5か所のペットボトル専用大型回収機の設置だけで、資源ごみとして回収していないため、市民のほとんどは燃えるゴミとしてごみステーションに出しています。
↑従来型回収機(ペットボトル・缶)。カードを使い、回収機にペットボトル・空き缶を投入すると1本につき1ポイントが付与され、500ポイントになると、加盟店で400円の割引券として使えるが、利用勝手がいまいち。設置場所は21か所(安中市役所、飯島屋、安中公民館、安中市文化センター、原市公民館、松井田庁舎、磯部公民館、松井田町商店連盟仲町駐車場、東横野公民館、エーコープ松井田店、岩野谷公民館、西横野定住センター、板鼻公民館、細野ふるさとセンター、秋間公民館、五料茶屋本陣駐車場、中後閑ふれあいセンター、九十九地区生涯学習センター、原市住宅団地、坂本公民館、エーコープ安中店)。↑
↑大型ペットボトル回収機。利用法は上記と同様。設置場所は5か所(安中市役所、磯部公民館、中後閑ふれあいセンター、安中市文化センター、松井田庁舎)。↑
■2019年4月から缶とビンは資源ごみとして回収するのですから、ぜひペットボトルも資源ごみとして回収してもらいたいという市民の声を市役所に伝えましたが、今のところ何の反応もありません。
【9月2日追記】
市民の声として当会に寄せられた意見に基づき、安中市長宛に8月1日付で提出していたところ、8月23日付けで、安中市長(担当課:市民部環境政策課)から次の返事が届きました。
内容としては、市行政としても海洋プラスチック問題の重要性を認識しており、ペットボトルについても、「将来的には」ゴミステーションでの分別回収する計画なのだそうです。
この「将来的」という定義が極めて曖昧ですが、出す方がきちんと分別しさえすれば、受け入れ側は大した手間はかからないと思います。ただし、安中市のクリーンセンターには燃えるゴミは直接ゴミ焼却プラントに投入しており、リサイクル用のスペースはないため、一時保管用の建屋を確保することと、ペットボトルの減容のための圧縮機械の整備等の必要があるので、このような「将来的」という表現をしているものと考えられます。
念のため、環境政策課の松井氏に確認したところ、まさに上記の理由が課題なのだそうで、「できれば2、3年内には実現させたい」と抱負を語っていました。
**********ZIP ⇒ 20190828s.zip
(安環)
令和元年8月23日
安中市野殿980
小 川 賢 様
安中市長 茂木英子
(市民部 環境政策課)
海洋プラスチック問題に向けたPETボトル等回収対策充実について
日頃より、環境行政にご協力いただき、感謝申し上げます。
令和元年8月1日付で小川様からご意見をいただいた件につきまして、市の考えをお伝えさせていただきたいと存じます。
現在、ペットボトルの分別回収につきましては、庁舎や公民館等に回収機を設置し、市民の皆様には分別回収にご協力いただいているところですが、将来的にはゴミステーションにおいて分別回収する行政回収に切り替えていきたいと考えております。
また、発砲スチロールやプラスチック等の資源ごみにつきましては、専門の再生業者で資源化処理を施した後、資源リサイクル会社で資源循環することが必要であり、市では、プラスチック製の資源ごみのうちカラープリンターの使用済みインクカートリッジについて、今月末に回収ボックスを庁舎に設置する予定です。
海洋プラスチックの問題は、国際的にも大きな課題であり、行政、事業者、消費者のそれぞれの取り組みが共に進行し、機能することが大切であると考えております。
今後も、ご意見賜りますよう、よろしくお願いいたします。
担 当 市民部 環境政策課
027-382-1111(内線1880)
**********
【ひらく会編集部】
※参考情報「廃棄物ゼロ社会実現に向けて」
**********日本コカ・コーラ2019年7月29日13:00
清涼飲料のリーディングカンパニー 環境目標を上方修正
2022年には「ボトルtoボトル」(使用済PETボトルをPETボトルとして再生すること)の割合を50%以上とし、30年までに90%にまで高める――。日本のコカ・コーラシステム(*1)は、18年1月に発表した容器に関する目標を前倒しにする先進的なビジョンを打ち出した。さらに、30年までには、サスティナブル素材(リサイクルPET樹脂または植物由来PET樹脂)の割合を100%とすることで、新たな化石燃料を使用しない容器の完全導入を目指すという。
(※1)原液の供給と製品の企画開発を担う日本コカ・コーラと全国5社のボトラーなどで構成される
日本のコカ・コーラシステムは、ザ コカ・コーラカンパニーが発表した「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を目指すグローバルプランに基づき、2018年1月、日本独自の「容器の2030年ビジョン」を策定した。それは日本国内におけるプラスチック資源の循環利用を推し進める画期的な環境目標であったが、さらにこの7月、目標達成時期を前倒しすると発表した。それにより日本国内の優れた資源循環スキームとの連携をさらに深め、世界におけるプラスチック資源循環利用のモデルケースとなることを目指すという。
「ボトルtoボトル」の推進
ビジョンの (1)設計(Design)、(2)回収(Collect)、(3)パートナー(Partner)の三つの柱は変わらないが、目標は以下のように更新された。
(1)設計(Design)に関しては、リサイクルしやすい容器の設計に変えると同時に、回収やリサイクルのインフラを整えていくことを掲げている。
特に重視しているのが、PETボトルを回収し、PETボトルとして再生する「ボトルtoボトル」と呼ばれる仕組みの推進だ。「ボトルtoボトル」の18年実績は約17%だが、30年には「ボトルtoボトル」の割合を90%に高めるという意欲的な取り組みである。
この他にも、25年までに国内で販売する全ての製品にリサイクル可能な容器を採用することを挙げている。PETボトルにはサスティナブル素材を使用し、30年までには、サスティナブル素材の割合を100%とすること、30年までに製品1本当りのPET樹脂の使用量を35%削減(04年比)することも目指す。
★日本でのPETボトル回収率は98%以上★
回収(Collect)では、コカ・コーラシステムが国内で販売した量と同じ量の容器を回収するという目標を掲げている。PETボトルリサイクル協議会(2017年度)の調べによると、日本でのPETボトルの回収率は92.2%と米欧諸国と比較しても断然高く(下表参照)、可燃物などに含まれて回収されている分を加えると、その回収率は98%以上(*2)と推計される。日本コカ・コーラでは今年5月、残りの1~2%の流出原因を突き止めるために、国内初の大規模調査を日本財団とともに開始した。
(*2)日本コカ·コーラ調べ
↑出典:PETボトルリサイクル推進協議会↑
パートナー(Partner)の項目では、設計や回収の取り組みを、消費者や行政、業界団体、リサイクルの協力企業とともに進め、PETボトルなどの回収・リサイクル率をさらに高めて維持していくことをうたっている。
すでにその取り組みは実行されており、日本コカ·コーラとセブン&アイ・ホールディングスでは、今年6月から店頭で回収したPETボトルを100%使用し、「一(はじめ)緑茶 一日一本」をリニューアル発売。「ボトルtoボトル」によるPETボトルの完全循環を実現させている。
特定の流通グループの店頭で回収したPETボトルを原材料としたリサイクルPETボトルで商品を作り、再び同一の流通グループで販売する取り組みは世界に先駆けて行われているものだ。
★資源循環利用のモデルケースを世界に示す★
新たな目標の設定について、日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ代表取締役社長は、「日本のコカ・コーラシステムの『廃棄物ゼロ社会』への決意を改めて示すもの」とした上で、「プラスチック資源循環利用のモデルケースとして、世界に示すべき先進的なものであると確信しています。私たちは今後も業界におけるリーダーシップを発揮してまいります」と力強く語る。
「容器の2030年ビジョン」が実現されると、全てのPETボトルがリサイクルPETまたは植物由来のPET樹脂に切り替えられて、新たな化石燃料の使用がゼロとなる。製品1本あたりのPET樹脂の使用量は35%削減、そして、日本国内で販売した製品と同等量の容器が回収されるという、まさに理想の形となる。
プラスチックごみの河川や海への流出に国際的な関心が高まる中、コカ・コーラシステムの国内における意欲的な取り組みは、他の業界にも影響を与えそうだ。
目標と取り組みは、「日本コカ・コーラ サスティナビリティレポート 2019」に掲載されている。
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↑広報あんなか7月1日号ぺージ2の抜粋。↑
ちなみに、安中市で負担しているごみ処理経費は、14年前の平成17年度決算で約12億4千万円(1世帯あたり約5万3000円)でした。現在はどの程度なのか未確認ですが、今回、8月2日付で安中市長宛の要請状は次の通りです。
*****市長あて要請状*****ZIP ⇒ 20190801siswpetg.zip
令和元年8月1日
〒379-0192安中市安中1丁目23番13号
安中市長 茂木 英子 様
(市民部環境政策課)
電話027-382-1111(内線1881)
報告者:
〒379-0114安中市野殿980番地
小川 賢
電話090-5302-8312
件名:海洋プラスチック問題に向けたPETボトル等回収対策充実について(要請)
本年4月より燃えないゴミの分別が変更になり、資源化の推進のための収集区分が次の通り変更になりました。https://www.city.annaka.lg.jp/gomi/files/gomidashikata.pdf
これまで 4月1日から
燃えないゴミ(金物類)
⇒ 飲料缶、びん、不燃物
燃えないゴミ(ガラス類)
資源化推進を積極的に進める施策は誠に喜ばしいことですが、この機会に、さらに積極的な資源化推進のために、ペットボトルも収集できるようにしていただきたく、茲許、お願いの書面を提出させていただく次第です。
現状では、ペットボトル飲料の空き容器は、公民館や各スーパーの店頭に設置されている回収機等で回収されていますが、大量に捨てられているため、すぐに満杯になってしまい、機能し切れておりません。そのため、家庭ゴミとしてもかなりの数量が排出されていると思いますが、安中市は現在、ペットボトルも燃えるごみとして収集している状況にあります。
一方、最近、ニュースなどで話題となっている海洋マイクロプラスチックが、海洋生物、海洋環境、ひいては地球全体への生命環境への脅威として注目されております。そのため、発泡スチロールやプラスチックを資源ごみとして収集することが自治体としても求められていると思います。
この観点から、ペットボトル、発泡スチロール、プラスチックも、アルミ缶、スチール缶、新聞紙などと同じくゴミ・ステーションに出せるように資源化に向けた施策をさらにいっそう拡大・充実していただくよう、迅速な対応を要請します。
このことにより、より多くの資源ゴミが有効活用され、上記の海洋マイクロプラスチック問題と合わせ、CO2削減にも貢献できるはずだと思います。
以上、市民の方から寄せられた要望を踏まえて、茲許要請いたします。
以上
**********
■現在安中市の一般ごみは、燃えるものは焼却後、灰を岩野谷の大谷地区にあるサイボウ環境㈱(実態は長野県にあるイー・ステージ㈱)が平成19年春から稼働させている管理型最終処分場に持ち込まれています。
燃えないゴミは上記要請状のとおり2019年4月から「飲料缶」「びん」「不燃物」に分別して、「飲料缶」「びん」を資源化していますが、燃えるゴミのうち、資源化可能なペットボトルはこれまで、市内21か所に設置されたペットボトル・空き缶回収機及び5か所のペットボトル専用大型回収機の設置だけで、資源ごみとして回収していないため、市民のほとんどは燃えるゴミとしてごみステーションに出しています。
↑従来型回収機(ペットボトル・缶)。カードを使い、回収機にペットボトル・空き缶を投入すると1本につき1ポイントが付与され、500ポイントになると、加盟店で400円の割引券として使えるが、利用勝手がいまいち。設置場所は21か所(安中市役所、飯島屋、安中公民館、安中市文化センター、原市公民館、松井田庁舎、磯部公民館、松井田町商店連盟仲町駐車場、東横野公民館、エーコープ松井田店、岩野谷公民館、西横野定住センター、板鼻公民館、細野ふるさとセンター、秋間公民館、五料茶屋本陣駐車場、中後閑ふれあいセンター、九十九地区生涯学習センター、原市住宅団地、坂本公民館、エーコープ安中店)。↑
↑大型ペットボトル回収機。利用法は上記と同様。設置場所は5か所(安中市役所、磯部公民館、中後閑ふれあいセンター、安中市文化センター、松井田庁舎)。↑
■2019年4月から缶とビンは資源ごみとして回収するのですから、ぜひペットボトルも資源ごみとして回収してもらいたいという市民の声を市役所に伝えましたが、今のところ何の反応もありません。
【9月2日追記】
市民の声として当会に寄せられた意見に基づき、安中市長宛に8月1日付で提出していたところ、8月23日付けで、安中市長(担当課:市民部環境政策課)から次の返事が届きました。
内容としては、市行政としても海洋プラスチック問題の重要性を認識しており、ペットボトルについても、「将来的には」ゴミステーションでの分別回収する計画なのだそうです。
この「将来的」という定義が極めて曖昧ですが、出す方がきちんと分別しさえすれば、受け入れ側は大した手間はかからないと思います。ただし、安中市のクリーンセンターには燃えるゴミは直接ゴミ焼却プラントに投入しており、リサイクル用のスペースはないため、一時保管用の建屋を確保することと、ペットボトルの減容のための圧縮機械の整備等の必要があるので、このような「将来的」という表現をしているものと考えられます。
念のため、環境政策課の松井氏に確認したところ、まさに上記の理由が課題なのだそうで、「できれば2、3年内には実現させたい」と抱負を語っていました。
**********ZIP ⇒ 20190828s.zip
(安環)
令和元年8月23日
安中市野殿980
小 川 賢 様
安中市長 茂木英子
(市民部 環境政策課)
海洋プラスチック問題に向けたPETボトル等回収対策充実について
日頃より、環境行政にご協力いただき、感謝申し上げます。
令和元年8月1日付で小川様からご意見をいただいた件につきまして、市の考えをお伝えさせていただきたいと存じます。
現在、ペットボトルの分別回収につきましては、庁舎や公民館等に回収機を設置し、市民の皆様には分別回収にご協力いただいているところですが、将来的にはゴミステーションにおいて分別回収する行政回収に切り替えていきたいと考えております。
また、発砲スチロールやプラスチック等の資源ごみにつきましては、専門の再生業者で資源化処理を施した後、資源リサイクル会社で資源循環することが必要であり、市では、プラスチック製の資源ごみのうちカラープリンターの使用済みインクカートリッジについて、今月末に回収ボックスを庁舎に設置する予定です。
海洋プラスチックの問題は、国際的にも大きな課題であり、行政、事業者、消費者のそれぞれの取り組みが共に進行し、機能することが大切であると考えております。
今後も、ご意見賜りますよう、よろしくお願いいたします。
担 当 市民部 環境政策課
027-382-1111(内線1880)
**********
【ひらく会編集部】
※参考情報「廃棄物ゼロ社会実現に向けて」
**********日本コカ・コーラ2019年7月29日13:00
清涼飲料のリーディングカンパニー 環境目標を上方修正
2022年には「ボトルtoボトル」(使用済PETボトルをPETボトルとして再生すること)の割合を50%以上とし、30年までに90%にまで高める――。日本のコカ・コーラシステム(*1)は、18年1月に発表した容器に関する目標を前倒しにする先進的なビジョンを打ち出した。さらに、30年までには、サスティナブル素材(リサイクルPET樹脂または植物由来PET樹脂)の割合を100%とすることで、新たな化石燃料を使用しない容器の完全導入を目指すという。
(※1)原液の供給と製品の企画開発を担う日本コカ・コーラと全国5社のボトラーなどで構成される
日本のコカ・コーラシステムは、ザ コカ・コーラカンパニーが発表した「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を目指すグローバルプランに基づき、2018年1月、日本独自の「容器の2030年ビジョン」を策定した。それは日本国内におけるプラスチック資源の循環利用を推し進める画期的な環境目標であったが、さらにこの7月、目標達成時期を前倒しすると発表した。それにより日本国内の優れた資源循環スキームとの連携をさらに深め、世界におけるプラスチック資源循環利用のモデルケースとなることを目指すという。
「ボトルtoボトル」の推進
ビジョンの (1)設計(Design)、(2)回収(Collect)、(3)パートナー(Partner)の三つの柱は変わらないが、目標は以下のように更新された。
(1)設計(Design)に関しては、リサイクルしやすい容器の設計に変えると同時に、回収やリサイクルのインフラを整えていくことを掲げている。
特に重視しているのが、PETボトルを回収し、PETボトルとして再生する「ボトルtoボトル」と呼ばれる仕組みの推進だ。「ボトルtoボトル」の18年実績は約17%だが、30年には「ボトルtoボトル」の割合を90%に高めるという意欲的な取り組みである。
この他にも、25年までに国内で販売する全ての製品にリサイクル可能な容器を採用することを挙げている。PETボトルにはサスティナブル素材を使用し、30年までには、サスティナブル素材の割合を100%とすること、30年までに製品1本当りのPET樹脂の使用量を35%削減(04年比)することも目指す。
★日本でのPETボトル回収率は98%以上★
回収(Collect)では、コカ・コーラシステムが国内で販売した量と同じ量の容器を回収するという目標を掲げている。PETボトルリサイクル協議会(2017年度)の調べによると、日本でのPETボトルの回収率は92.2%と米欧諸国と比較しても断然高く(下表参照)、可燃物などに含まれて回収されている分を加えると、その回収率は98%以上(*2)と推計される。日本コカ・コーラでは今年5月、残りの1~2%の流出原因を突き止めるために、国内初の大規模調査を日本財団とともに開始した。
(*2)日本コカ·コーラ調べ
↑出典:PETボトルリサイクル推進協議会↑
パートナー(Partner)の項目では、設計や回収の取り組みを、消費者や行政、業界団体、リサイクルの協力企業とともに進め、PETボトルなどの回収・リサイクル率をさらに高めて維持していくことをうたっている。
すでにその取り組みは実行されており、日本コカ·コーラとセブン&アイ・ホールディングスでは、今年6月から店頭で回収したPETボトルを100%使用し、「一(はじめ)緑茶 一日一本」をリニューアル発売。「ボトルtoボトル」によるPETボトルの完全循環を実現させている。
特定の流通グループの店頭で回収したPETボトルを原材料としたリサイクルPETボトルで商品を作り、再び同一の流通グループで販売する取り組みは世界に先駆けて行われているものだ。
★資源循環利用のモデルケースを世界に示す★
新たな目標の設定について、日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ代表取締役社長は、「日本のコカ・コーラシステムの『廃棄物ゼロ社会』への決意を改めて示すもの」とした上で、「プラスチック資源循環利用のモデルケースとして、世界に示すべき先進的なものであると確信しています。私たちは今後も業界におけるリーダーシップを発揮してまいります」と力強く語る。
「容器の2030年ビジョン」が実現されると、全てのPETボトルがリサイクルPETまたは植物由来のPET樹脂に切り替えられて、新たな化石燃料の使用がゼロとなる。製品1本あたりのPET樹脂の使用量は35%削減、そして、日本国内で販売した製品と同等量の容器が回収されるという、まさに理想の形となる。
プラスチックごみの河川や海への流出に国際的な関心が高まる中、コカ・コーラシステムの国内における意欲的な取り組みは、他の業界にも影響を与えそうだ。
目標と取り組みは、「日本コカ・コーラ サスティナビリティレポート 2019」に掲載されている。
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